2020年も数多くのスマートフォンが業界で登場し、世界のガジェットマニアを熱狂させたのが記憶に新しく残ります。そんな今年度も終わりに近づいていますが、2021年はスマートフォン業界でどのようなトレンドがみられるようになるのでしょうか。筆者の予想に基づいてこの記事内で一部を紹介していきます。
※記事の内容はすべて筆者の予想のため実際とは異なる可能性があります。
目次
2020年のスマートフォン業界トレンドを一部振り返り
はじめに、2020年のスマートフォン業界で見られた技術面・デザイン面のトレンドを一部簡単に振り返ります。
ポップアップ式カメラの採用機種が激減
2019年はvivoやXiaomiなどの主に中華勢からポップアップ式カメラを搭載した機種が非常に多く登場しました。完全なフルスクリーンを実現できる一方で、本体の設計面で障害になることもあるのか、2020年はあまり見られなくなったのも事実です。大手メーカーで唯一長くポップアップ式カメラにこだわっていたのはOnePlusになるでしょう。
ポップアップ式カメラを搭載した機種もパンチホール型カメラを搭載した機種もそれぞれ一定期間は使用してきた筆者ですが、2020年の終わりの今になって振り返るとパンチホール型カメラが実用面では優れていると感じました。このポップアップ式カメラを廃止していくトレンドは全くおかしくない流れだと実感しています。
QコムとMediaTekのシェア争奪戦
スマートフォン向けのSoCの大手として知られるQualcommとMediaTekの二社。これらに加えてサムスンやHiSilicon、UNISOCなどのメーカーが追いかけるという構図が続いています。
MediaTekは2020年になり5Gチップセットを複数発表しており、5G時代のQualcommとのシェア争奪戦が激しさを見せました。結果として、中国ではミッドレンジ以下(3万円未満)の5G機種が早いスピードで多く登場するようになりました。一方でグローバルマーケット向けにはまだ勢いが足りない印象を筆者は受けました。
グラデーションデザインの終了
Huaweiがもたらしたトレンドとも言われていた本体背面パネルに採用されるグラデーションデザイン。2020年になってからこのグラデーションデザインを採用する機種・メーカーというのが少しずつ減っていることは明らかです。
結果として、各メーカーはこれまでよりもよりオリジナリティのあるデザインをスマートフォンに採用するようになっています。OnePlusやサムスン、Huaweiなど、バックパネルの素材にこだわることで新たなデザイン性を生み出す動きなどがみられました。このトレンドは2020年の良い流れでした。
ロゴデカのデザインがプチトレンドに
realmeとHonorが先ず取り入れた、ロゴを背面パネルにデカデカと(大きく)配置するというデザイン。そのロゴの大きさは背面パネルの大きな面積を占めており、なかなかインパクトが強いものでした。のちにXiaomiがPOCO X3 NFCで似たデザインを採用していますが、ユーザーからの評判は良いものばかりではなかったでしょう。
このデザイントレンドは2021年には断たれるべきだと筆者は強く主張します。
パンチホール型カメラがミッドレンジにも採用され始める
Galaxy S10シリーズなど、フラッグシップ機種でのイメージが強かったパンチホール型カメラ。それが2020年になってからはミッドレンジ機種でも次々と採用されるようになりました。
この動きはユーザーにとってとても有益でした。ただし、さすがに2万円を大きく下回るようなエントリーモデルでの採用は多くありませんでした。
以下の記事では2019-2020年の期間での各メーカーのパンチホール型カメラへのアプローチを簡単にまとめています。2020年になり多くのメーカーがパンチホールの位置を左配置にする動きがありました。
5G対応スマートフォンの普及がやや進む
2020年になり、5Gチップセットを搭載した機種がミッドレンジ帯でも見られるようになりました。2019年はフラッグシップ機種に偏っていた5G対応スマートフォンのラインナップも、今年で非常に丸くなったでしょう。これは先に述べた5G対応チップセットの増加によるものです。
ただし、これは中国で主に見られたものであり、グローバルマーケットでは当てはまりません。それでも、Galaxy A51 5GやPixel 4a 5G、OnePlus Nordなどの5G対応ミッドレンジ機種が登場しているのは事実です。日本でも3大キャリアはラインナップを幅広く展開できています。一方で、5G技術自体は一般ユーザーの間で大きくは話題になってないと言える2020年でした。まだ供給が需要とややミスマッチしているような印象です。
2021年の業界トレンド予想① 本体フレームの角ばりデザインの普及
AppleがiPhone 4で取り入れたことで多くの熱狂的なファンを生んだ角ばりのフレームデザイン。手に収まるサイズ感と角ばったフレームとが相性よく、とても気に入ったのも筆者の記憶に残っています。そんなAppleはジョブズというリーダーを失って以降のiPhone 6から角ばりのフレームデザインを廃止していましたが、2020年発表のiPhone 12になりそのデザインを再び取り入れたのです。
