最近よく聞く「GMS」って何?「AOSP」「HMS」との違いは?【解説コラム】

Huaweiがアメリカ政府による制裁を受けていることは、皆さんご存知だと思います。

その制裁により、Huaweiは米国政府と取引することができなくなりましたが、その影響で「HuaweiのスマホはAOSPは利用できるがGMSを搭載できない」「代わりにHMSを搭載する」といったことを聞きますね。

では、GMS・HMS・AOSPとは何でしょうか?今回はこれらの単語をかんたんに説明します。

GMSはGoogleが開発したアプリ、APIのこと

GMSとは、Google Mobile Servicesの略です。

Google モバイル サービスは、Google の人気アプリや API を Android 搭載端末にプリインストールできるサービスです。(Googleより)

このように、GMSとはGoogle製のアプリ及びAPIがまとまったサービスのことです。これにはGoogle Chrome、YouTube、Google Playストアといったアプリや、各種アプリの情報をつなげるAPI(Application Programming Interface)が含まれています。

Android OSを搭載する端末を生産する会社、いわゆるスマホのメーカーが、Googleとライセンス契約を行うことで、これらの人気のアプリやクラウドベースのサービスをスマートフォンにインストールする事ができます。

Huaweiはアメリカ政府による制裁によりGoogleと取引ができなくなったため、ライセンス契約ができず、GMS、つまりGoogle製のアプリなどが搭載できないということなのです。

CNNのインタビューにて、Huaweiの創業者でCEOである任正非氏が、アメリカがHuaweiとアメリカ企業との取引に引き続き制限を...
アメリカ政府は先日、本来は今月の4月1日までのHuaweiに対するGoogleやIntelを除いた禁輸制裁の猶予を45日間延...

AOSPはAndroidの根幹のこと

一方で、Huawei製のスマートフォンは引き続きAndroid OSを採用しています。Android OSもGoogleが作ったものなのになぜ?という気がしてきますが、これはAndroid OSの成り立ちが関わります。その際大事な単語がAOSPになります。

AOSPとはAndroid Open Source Projectの略で、多くのスマホに搭載されているAndroidの開発プロジェクトです。

Googleが開発したAndroidは、AOSP上でオープンソースとして公開されます。ここで公開されるAndroid OSはいわゆる「素」の状態であり、ここにスマホメーカー、チップメーカーなど各社が修正・カスタマイズを加え、自社スマートフォンにインストールすることでスマートフォンのAndroid OSとして利用できます。余談ですが、Pixel、 Android OneといったGoogle謹製のスマートフォンでさえ、若干の修正が加えられたものがインストールされているようです。

ここで大事なのが、AOSPがオープンソースであること。Huaweiはアメリカ企業のGoogleと取引しているのではなく、Googleがオープンソースとして世界中に公開したコードを利用しているだけなので、アメリカ政府の規制に引っかかることはないのです。

なお、AOSPではメールや電話といった端末レベルの一般的な機能を提供していますが、GMSは搭載されていません。

HMSはGMSのHuaweiバージョン

HuaweiはAOSPを利用してAndroid OSを自社端末にインストールすることができますが、GMSを搭載することができません。そのため、Huaweiが自社でGMSを代替する様々なアプリやAPIを開発しています。それを、HMS(Huawei Mobile Services)と呼びます。

HMSではHuawei IDをもとに、Huawei AppGallery(Google Play ストアの代替)といった機能を提供しています。170か国で5.3億人以上(2019年6月時点)のユーザーにサービスを提供していますが、大半は中国のユーザーであり、そこまで普及していないのが現状です。

しばらくの間はGMSの利用が見込めないHuaweiは、HMSの充実を図るために10億ドルの資金を投入する「Shining-Star Program」を展開しています。今後HMSがどれだけ充実するか次第で、Huaweiスマホのグローバル市場における勢いが大きく変わるでしょう。

Huawei+HMSはどこまで動く?

telektlist読者レビューでは、HMSを搭載したHuawei Mate 30のアプリの動作状況が報告されています。

  • 代替できたアプリ
    LINE → LINE lite
    Youtube → YouTube vanced
    (※設定で「ログイン時Googleにアカウント情報送る」をオフ)
    Map → Google Maps go
    Gmail → 一般のメールソフト
  • 正常に動くアプリ
    Instagram
    Facebook (+メッセンジャー)
    Twitter
    ニコニコ動画
    Amazon
    Dropbox
    PayPay
    ファミペイ
    ヤフオク
    Jorte
    その他、Quick Appsを使えば楽天市場やメルカリも使えます。
  • 動作しないアプリ
    LINE Pay
    楽天ペイ
    銀行系アプリ

非常に有用で素晴らしいレビューだと思います。ぜひ参考にしてみてください。

Huawei Mate 30は2019年10月に発売されたスマートフォンで、6.62インチディスプレイにKirin 990を搭載して...

Source : Android, Huawei

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Writer

ナカヤマユウショウ
2013年にMNPを知ってからスマホオタクになった理系大学生。telektlistでは珍しいiOS派。 最近顔出しでYouTubeはじめました。 Twitter: @yushonakayama Instagram: @yushonakayama

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 コメント

※暴言・個人攻撃等は予告無しに削除します

  1. 匿名 2020.04.10 08:21 ID:3d7ee3540 返信

    そんだけ使えれば、あとはゲーム系のアプリが動けばワンチャン

  2. 匿名 2020.04.10 10:40 ID:e4514a276 返信

    そこまでして囲い込まれる気はないから大人しくgms使います

  3. 匿名 2020.04.10 13:28 ID:1c7d5b80f 返信

    GMSも囲い込みやんけ

    • 匿名 2020.04.10 16:03 ID:e4514a276 返信

      世界を囲うのと中国囲うのと同じに語られましても・・・

  4. 匿名 2020.04.10 13:38 ID:fef1c5e48 返信

    思った以上に使えるんだな
    今後のappgalleryのラインナップ次第では次もファーウェイにするかもしれん
    XiaomiやOPPO等の競合相手よりも相当安ければの話だが

    • 匿名 2020.04.11 14:41 ID:0241597fd 返信

      いや、決済系はセキュリティの問題から全滅だし、中国に情報取られるリスクもあります。

      • 匿名 2020.04.17 05:53 ID:597ac353b 返信

        君の個人情報なんて大した価値じゃないし心配しなくていいよ

        • 匿名 2020.07.21 17:56 ID:f76a46b9f 返信

          じゃあ君のクレカの情報とかその他決済情報とか公開してくださるんですね、やったー

  5. 匿名 2020.04.11 11:28 ID:5ad31ec59 返信

    「Moとはじめるテック講座 初級編」

    AOSP、GMSとくれば次はProject Trebleか?
    (一度記事になってたかな)

  6. 匿名 2020.04.11 13:43 ID:04ce708fa 返信

    こういう記事良いね。
    自由が売りだったAndroidで、GMSに縛られる事を盲目的に肯定できるのは、スマホが普及品になったって事なんだろう。

  7. 匿名 2020.04.12 04:29 ID:d7194f528 返信

    ふつーにブートローダーアンロックすれば好きなカスロム入れれるのにな

    • 匿名 2020.04.12 10:15 ID:f4ac8ee44 返信

      Huaweiって今BLUサポートしてるんだっけ?
      GMS非搭載の話が流れ始めたくらいの時期に同じように「カスタムROMを焼ければデメリット無くなるなあ」なんて考えていたけど、実際のところどうなんだろうね。