筆者が2021年に注目したいと考えているのは、日本でもテレビやスマホなどの生活家電を手掛ける中華メーカーのTCLです。TCLはスマホ業界において馴染みのない名前ですが、その認識は正しく、ここ近年になって業界に本格参入してきたメーカーです。新規参入でありながらもメーカーとしてノウハウと生産能力をもつダークホースTCLにこの記事では迫っていきます。
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テレビでは世界シェア2位の大手家電メーカーのTCL
TCLは中国で1981年に創業されたテレビを主製品とする世界的に知名度のあるメーカーです。創業以来国内市場をターゲットとしてましたが、1999年になりベトナム市場に目をつけてグローバルブランドとしてデビューを果たします。
その後テレビだけでなく、AlcatelやBlackberryなどのブランドを買収していきスマホの製造にも実は関わりを見せてきました。2019年になりTCLブランドで初となるスマホのTCL PLEXを日本市場にFOX代理店を通じて投入。そこから新機種を日本とグローバル市場ともに発表していき、2020年には同社初となる5GスマホをTCLのラインナップに加え業界を驚かせました。日本市場でも積極的に新製品を出しており、スマホの分野で今後が期待されているメーカーでもあります。
Source: TCL(日本)
デビュー機から高クオリティで日本市場に適したスペックと価格バランスで勢いを見せた
TCLの日本のスマホ市場への参入は2019年で、TCL PLEXを掲げてのデビューとなりました。
TCL PLEXはSnapdragon 675をチップセットに採用したミッドレンジ機となっており、当時の価格帯では珍しいパンチホール型カメラを搭載していました。内蔵メモリとストレージはそれぞれ6GBと128GB、バッテリー容量も3,820mAhで18Wの高速充電に対応していました。価格は税込みで29,800万円となっており、当時の日本国内のSIMフリースマホとしてはかなりのコスパが確保されていたのを筆者は未だに覚えています。
スペックチョイスはもちろん、本体デザインへの独自性も最初から強く見せていました。OSもストックAndroid ROMではなく自社カスタムのTCL UIを搭載していたのは、本気度の現れだったと言えます。発売して長い時間を要せずAndroid 10のメジャーアップデートを配信していたのも印象的でした。やはり過去にAlcatelブランドやBlackberryブランドを抱えていただけあり、ノウハウや生産能力が活かされているのだと予想されます。
SD765で5G対応スマホを39,800円で日本発売
日本市場参入当初から大手メーカーとしての強さを見せつけたTCLでしたが、現在も新機種を日本向けに発表し続けています。2020年11月に登場したのは5Gに対応したTCL 10 5Gという機種です。
チップセットにSnapdragon 765を搭載した日本では珍しい5G対応のSIMフリースマホとして登場。4,500mAhの大容量バッテリーに18W高速充電に対応している点なども魅力でしょう。
ディスプレイはIPSですが、解像度はFHD+でサイズも6.53インチと大き目です。TCL PLEXでL3だったWidevineセキュリティレベルも、このモデルでは最上位のL1が取得されています。
価格設定は税込み39,800円で日本正式発売5G機ではMi 10 Lite 5Gを下回る最安値水準でした。
NXTVISIONはTCLのディスプレイ技術が活きる
TCLですが、デビュー機であるTCL PLEXよりNXTVISIONと呼ばれる技術を採用しています。NXTVISIONによりSDRの動画を、コントラスや色味の自動調整をHDR品質でリアルタイム表示が可能になっています。撮影した写真もNXTVISIONをオン・オフの状態で切り替えができるほか、ディスプレイ表示の品質を自動で上げる機能なども利用できます。そのほか読書モードが搭載されていたりと、テレビで大衆を圧倒したメーカーだけありディスプレイ周りへのこだわりが感じられます。
TCLスマホの強みは高いデザイン性になるだろう
TCLがこれまで発売してきたスマホに共通して言えるのは、コスパもそうですが、高いデザイン性を持っているということです。これまでに登場した全ての機種がオリジナリティとデザイン性を備えたものとなっていました。
他社メーカーからは見ることのできない背面バックパネルとリアカメラなどを含んだ全体のデザイン性はTCLスマホが誇る良さです。リアカメラはレンズが大きく突出していることはなく、バックパネルと一体感のあるつくりです。本体の質感も非常に高く、TCL 10 5GやTCL 10 Proの質感は高級感があり筆者も驚きました。TCLスマホの、特にリアカメラのスマートさに魅力を感じるユーザーは少なくないはずです。
「巻き取り式スマホ/タブレット」にも挑戦中
OPPOやLGも取り組んでいる「巻き取り式スマホ/タブレット」にもTCLは取り組んでいます。LGはスマホ事業の撤退も噂されるため、TCLが巻き取り式ディスプレイ初搭載スマホを出す可能性もありそうです。
高コスパ・高いデザイン性に、スマホ/タブレット分野での独自の技術力が組み合わされば、日本市場でも一定のシェアを獲得しても不思議はないでしょう。TCLは2021年の日本・世界のスマホ市場で大きな注目に値するメーカーです。
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