このデザイントレンドは2021年に大手メーカーが続くことで普及していくと筆者は考えています。Samsungは2020年になり本体のフレームを以前より角ばったものにしていたのは事実です。そこに、AppleがiPhone 12シリーズで完全な角ばりのデザインを採用したことで業界にも変化が起きるでしょう。OppoはすでにOppo A73、HuaweiはHuawei Nova 8 SEでそれぞれ角ばりのデザインを採用しています。ただし、ユーザーにとっては持ちやすさで好みが分かれるため、注意が必要です。
かつてのデザインが再熱。2021年はさらに多くのメーカーがこのデザイントレンドに倣うことになると予想します。
2021年の業界トレンド予想② バッテリー容量の大型化
2020年になり、4,000mAh前後の大型バッテリーを搭載した機種が4Gチップセット採用のものであっても多く見られるようになりました。この傾向は特にエントリーモデルに見られました。
SamsungはGalaxy M51で7,000mAhというタブレットに近いレベルの容量のバッテリーを採用するなどしており、2021年は多くのメーカーのラインナップで4,500mAh前後のバッテリー容量が標準になってくるのではないかと筆者は予想します。このバッテリー容量大型化のトレンドは、Xiaomi等が主導して積極的に進められていくでしょう。バッテリー大型化に伴って課題となってくるのが、本体の重量の増加です。メーカーはバッテリーサイズを魅力的なものにしつつ、ユーザーにとっての取り扱いのしやすさも考慮して設計していく必要があるでしょう。
2021年の業界トレンド予想③ 5Gチップセット搭載のミッドレンジ機種が強化(グローバル向け)
2020年はOnePlus NordやGoogle Pixel 4a 5Gなど、ミッドレンジ機種で5Gに対応するという機種が複数登場しました。
現時点では5Gは先進国で取り入れられていることがほとんどです。その場合、当然ながらエントリーモデルへの需要も5G非導入の国と比べると弱いため、5G対応のエントリーモデルを実現するためのチップセットが積極的に登場する可能性はそう高くないと考えられます。ただし、2021年にもQualcommやMediaTekなどから5G対応のミッドレンジ機種向けチップセットが新しく登場することで、ユーザーの機種の選択肢がより広がることになるでしょう。
2021年の業界トレンド予想④ ノッチからパンチホールへ
2020年になってから急速に普及したパンチホール型カメラを搭載した機種。大手メーカーのAndroidスマートフォンだけに限れば、2021年には水滴型ノッチを搭載した機種よりもパンチホール型カメラを搭載したものが多くを占めるようになると予想されます。
2020年の段階でも一部メーカーはエントリーモデルにもパンチホール型カメラを採用しており、それが来年には業界全体で見られる可能性があるでしょう。
加えて、インディスプレイカメラの普及もゆっくりと進むことが期待できます。
2021年の業界トレンド予想⑤ この先vivoが存在感を高める
Funtouch OSというカスタムOSを自社製品に採用しているvivoですが、11月19日になりOriginOSという新型カスタムOSを発表しました。NEXシリーズやiQOOブランドの製品に優先してベータ版が配信される流れは予想できたものですが、安定版が登場すればvivoの機種の評価というものが上がっていくと考えられます。
vivoは2021年の年始からの早速ベータ版の配信を開始します。このベータ版の対象となるのは中国国内で発売された一部の最新機種のみとなっており、グローバル向けの機種はハイエンドモデルであっても対象とならないことが現時点では伝えられています。よって、オフィシャル版の正式な配信は2022年、グローバル向けにはさらに遅いペースになってしまうシナリオも予想はされます。
AppleはiOS 14でこれまでAndroidの限定的な特徴であった「ウィジェット」というものを正式に採用しています。AndroidとiOS間で機能面ギャップが埋まりつつあるのは明らかです。ここでvivoがどのようなアプローチをして差別化を改めてするかが期待されます。よって筆者は2021年はvivoに注目をしたいと考えています。
ベータ版の段階でも非常に完成度の高い印象を受けたOriginOSは、2021年のvivoの勝利のカギを握ることになるでしょう。
2021年の業界トレンド予想⑥ 折り畳みスマートフォンは高価格が続く
5Gスマートフォンは一般層向けにも普及しつつあるその一方、2021年になっても折り畳みスマートフォンの価格は高いままで、大衆のためのものとはならないでしょう。
2020年でもメジャーになった折り畳みスマートフォンはGalaxy FoldシリーズとHuawei Mate Xシリーズのみです。どちらも高価格であることから、一般ユーザーというよりはマニアが好んで買うジャンルであったことに間違いありません。Oppoも11月の半ばにOppo Xという水平にディスプレイを展開できるという画期的な特徴を持ったコンセプト機を発表していますが、これはまだコンセプトモデルであるため、製品化には時間を要することになるでしょう。
メーカーもマニアックなジャンルだと認識しているはずなので、2021年に新品で10万円を切るような機種が登場するとはやや想像しにくいです。
まだまだ来年も期待が止まらないモバイル業界
2020年もマニアを驚かせる様々な機種が多く登場する年となりました。一般ユーザーのレベルでは、モバイル業界にCovid-19の影響は極端に大きく見えるものではなかったと感じます。来年の業界の動向からも目が離せません。
VivoとOppoはこれからすごくなる気がする