ここ数年になり激化するスマホ向けチップセット(SoC)競争。Qualcommとサムスン、Appleに続きMediaTek、HiSilicon、Unisocなどが後を追いかけるという構図はもう過去のものです。各社が低価格で高性能なチップセットを開発生産できるようになったこと、5Gへのフェーズ移行で構図がリセットされつつあります。
それでも勢いを落とさないのが王者Qualcommと、そのミッドレンジ(ミドルアッパー)帯のSnapdragon 700番台。多くのミドルレンジスマホに採用がされ始めているSnapdragon 700番台チップセットのすごさに迫ります。
目次
現行のSnapdragon 700番台ラインナップ
モデル | モデム | プロセス | CPU | GPU | ISP |
Snapdragon 780G 5G | Snapdragon X53 5G | 5nm | Adreno 642 | Spectra 570L | |
Snapdragon 778G 5G | 6nm | Adreno 642L | |||
Snapdragon 768G 5G | Snapdragon X52 | 7nm | Kyro 475(~2.8 GHz) | Adreno 620 | Spectra 355 |
Snapdragon 765G 5G | Kyro 475(~2.4 GHz) | ||||
Snapdragon 765 5G | Kyro 475(~2.3 GHz) | ||||
Snapdragon 750G 5G | 8nm | Kyro 570(~2.2 GHz) | Adreno 619 | Spectra 355L | |
Snapdragon 732G | Snapdragon X15 LTE | Kyro 470(~2.3 GHz) | Adreno 618 | Spectra 350 | |
Snapdragon 730G | Kyro 470(~2.2 GHz) | ||||
Snapdragon 730 | |||||
Snapdragon 720G | Kyro 465(~2.3 GHz) | Spectra 350L | |||
Snapdragon 712 | 10nm | Adreno 616 | Spectra 250 | ||
Snapdragon 710 | Kyro 360(~2.2 GHz) |
上は現行のSnapdragon 700番台シリーズのラインナップをまとめたものですが、発売時期も異なるために数字が大きいモデルほど性能が良いとも限りません。CPUとGPUの組み合わせによってベンチマークスコアに差が出ることもあります。
QualcommはSnapdragon 700番台にもかなり力を入れてきており、12種類ものラインナップが存在します。
ベンチマーク比較 - もうフラッグシップにこだわらなくてよいはず
モデル | AnTuTu v8(総合/3D) | Geekbench v5 (シングルコア/マルチコア) |
Snapdragon 780G 5G | 46.5万点(Mi 11 Lite 5G) | 2909/803(Mi 11 Lite 5G) |
Snapdragon 778G 5G | v8 はデータなしだがv9では780Gとほぼ同等 | |
Snapdragon 768G 5G | 35.0/10.2万点 | 2000/700 |
Snapdragon 765G 5G | 30.3/8.8万点 | 1950/650 |
Snapdragon 765 5G | 32/8.5万点 | 1750/460 |
Snapdragon 750G 5G | 32.9/7.8万点 | 2200/660 |
Snapdragon 855 | 45.2/17.3万点 | 2500/600 |
Snapdragon 845 | 32.0/13.5万点 | 2100/500 |
Snapdragon 855+ | 47.5/19.0万点 | 3450/900 |
上の表はAnTuTuとGeekbenchのスコアを参考にまとめたものです。こうして比較するとSnapdragon 700番台の上位モデルはSnapdragon 845に数値の単純比較ではかなり近づけていることが明らかです。さらに言えば、Snapdragon 780GはSnapdragon 855+にまでとも接戦しているのです。
Snapdragon 855やSnapdragon 855+の搭載スマホを使用しているユーザーは2021年の今でも多いと予想されますが、Snapdragon 700番台はここまで高スペック化が進んでいるのです。
※数値はすべて目安です・参考データとして載せています
Source (Mi 11 Lite 5G): GSMArena
ゲームのヘビーユーザでなければ理想的なチップセット
筆者ですが、Snapdragon 700番台を搭載したスマホは三台所有しています。それぞれvivo X50 Pro(Snapdragon 765G 5G)とGalaxy A52 5G(Snapdragon 750G 5G)、realme X(Snapdragon 710)ですが、どの機種のパフォーマンスにもとても満足しています。
筆者の場合はスマホではゲームしません。スマホは普段の連絡やブラウジング、SNS、ファイル管理などに使うことが主です。Snapdragon 600番台の中でも低いスペックのものでは不満を感じる場面もありましたが、Snapdragon 700番台搭載の上記三機種は見違えるほどに操作性が高く、どんな場面でもスペック不足を感じることはありません。
5Gにだって対応しているのがSnapdragon 700番台
Snapdragon 700番台の多くは5Gモデムを搭載しており、一部モデルはミリ波にも対応しています。Snapdragon 800番台は5G対応が当然となりましたが、2021年の今はミドルレンジであっても対応するようになっています。
日本国内の大手キャリアも続々と5G対応のスマホを発売していますが、そのラインナップの中にはSnapdragon 765G 5GやSnapdragon 750G 5Gを搭載した機種も増えてきています。
結論 - 型落ち中古フラッグシップでなく新品ミドルレンジを選ぶのもありだろう
筆者がこの記事で伝えたいのは、Snapdragon 700番台、特にその上位モデルが高いパフォーマンスを発揮するということです。Snapdragon 700番台搭載スマホはミドルレンジもしくはミドルアッパーというカテゴリに分類されますが、それらは5万円の予算でも手が届きます。中古のフラッグシップでなくミドルレンジ機種を新品で購入することも、ぜひ考えてみてください。
スマホ向けチップセット業界での競争は激化しており、結果としてユーザーは高スペックな製品を安く手に入れられるというメリットを受けることができているのです。
778、780搭載機が出なさすぎなんだよなぁ