「OV」という略称でOppoと並べて語られることが多い中国BBK傘下のスマホブランド、vivo。
OppoとXiaomiが日本市場へ進出する中、vivoはその様子を見せず、更にはグローバルマーケット全体でもやや苦戦を強いられている状況が続いています。とはいえ、その年間スマホ販売台数は世界6位の1億1,370万台(2019年)。日本では知名度が低いvivoはどんなスマホメーカーなのでしょうか。
目次
東南アジアで大きな存在感のあるメーカー
日本では名前も聞かないvivoですが、東南アジアを中心に知名度が高いメーカーです。ヨーロッパなどには進出しておらず、中国・東南アジアとその周辺だけをマーケットとしています。
東南アジアでは街を歩けばvivoの看板と広告、ショップ(代理店など)を見ることができ、各地域に根差したスマホメーカーという印象を受けます。OppoやXiaomi、Huaweiのようにコストパフォーマンスの良い機種を多く送り出していることから、各国で高いマーケットシェアを獲得しています。
また、筆者にとってvivoのショップ店員さんは客との距離が近いように感じます。隣のショップを見ていてもセールス活動=声かけをしたり雑談を振ってくるなど、このようなスタイルの接客も東南アジアで受けている理由なのかもしれません。
独自のAndroidベースのFuntouch OSを端末に搭載していますが、分かりやすいインターフェイス、iOSに似た機能などが特徴です。
歴史
BBKグループより2009年に設立
BBKグループは中国広東省東莞市(Huaweiの新研究所もここです)に本社を置く1995年設立の電子機器メーカー。かつては電子辞書やファミコン互換機を製造で有名でした。そこから、BBKグループよるvivoがスマートフォン業界に姿を現したのは2009年のことでした。
ちなみにOPPOはよくBBKグループ傘下だと誤解されていますが、実際はBBK創業者の段永平(退任済み)が一部株式を保有するのみ。OPPOの経営はBBKグループから独立しています(中国語ソース)。
積極的な広告攻勢とわかりやすいキャッチフレーズで急成長
vivoの初期のキャッチコピーは「Camera & Music」。わかりやすいフレーズと親会社の他事業での収益を元にした広告攻勢でOPPOと同時期に急成長を遂げました。
NEXで画面内指紋センサーとポップアップ式カメラ採用
NEXは画面内指紋センサーとポップアップ式カメラという当時はかなり珍しい技術を一度に採用したプレミアムデバイスでした。背面のオーロラ調バックパネルは光の当て方によって異なる輝きを楽しむことができます。
この機種はvivoの技術力を大きく知らしめるきっかけとなりました。
V9を発表
vivo V9(シリーズ)は数多く売れたヒット機種でした。フラッグシップではありませんが、エントリーモデル以上の高級感とスペック性能が「ちょうどいい」として人気を呼びました。
ゲーミングライン iQOO(アク―)を発表
eSportsという言葉が生まれるなど、ここ数年でゲームは幅広い層から人気を得ています。ゲーミングスマートフォンという新たなジャンルも登場し、vivoもその流行にiQOOという新ブランドラインを発表することで反応しました。あまり知られていませんが、日本語での発音は「アク―」に近いです。
ゲーミングスマートフォンとして優秀なのは明らかでしたが、中国マーケット向けだったため我々の中での印象は弱いでしょう。
APEXを発表
せっけんのようなフォルムが話題となったAPEX。コンセプトモデルであるため製品として発売はされていませんが、電子機器にはかかせないボタン類を全て排除した革新的なスマートフォンです。
ロゴをリニューアル
vivoはこれまでのロゴを2019年になってリニューアルしました。ドラえもんのようだったブランドカラーは明るくなり、ロゴのフォントにも細かい変更が行われ、新鮮な見た目となりました。
デザインの系譜 - 派手派手のカッコいい系
vivoはここ数年で派手派手のデザインを採用するようになりました。カッコいい系とも表現できるデザインは、若い世代をターゲットとしているようにも感じられます。
これまでのOppoはカメラレンズを横並びにし、指紋センサーは丸形にしてきましたが、一方のvivoは縦並びで四角の指紋センサーと、ライバル社からうまく差別化を図ってきました。
※2019年の後半ごろからOppoも縦並びカメラデザインに移行しています
V5
2016年の終わりに登場したvivo V5のデザインは現在のvivoのように派手なスタイルではありませんでした。Oppoのスマートフォンと似たデザインで、当時のYシリーズなどと比べても差別化がされていない印象でした。
V9
V9ではiPhone Xシリーズのような大きめのノッチが採用されていました。また、カラーリングも種類が豊富で、ツヤありカラーからメタリックな高級感のあるカラーまで選べるのが特徴でした。本体デザインもオリジナリティが見られるようになりました。
