新登場のGalaxy Fシリーズでサムスンは何を考えているのか【コラム】

先日になってインドで正式発表されたGalaxy F41。2019年になりGalaxy MシリーズがGalaxy M20Galaxy M30の二機種のデビューとともに始動しましたが、今年はGalaxy Fシリーズという新型シリーズラインがGalaxyファミリーに加わることになりました。

まだGalaxy F41の一機種のみしかラインナップに存在していないことに加え、同機種に他シリーズの機種らと差別化された点があまりないことからユーザーの間で小さな混乱を招いているのが現状です。Galaxy Fシリーズは一体どんなものなのかをこの記事では確認していきます。

Galaxy Fシリーズのデビュー機種としてGalaxy F41が新たにインドで正式発表されました。現時点で同シリーズはカメラ性能に...

概要・Galaxy Fシリーズは「すべてにおいてスゴイ」がコンセプト

シリーズライン特徴日本展開
Galaxy S代表的なフラッグシップMNO(docomo・auメイン)
Galaxy NoteSペン搭載のフラッグシップMNO(docomo・au)
Galaxy A万人におすすめできるMNO・MVNO各社
Galaxy Mバッテリー容量が強みなし
Galaxy Fなんだろう・・・(?)なし(10月9日時点でインドのみで展開)

サムスンによるGalaxyスマートフォンの代表的なシリーズラインを確認します。

今回新たに加わったのがGalaxy Fシリーズというシリーズラインですが、公式にはすべての面において「Full On」なスマートフォンを生み出すコンセプトで、若い世代をターゲットにしていると伝えられています。weblioの英語表現辞典によると、Full Onは「圧倒的な」という形容の意味を持ちます。

サムスンは今回のGalaxy Fシリーズの投入について、インド国内の大手通販サイトのFlipkartと共同開発としたと発表していますが、「F」というアルファベットはそこから来ていると予想されます。ただし、Flipkartでの独占販売ではなく、サムスン公式サイトやオンラインショップなどでも発売される予定です。

同シリーズのデビュー機種となったがGalaxy F41です。「#FullOn」というキャッチコピーを掲げての登場となりました。現時点でインドのみでの発売予定となっており、10月16日から購入が可能になります。

大型バッテリーが最大の特徴で、これを2019年のGalaxy M10/20の登場から一貫して貫いてきたサムスンのGalaxy Mシリ...
Samsungが2019年より投入した旧型Galaxy Aシリーズに代わる、新型Galaxy Aシリーズ(ここではあえて旧型と新型に...

問題点・Galaxy Mシリーズとの差別化が完全でない

Galaxy F41は一見全く新しいスマートフォンのように見えますが、実は以前に登場したGalaxy M31(最新版はGalaxy M31s)とそのスペックの多くを共有しています。簡単なスペックの比較をします。

Galaxy F41Galaxy M31
ディスプレイ6.4インチ Super AMOLED6.4インチ Super AMOLED
チップセットExynos 9611Exynos 9611
カメラトリプルレンズでM31と同スペックだがマクロレンズはなしクアッドレンズでF41と同スペックだがマクロレンズはあり
メインレンズ64MP f/1.8 26mm広角64MP f/1.8 26mm広角
バッテリー6,000mAh・15W高速充電6,000mAh・15W高速充電
サイズ159.2 x 75.1 x 8.9 mm159.2 x 75.1 x 8.9 mm
公式通販サイト価格(6GB/64GBモデル)16,999ルピー※定価は19,999ルピー17,499ルピー

断言はできませんが、Galaxy F41はGalaxy M31のスペック構成をほとんどそのままに別製品として登場させた可能性が高いでしょう。64MPのメインカメラという特徴は残しつつ、トリプルカメラ化に伴い5MPのマクロレンズが犠牲になっています。

Galaxy F41は背面にトリプルカメラを搭載する

Galaxy Mシリーズはバッテリー容量の大きさを特徴としたシリーズラインとしてすでにマーケット上での立ち位置を獲得できています。しかし、Galaxy F41も6,000mAhという大容量バッテリーを採用していることで、今後のGalaxy Fシリーズのラインナップ次第ではGalaxy Mシリーズとの同士討ちという状態になりかねません。

