Xiaomiのインド攻略を支えた独自戦略とは【マーケットコラム】

インドという多くのスマホメーカーが重要視してきた巨大マーケット。市場規模ゆえにその競争も激しいことが特徴ですが、そこを過去数年で攻略して成長しているのは中国のXiaomiです。同社がどのような戦略をもとにインド市場を攻略してきたのかを掘り下げます。

インドのスマホ市場

中国のスマホ市場に並ぶ市場規模を誇るとされているインド。今となっては世界的にヒットしたRealmeも、もとはインド市場を攻略するため...

インド市場は世界でも中国に次ぐ規模となっています。インドは13億人を超える人口を誇り、スマホは多くの人にとって不可欠な消費財となっています。

2021年度のインド国内メーカー別出荷台数・マーケットシェア(前年対比)

そんな巨大市場で、Xiaomiは2021年も約25%という市場シェアを記録。同年の年間出荷台数は約4,050万台であり、サムスンを抑えてシェアのトップを維持することに成功しています。

Source: Canalys (Indian smartphone shipments and annual growth
Canalys Smartphone Market Pulse: full year 2021)

販売代理店をインド全国に展開したフランチャイズ戦略

Xiaomiはインド国内でのスマホ販売を効率的に進めるため、フランチャイズ戦略を採用しています。インドは国土も非常に大きく言語的な多様性もある国です。こうした国でビジネスを効率的に進めるには、地域に根付いたオーナーとフランチャイズ契約をし、Xiaomiの正規販売代理店を拡げる手法が効果的です。

ただし、Xiaomiのフランチャイズは他社と異なる点があります。それは、「ビジネスで成功したいというマインドを持つ熱量のあるオーナー」と契約を結ぶというものです。Xiaomiは社会的に高い地位にある資本家を求めているのではなく、野心を持ったオーナーを見つけ、共に成長をしながらマーケットを攻略する想いがあるといいます。結果として同社のサポートのもと、多くのオーナーは利益を上げながらフランチャイズビジネスに成功しています。

Xiaomiの製品を愛し地元を良く知るビジネスオーナーは、地元の消費者にXiaomi製品の魅力を上手く伝えることができる存在であり、こうしてXiaomiのファンコミュニティが国内各地で展開されていくのです。

Source: IndianRetailer.com

マーケティング費用は抑え口コミ戦略で進めた勝負

図:Xiaomiが目指すマーケティング上の好循環

マーケティングは多くの企業にとって販売促進のための大事なツールです。一方で、そのマーケティング手法に応じて費用も大きく拡大し、結果的に商品の価格に反映せざるをえない場合もあります。

他社は芸能人の起用などにマーケティング費用を投じていますが、インドのXiaomiはそうした手法にあまり積極的ではありません。TwitterなどのSNS、友人や家族間のネットワーク、通販サイトのレビュー、YouTubeなどを利用した「口コミ」によって製品の良さを拡げるというマーケティングに力を入れていることが特徴です。結果としてマーケティング費用は抑えられ、製品の安さに繋がっているのです。

マーケティング費用削減による低価格の実現はユーザーからの高評価につながり、そこから口コミを見聞きした消費者がXiaomiのユーザーとなる(図)。この好循環がXiaomiの目指したインド攻略戦略なのです。

ユーザーの声を聞き製品に反映させる姿勢

インドというマーケットではユーザーの声が非常に大きく通ることが特徴的で、ユーザー同士の製品に対する意見交換というものも非常に活発に行われています。インターネットが普及した今の時代、こうした意見が共有されるのはTwitterなどのSNSやYouTubeといったソーシャルツールとなっています。

XiaomiはSNSを通じてインドのユーザーからの意見に耳を傾けることを常にしており、非常に活発な意見交換がメーカーとユーザーの間で行われているのです。同社はTwitterからユーザーに対して意見の共有を求めることもあるなど、ユーザーの生の声を重要視しています。