V15
Oppoがポップアップ式カメラを真ん中に配置するのに対し、vivoは片側に寄せて配置するスタイルを続けてきました。V15でもその配置は変わっていませんでしたが、フロントポップアップ式カメラと背面のカメラ部分を一体化したようなデザインが特徴的でした。
このデザインはvivoが始めとなり、Motorolaなどの他社も真似るようになりました。V15からvivoスマートフォン全般のデザインが大きく変わっていきました。
V17 Pro
V17 Proになり、vivoはカメラ周りのデザインを大きく変更しました。ポップアップ式カメラでデュアルレンズを採用したことの影響もあるのでしょう。
マーケットシェア ₋ OppoとXiaomiにしがみ付く
上の表は2018年度と2019年度のグローバルマーケットシェアです。
vivoは2018年の7%というシェアから一年間で1%の伸びを見せ2019年には8%となっています。Oppoも8%のシェアとなっており、両社は出荷台数にやや差があるものの互角の勝負をしています。
LenovoやLGなどのメーカーからは大きくリードをできていることから、2020年のvivoのライバルはXiaomiとOppoの二社になってくるでしょう。
現行シリーズのラインナップ
Yシリーズ
Yシリーズは昔から続くエントリー向けのラインナップとなっています。安い機種では1万円台前半で手に入る、コストパフォーマンスが良いシリーズです。エントリーながらデュアルカメラやトリプルカメラを搭載した機種も多く存在しています。
とても長く続いているシリーズですが、ナンバリングの法則は筆者にも分かりません。
Sシリーズ
Sシリーズはカメラ性能が強化されているほか、デザインも一味違うものが採用されているミドルアッパー帯のラインナップです。
Sシリーズはマーケットによってネーミングがバラバラしている変な特徴もあります。
Vシリーズ(グローバルマーケット)
Oppoで例えるならば、Fシリーズが的確でしょう。事実、vivoの看板であるVシリーズとOppoのFシリーズは両者ともにシェアの食い合いを東南アジアで広げてきました。
2019年になってからはOppoがRenoシリーズなどへ力を入れ始めたため、Vシリーズが有利な状況が続いていました。
Xシリーズ(中国マーケット)
フラッグシップラインではないものの、プレミアムなシリーズとして存在感が強いXシリーズ。カメラ性能が大の目玉であり、グローバルマーケット向けのVシリーズに近い立ち位置となっています。
NEXシリーズ
vivoがポップアップ式カメラとインディスプレイ指紋センサーを初めて採用したのがNEXシリーズです。フラッグシップラインということで同社の最新技術が多く採用されています。
ポップアップ式カメラでは日本国内の大手メーカーが部品を供給したこともありました。
vivoが出す広告はVシリーズが中心でしたが、現在はNEXシリーズのものも増えてきています。
このほかにもUシリーズやZシリーズなどが存在しますが、この記事では省略します。vivoは他社と比べてもマーケットによってラインナップが細かくなっています。筆者の個人的な印象ですが、vivoのラインナップは業界で一番複雑です。
おまけ:Little VとOllieは犬猿の仲なのか
Say hello to #LittleV, our official mascot!You would want to make him your friend as he plans to bring a lot of gifts in the coming days.#Vivo #VivoPakistan
vivoさんの投稿 2018年1月24日水曜日
vivoにはLittle Vというマスコットキャラクターが存在します。同じくOppoにもOllieというマスコットキャラクターがいるわけですが、お互い微妙に似ている二人の関係はどうなのでしょうか。
OPPOさんの投稿 2014年5月24日土曜日
海外のショッピングモールなどのイベントで、家族連れなどをターゲットに出演することがある彼ら。もしもうっかり二人が同じ場に出そろってしまった場合、どうなるか見てみましょう。
Badut oppo vs badut vivo
Siapa hero mu?pic.twitter.com/FFO5GUh7vf
— . (@gataulieurmin) June 22, 2018
実は、二人は犬猿の仲であるというウワサが昔からありました。上の動画だけでなく、彼らがバトルをしたり街中で暴れるという話は珍しくないのです。二人とも自社製品の売り上げを気にしてライバル関係になってしまうのでしょう。
バトルの勝ち負けはマーケットシェアや売り上げで決めてください。いいですね?
アッイクー!