日本では古くからAndroidスマートフォンを販売し続けているGalaxy。世界的に知名度が高いGalaxyスマートフォンについて様々な特徴と歴史をざっくりと解説していきます。
Galaxyはカメラとディスプレイに強い
Galaxyの強みといえば、カメラ性能とディスプレイのクオリティでしょう。Galaxy S10といったフラッグシップだけでなく、より低価格なモデルでもカメラ性能の底堅さには定評があります。
カメラ格付けで知られるDxO Markでも、最新のSシリーズは常に上位に来ており、ライバルメーカーとも良い勝負をしています。
その背景にあるのがソフトウェア処理のチューニングで長年の経験があることと、イメージセンサーの独自開発。直近では1億画素のイメージセンサーを発表しています。
また、Galaxyはスマートフォン業界でいち早く有機EL(AMOLED)を採用したことで話題となりました。
それもそのはず、サムスンの子会社「Samsung Display」はスマホ向け有機ELで世界シェア約9割のほぼ独占状態。AppleやXiaomiなどのライバルメーカーのスマートフォンにも採用されています。
圧倒的な内製率
カメラ・ディスプレイ以外の部材もGalaxyは多くをサムスン社内で内製しています。メモリ(DRAM)では言わずとしれた世界最大手で、ストレージ(NAND)でも世界最大手。
チップセット(SoC)の製造は世界4位で、バッテリーもグループ内のサムスンSDIが生産しています。
高い内製率は安定した品質をGalaxyにもたらしていると共に、部品供給のボトルネックが少ない事が2010年前後のスマホ市場黎明期において、サムスンがスマホ生産を急拡大して世界シェア1位の座を確保する原動力になりました。
現行シリーズのラインナップ
価格帯ごとにGalaxyは異なる命名規則を採用しており、現在は主に4シリーズが展開されています。
- Sシリーズ(最新モデル:Galaxy S10)
- Noteシリーズ(最新モデル:Galaxy Note10)
- Aシリーズ(最新モデル:Galaxy A70s)
- Mシリーズ(最新モデル:Galaxy M30s)
CシリーズやJシリーズ、Eシリーズなどは2019年現在は休止・廃止されています。
Sシリーズ(2010~)
Galaxyスマートフォンといえば、Sシリーズのイメージが強いでしょう。Galaxyシリーズのラインナップの中ではNoteに次ぐ性能・価格です。
フラッグシップということで、どの世代でも当時最高性能のチップセットが採用され、カメラ機能でも最新の技術が反映されています。
Noteシリーズ(2011~)
Galaxy NoteはGalaxyスマホの中で最上位に位置づけられるシリーズです。
2011年に初代Galaxy Noteが登場しましたが、当時としては非常に珍しいファブレットとして注目を集めました。Sペンというスタイラスペンがこのシリーズの特徴で、一度使ったら他のスマホには戻れないという声も少なくないようです。
Aシリーズ(2016~)
2019年に従来のJシリーズと取って代わる形で拡充された、コストパフォーマンスを重視したシリーズです。
価格帯は幅広く、回転式のリバーシブルカメラを搭載するGalaxy A80は約8万円。一方、Galaxy A10などの1万円台のエントリーモデルも存在しています。
出荷台数が他シリーズと比べて圧倒的に多いため、Aシリーズがサムスンの社運を握っていると筆者は考えています。
Mシリーズ(2019~)
インド市場向けに2019年に登場したのがMシリーズ。Aシリーズを更に上回るコストパフォーマンス、バッテリーが大きい機種が多いのが特徴です。
インド国内での売れ行きは上々。M20などは発売直後に売りきれる人気ぶりを見せました。フィリピンやマレーシアなどの一部の東南アジア諸国でも販売が開始されています。
Galaxyと日本
日本ではSシリーズを中心にドコモとauの二つのキャリアから販売されてきました。サムスンとドコモは長い関係が続いており、スマホではGalaxy S(初代)からS10シリーズに至るまで全てのフラッグシップ機種を世に送っています。
一方で、ソフトバンクとの関係は深くなく、Galaxy端末の販売は過去にもほとんどされていません。
ここ最近ではGalaxy FeelシリーズやAシリーズも登場するようになり、より幅広い価格帯のGalaxyスマホが見られるようになっています。
デザインの歴史
Appleとの泥沼の法廷闘争
Galaxyのデザインと言われてまず頭に浮かぶのが2011年から始まったAppleとのデザイン特許の法廷闘争です。
AppleはiPhoneの丸みを帯びた外観をサムスンが真似しているとして訴訟を提起し、紆余曲折を7年も経てサムスンがおよそ5億ドルを支払い、両社は和解しました。