こうして蓄えられたユーザーの意見というものは、Xiaomiの製品に大きく反映がされています。例としてPOCO X3は6,000mAhという大容量バッテリー、Snapdragon 732G、64MPメインカメラ、120Hzのリフレッシュレート、6.67インチと大きく見やすいディスプレイ、USB Type-Cの採用とインドのトレンドを全て詰め込んだモデルとなっていました。

ユーザーの声をうまく反映させたモデルは当然ながらインド市場で大人気になるわけで、他社にはないXiaomiの成長戦略の一つと言えます。

''Make In India'' - インドで「つくる」

インドの社会情勢は隣国の中国との歴史的背景から複雑化してる現状があります。多くの中国企業が家電をインド国内で販売していますが、中国企業であるXiaomiも中国製品のボイコット運動の影響を大きく受けました。

インド政府は独自に「Make In India」という特定セクターに開発から製造までを国内で行い経済的発展に繋げることを目標としたスローガンを掲げています。中国企業およびその製品がネガティブなイメージを持たれることもある時世で、Xiaomiはこの「Make In India」に賛同していることが特徴です。Xiaomiは自社のパブリックイメージを「インドに寄り添い経済的便益をもたらす企業」へとするべく、インド国内の工場で製造するなどをアピールしています。外資系企業でありながら地元に対する誠意ある取り組みが、Xiaomiがインドで受け入れられている一因でもあります。

かつてのインドのスマホ市場を圧巻した地場メーカーのMicromax。製品のコスパも優れていたことから一時期は高い人気を誇っていました...

こうしたパブリックイメージ向上に対する戦略は、インドの現地企業であるMicromaxなども取っています。

まだまだ成長が期待されるインドでのXiaomi

記事内で取り上げたストーリーや戦略はあくまで一部にすぎません。その他にも多くの戦略や要素によってXiaomiはインド国内でここまでの成長を果たし、マーケット内でトップのシェアを維持することに成功しています。年々激化するインド市場において、Xiaomiが今後どのような戦略を取っていくのかは刮目すべきでしょう。

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Writer

Sekey
アジア市場を中心にレポート

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 コメント

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  1. 匿名 2022.02.23 19:58 ID:d44627c1a 返信

    Realmeも同じやり方だね。
    写真コンテストみたいなの開いたり、学生向けイベントみたいなの開いたりして、若者を取り込んでる

  2. 匿名 2022.02.23 20:25 ID:d44627c1a 返信

    日本を攻略した独自戦略は日本の学生差別と原爆グッジョブCMだっけ、どおりで売れてるはずだ

    • 匿名 2022.02.24 15:48 ID:503545c8f 返信

      学生差別→日本の学生ではなく日本語専攻の学生
      原爆CM→グローバル向けのCMで日本では放送されていない

      • 匿名 2022.02.26 09:31 ID:82ae602c3 返信

        日本語専攻学生の方はしらんけど日本向けCMじゃないことくらいわかっとるわ、さすがこじつけ方が半島の奴。日本に関わるなよ

  3. 匿名 2022.02.23 22:51 ID:581bc1aae 返信

    企業も人間と同じで良い処も悪い処もある。それは総合的に決まるし相手は特に変わらずとも自分側の立場や都合で評価が変わる事もある

    また犯した過ちや失態も永遠に取り返せない烙印であるべきではない

    • 匿名 2022.02.24 15:57 ID:f2f708134 返信

      なにもかもテキトーなの草

      • 匿名 2022.02.24 15:57 ID:f2f708134 返信

        返信先間違えた、ごめんね
        これは正しいと思うよ

    • 匿名 2022.02.26 09:28 ID:b80030a53 返信

      家族殺されても犯人の過去の過ち責めるなよゴミ

  4. 匿名 2022.02.24 11:20 ID:503545c8f 返信

    言っちゃなんだが「安くてそれなり」の端末を粛々と出してるってだけで充分な気がしている

    • 匿名 2022.02.24 21:44 ID:503545c8f 返信

      確かにな
      本当は高級路線はHuaweiに頑張って欲しいのだが、制裁されてる今中々難しいよな