Android Policeの指摘で明らかになったファーウェイのスマートフォンに広告が表示される問題について、ファーウェイが問題を認め、広告表示を停止させたことが明らかになりました。
つまり、広告表示は顧客に無断で行われた上、ファーウェイによる意図的なものだったということです。
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ファーウェイのスマホに広告が無断で表示される
Ah hear... @Huawei why am I now being served ads on my lock screen? Stop it! Moreover @bookingcom what idiot in marketing thought this was ok? #ads #DigitalMarketing #Huawei #measure pic.twitter.com/Ta1lslMwsP
— Dave Rooney (@daverooney) June 13, 2019
6月13日頃からファーウェイ・ユーザーの間で、スマートフォンのロック画面にBooking.comの広告が表示されるという声が上がりはじめました。同様の指摘は弊誌コメント欄にも寄せられ、世界中で怒りの声があがっていました。
Huawei P30 ProやP20、P20 Lite、Honor 10、P20 Proと、幅広いファーウェイのスマートフォンで同様の問題が発生。イギリスやオランダ、アイルランド、日本と、世界中で同時多発的に広告が表示されたことが確認されています。
なお、日本のキャリアモデルでは確認されませんでした。
常識的に考えればアドウェア
通常、こういった問題はアドウェアなどのウィルス感染によるものです。ファーウェイは顧客に対して広告を表示する旨を一切通告していなかったので、ユーザーは自身のスマホがアドウェアに感染したと疑うはずです。
事実、海外掲示板Redditには、当初はウィルスに感染したのではないかという書き込みもあり、ファーウェイの無実を信じるユーザーの声もありました。ところが、広告は、他ならぬファーウェイが顧客に無断で配信したものだったのです。
ファーウェイの愚かな対応
Hello Tim,
I'm sorry that you think we want to advertise.
You can deactivate the magazine at any time.
Just wipe it from bottom to top and click on the gearwheel symbol.Best regards,
Tolga from HUAWEI Mobile— HUAWEI Mobile DE (@HuaweiMobileDe) June 13, 2019
事態を受けたファーウェイが対応を行ったツイートが残っています。
こんにちは、ティム。
申し訳ありませんが、広告を表示させて頂くことにしました。
あなたはいつでもマガジンを無効にすることができるんですよ。
下から上にスワイプして歯車のシンボルをクリックするだけです。
よろしくお願いします。
ファーウェイ・モバイルのTolgaより
本来顧客のセキュリティを守るべきメーカーが、公式アドウェアを断りもなく配信したにもかかわらず、ファーウェイの対応は上記のように「新サービスの操作を説明してあげます」というようなトーンでした。ファーウェイの顧客は誰しもこう思うでしょう。
「広告を表示させて頂くことにしました」じゃねーよ!!!!!!!!
その後、謝罪し広告の停止手順を説明
ファーウェイも2日経ち、騒ぎが広がるにつれて対応が不味いことに気づきます。6月14日、ファーウェイは広告をサーバーから削除し、コメントを発表しました。
親愛なるユーザーの皆さん、率直なコメントをありがとうございます。ご不便をおかけして申し訳ありません。ロック画面の画像はインターフェイスに表示されるべきではないため、サーバーから削除したことを、どうかご理解ください。
携帯に既にダウンロードされている場合は、次の手順で削除できます。
1)画面に画像が表示されたら、画面の下端から上にスライドさせると操作ツールバーが表示されます。
2)「削除」ボタンをクリックし、確認ボックスが表示されたら「削除」をクリックします。
私達はサービスを改善し続け、今後も優れたユーザーエクスペリエンスをお届けするつもりです。
広告モデルとは本来どういうものか
同様の広告表示機能は、アマゾンのキンドルにも存在します。ただしアマゾンは広告表示モデルは非表示モデルより安く購入することができます。
同じ中国企業であるシャオミのOSにも同じような機能がありますが、対価としてシャオミは「シャオミのハードウェア製品の利益率は永久に5%を超えることはない。もし上回れば、ユーザーに還元する」としています。
GoogleのChromeブラウザは広告ブロック機能を標準搭載したOperaブラウザと比べ、下品な広告だらけですが、その対価としてユーザーはGmailやGoogleフォトに事実上無限のストレージを得ることができ、Googleマップなどさまざまなサービスを無料で利用できます。
遺憾ながら弊誌がお目汚しの広告を皆さんにご覧いただいているのも、対価がなければ無料での運営ができないからに他なりません。
広告表示とは、どれもサービスを安く(あるいは、無料で)提供するためのビジネスモデルなのです。
なにが問題だったか
ファーウェイが行ったことは、既に正当な対価を払った顧客に対して、さらに広告を見せて稼いでやろうという下卑た押し売り行為です。商品を購入した顧客に追加料金を請求したようなもので、従来の広告モデル・ビジネスとはまったく異なるものです。
今回ファーウェイは、P30 Proという発売時12万円以上の高価なスマートフォンにすら、顧客に無断で広告を表示しています。
しかもなお悪いことに、初期のTwitterの対応を見る限り、何が問題だったかすら、おそらく理解していません。
ファーウェイの対応は、信じがたいほど軽いものです。「不快だったようだから、消したよ。もういいでしょ?」と言わんばかりです。
顧客に誠意を
無断での広告配信は「OSがどうとか」「バックドアがどうとか」「5Gのセキュリティがどうとか」という以前の過ちです。
目先の小銭に目がくらみ、世界で唯一の味方である“自社の顧客”を裏切ることは自らの手で信頼を溝に捨てるようなことです。制裁という逆風の中、Huaweiは大きなミスを犯してしまいました。
Source:Android Police, 9TO5Google
一言 ことわれば良かったのにね