mydriversなど一部メディアの報道によると、任天堂はNintendo Switchとスマートフォンの連携強化や、スマートフォン専用ゲームの開発に、これまで以上に注力しているようです。
台湾のDigiTimes誌は先日、「任天堂がゲーミング・スマホ市場に参入を検討中」と報じました。昨今のゲーミングスマホへの対応として、スマホ市場に参入するのでは?という噂です。
果たして任天堂はゲーミング・スマホ市場に参入するのでしょうか。
変わりつつあるスマホゲーム市場
アップルがガチャのない定額制ゲームやり放題サービス「Apple Arcade」を発表したり、グーグルがクラウドでPS4を上回るパワフルなゲームを実現する「STADIA」を発表したり、スマホゲームの世界が変わりつつあります。
GDC 2019で、グーグルはインド市場など途上国市場への注力を明らかにしています。
世界にはまだ30億人のスマホを持たない人々がいるといわれ、途上国へはプレイステーションや任天堂のゲーム機は進出できていません。
グーグルには、そういった地域をスマートフォンで取り込み、「STADIA」などでゲーム市場を拡大しようという狙いがあるようです。
「Apple Arcade」と「STADIA」にはひとつの共通点があります。
いずれも(※)「月額定額制」で、これまでスマホゲームの中心だった「基本無料でガチャ課金」というビジネスモデルと、まったく違うところです。
※STADIAは今日現在、まだ料金などを発表していませんが、定額制モデルになるだろうといわれています。
もともとガチャ課金というシステムはApp Storeの手数料(いわゆるアップル税)の回避手段として生まれました。アップルはこれまでアップル税回避を封じようとあらゆる手を打ってきましたが、ついに自らガチャ課金をつぶそうとしているともいえるでしょう。
ソニーはスマホゲーム市場から退くのか
そんな中、プレイステーションで知られるソニーは、いまから7年もまえに「Apple Arcade」に先駆けて、よく似たモバイルプラットフォームである「PlayStation Mobile(旧PlayStation Suite)」をはじめました。
直前にはPSP Goによく似たゲーミング・スマホ「Xperia PLAY」が発売されていますが、大きな期待を集めたものの、話題になることもなく2015年にサービスを停止しています。
同じく2012年にソニーは世界に先駆けてクラウドゲーミング・サービスをはじめた「Gaikai」を買収します。「Gaikai」の技術を使い、ソニーは「STADIA」より4年も早くクラウドサービス「PS Now」を開始しました。
しかし、2017年にはPS3やPS Vita、Vita TV、ブラビアやBDプレーヤーを対応機器から削除するなど、大幅に規模を縮小しています。
Xperiaで「PS Now」をプレイできる「STADIA」のようなサービスは、現在まで実現できていません。
2012年といえば、SCEでプレイステーションをけん引してきた平井一夫氏が社長兼CEOに就任した年でもあります。その平井氏は、3月28日に6月18日付で取締役・会長職から退任することを発表しています。
因果関係は不明ですが、翌日には日経新聞が、平井氏のこだわってきたXperia事業の大幅な人員削減を報じました。
ゲーム界の巨人であるソニーのスマートフォンへの取り組みは現在、SME傘下のアニプレックスによる「Fate/Grand Order」の大ヒットなど、基本無料ゲームに偏っています。
PS4を大成功へ導いた平井氏は50代と、まだまだお若いです。グーグルやアップルはゲーム部門成功のために、平井氏を迎えるべきかもしれません。
定額制サービスになっていくゲーム市場
基本無料ゲームが大きな収益を上げる一方、PCやゲーム機では、一足早くゲームは「定額制サービス」になりつつあります。
マイクロソフトは定額制ゲーム放題の「Xbox Game Pass」をはじめました。大手ゲームメーカーEAは同様のサービス「Origin Access」に上位版「Origin Access Premier」を加えました。
これは音楽聞き放題の「Spotify」や「YouTube Premium」のゲーム版です。
今後スマートフォンや、開発中と噂されるプレイステーション5などでは、こういった定額制サービスが当たり前になるかもしれません。
任天堂もまた、新たなビジネスモデルに対応するための変化を求められています。
任天堂はスマホに注力していく
任天堂の社長に就任した古川俊太郎氏は、日経新聞の取材に対し意味深な言葉を述べています。
「任天堂が――長い目で見れば――必ずしも家庭用ゲーム機を事業の中心とし続けるとは限らない」
「時代ごとに独創的なエンターテインメントを届けるためには、何がベストな手段なのか柔軟に考えていく」とも語った古川氏は、かつては株式会社ポケモンの社外取締役としても知られた人物です。
ポケモンは「Pokémon GO」でスマホゲームに大ブームを起こしました。
古川氏がXperia PLAYのようなNintendo Switchスマホを計画しているのか?──それは現在のところ、はっきりとしません。しかし古川氏が一貫して「スマホ向けは重要なビジネスで、将来的に収益の柱の一つにしたい」とスマホ重視の姿勢を見せているのは事実です。
Nintendo Switchはスマートフォンとの連携を強化していくでしょう。数年後には、任天堂アプリからマリオやゼルダをスマホでプレイ可能にする「Apple Arcade」風のプラットフォームをリリースしているかもしれません。
大ヒットしたNintendo Switchはもともと、NVIDIAと任天堂がAndroidタブレットの「NVIDIA SHIELD」を改良したものです。
任天堂が計画しているとされる3DSの後継機や新Nintendo Switchはスマートフォンのような形ではなく、「NVIDIA SHIELD Portable」のようなものになるかもしれません。
NVIDIAがスマホ向けTegraプロセッサーを開発できるかはやや疑問ですが、Nintendo Switchと同じくNVIDIAと共同開発となれば、任天堂にスマートフォンを開発するノウハウが全くないとはいえないでしょう。
任天堂ブランドは「ファイアーエムブレム ヒーローズ」や「ドラガリアロスト」などスマホゲームでも健在です。
任天堂が今後どう動くかで、アップルやグーグルの思惑も大きく外れることになるかもしれません。
任天堂がスマホだしたら、良くも悪くもゲームボーイ~DS系みたいな
ちょっと安っぽいけど頑丈な樹脂外装端末になるんだろうか。
INFOBAR A01とかiPhone5cみたいな感じなら魅力的かも。