現在では角が丸い長方形のスマホが市場の大部分を占めているので、あの訴訟は何だったのかという印象もあります。
とはいえ、Xiaomiなど他のメーカーもiPhoneのデザインを思いっきり模倣している中で、初期からグローバル展開していたサムスンが訴えられたことは図らずしもスマホの2大巨頭としてのiPhone・Galaxyを強く印象づけることになりました。
ボタンデザインへのこだわり
ソニーが物理ホームボタンなしに昔からこだわっている一方で、SシリーズではGalaxy S8になって廃止されたもののサムスンは物理ホームボタンに力を入れてきました。ボタン自体の耐久性は高かったものの、使い方によってはキズが多く付く場合があるのが難点でした。
ボタンの配置にもこだわっており、真ん中がホームボタン、その左にタブボタン(タッチ式)、右が戻るボタン(タッチ式)となっています。右利きのユーザー向けのこの配置に昔からこだわり続けた結果、ライバルメーカーも習うようになりました。
S5の失敗 - 「バンドエイド」とバカにされた過去
Galaxyスマートフォン史上最悪のデザインは何かと聞かれれば、多くのファンはGalaxy S5と答えるでしょう。
Galaxy S5はS4に比べて画面サイズとバッテリーサイズが大きくなったものの、背面のデザインや重量が不評でした。背面のプラスチック製バックパネルは割れやすい上、「バンドエイド」のようなデザインだと多くのユーザーから評されていました。
Galaxy S4では非対応だった防水機能にも対応しましたが、防水キャップが必要でした。
S6で高級感がアップ
Galaxy S5まではプラスチック素材のバックパネルを採用し続けてきましたが、S6からはガラス製のものが採用されています。これはワイヤレス充電機能搭載への目的もあったでしょう。S6から高級感・デザイン性が大きく上がり、ユーザーの間でも評判が高かったのが印象的でした。
Note 10シリーズでオーロラデザインを新たに採用
2019年になって新たに登場したNote 10シリーズでは、背面にオーロラデザインが採用されました。
Huawei P20 Proが火付け役となったグラデーションデザインからインスパイア、角度によって異なる見た目になるのが魅力です。
AX0sシリーズはダイヤモンドカットデザイン
画像はGalaxy A70s
新型AX0sシリーズでは背面パネルにダイヤモンドカットデザインが採用。デザインのバラエティは広がっています。
マーケットシェア ₋ 世界一の座を守り続ける
Samsung Galaxyスマートフォンのマーケットシェア(2018Q2-2019Q2の1年間)は表の通りです。
2019年Q2でのシェアは22%とこの一年間では過去最高の数字となっています。
サムスンは2011年から8年連続でスマホの世界シェア首位を堅持。2018年中はシェアが20%を下りHuaweiが迫る状況が続いていましたが、2019年からは新型AシリーズとMシリーズ投入が功を奏して見事回復を見せました。
とはいえ、アメリカの制裁を受けつつもHuaweiは未だに販売台数を伸ばし続けています。2020年がサムスンにとっての正念場なのかもしれません。
コスパは急改善
2019年登場のAシリーズはコスパが高くて人気
昨年までパッとしなかったサムスンのエントリー機種ですが、中華スマホの攻勢を受けインド・東南アジアでのシェアが減少した事を受けて、Jシリーズが廃止。デザインを刷新した新型のAシリーズが今年投入されました。
Aシリーズは低価格でありながらAMOLEDや複眼カメラ、高性能チップセットを搭載しており、コスパは大幅に改善。Galaxy A50はインドで一定期間内で最も売れたAndroidスマートフォンとして輝いたこともありました。
とはいえ、中華メーカーには及ばない
Galaxyの改善の動きを見て中華メーカーも手をこまねいていた訳ではありませんでした。
OPPO傘下のRealmeやXiaomi傘下のRedmiはさらなる低価格・高性能のスマートフォンを市場に投入。サムスンは利幅の薄さに耐えかねて2020年からエントリー機種のOEM委託を検討しています。
まあ、Appleは年1でしかスマホ出さないのに比べて、SamsungもHuaweiもAndroidスマホメーカーは年に3回以上は出してるから、シェアで高くなるのは当然よ。
Appleは年1でしか出さないからこそ、(11Proみたいな高い機種か11みたいに安い機種かで迷うことはあるとはいえ)基本的に迷わずに選べるのがいいところ。
Androidメーカーは沢山機種を出すから、どれを買えばいいか迷うことはあるとはいえ、それぞれのニーズに合った機種を選びやすいし、1年中どの時期でも「新製品」を目にすることが多いから、見ていてワクワクするのがいいよね。