瓜二つのこれらを 比べた時、スペックシート上で見つけられる違いは前述の5MPマクロレンズの有無のみです。唯一Galaxy F41がGalaxy M31より優れている点は付属の充電器になるでしょう。Galaxy F41付属の充電器はUSB Type-C-Type-Cとモダンな仕様です。Galaxy F41はGalaxy M31より500ルピー(約700円)安いですが、果たしてインドの消費者はこの500ルピーのためにマクロ撮影機能を捨てるのでしょうか。Galaxy F41で今流行りのマクロレンズを搭載していないことに筆者は疑問を抱くばかりです。

ざっくりとしたコンセプトがあるものの、他のシリーズラインと差別化が(まだ)上手くできていない状態で登場したのがGalaxy Fシリーズなのです。

ガジェット知識層ならGalaxy Mシリーズを選ぶだろう

Galaxy F41ですが、Galaxy MシリーズやGalaxy Aシリーズの機種らと同じのチャネルで販売されます。上のスペック比較にもある通り、Galaxy Mシリーズの上位機種が割引価格で手に入るにも関わらず、あえてGalaxy F41を選ぶのは良い買い物とは言えません。

デビュー機種しか存在していない現時点でGalaxy Fシリーズについての評価を下すのは難しいですが、Galaxy F41はあまり良い製品とは思えないのが筆者の意見です。Galaxy F41はGalaxy Fシリーズの上位機種となり、今後にGalaxy F31やF21などの下位機種が出ると予想できますが、この出だしではこの先の新機種のコストパフォーマンスにも高くは期待ができません。

まったく先の展開が読めないGalaxy Fシリーズ

すでにGalaxy MシリーズとGalaxy Aシリーズでインド国内のスマートフォン市場でうまく棲み分けに成功しているサムスン。Galaxy Mシリーズの機種のリブランドばかりになっていけば、ユーザーはラインナップを混同していく事態になるでしょう。ラインナップの規模を小さいままGalaxy Fシリーズを続けるのか、それとも今後に別のシリーズラインとの差別化に動いていくのか、予想は全くできません。今後インド以外のマーケットでも世界的に展開していくのかも予測不可能です。

どちらも順調にセールスを伸ばしている中でGalaxy Fシリーズという新型シリーズラインを投入したのは果たして正しかったのか、今後のGalaxy Fシリーズの展開には期待が寄せられます。

今回の記事では、サムスンが2020年夏(6月以降)に発表したスマートフォンを一覧でご紹介します。 サムスンの2020夏モデルまとめ...

フォローする

Writer

Sekey
アジア市場を中心にレポート

関連記事

関連記事

 コメント

※暴言・個人攻撃等は予告無しに削除します

  1. 匿名 2020.10.16 20:27 ID:6da18d97e 返信

    マクロレンズが流行ってるのはガジェットマニアの間だけ定期

    • 匿名 2020.10.17 10:29 ID:6087c813d 返信

      ガジェットマニア以外はレンズの違いもよく分かってないよ

      • 匿名 2020.10.17 14:14 ID:5202b4b95 返信

        まぁ自称スマホオタクでもレンズの種類や大きさ、仕様にまったく興味ない(でも画素数にはやたらうるさい)
        ってのもいるしで、まぁね

  2. 匿名 2020.10.16 23:12 ID:57e529a0f 返信

    かつて膨らんで取り回しの悪いラインナップだったのを近年仕切り直して良い結果出てたのにね 

    やりたい方向性が特に無いのに何となく見切り発車したのではないことを願うわ 

  3. 匿名 2020.10.16 23:25 ID:da7b74845 返信

    マクロレンズだけ在庫が尽きたんじゃね(適当)

    • 匿名 2020.10.17 10:11 ID:3d2368ca8 返信

      材料がある限り無限に生産できるよ
      生産あっても納期遅れてるだけ

  4. 匿名 2020.10.17 02:36 ID:f150afee5 返信

    機種数増やせば販売台数は増えるから。
    数打てば当たる、って訳じゃないけど、取り敢えずスマホって機種出しさえすれば有名メーカーなら数万〜10万台単位で必ず売れる。
    huaweiやxiaomiがサブブランド含めて大量に出しまくってたのは、話題作りって点もあるけど、母数を増やしたいのが一番あるだろうね。

    • 匿名 2020.10.19 13:03 ID:db9b26ec7 返信

      でもサムスン自身はごちゃごちゃしすぎてたのを一新して持ち直した経緯があるからね