昨年10月に発売されたGoogleの最新作であるPixel 5。Googleが手掛けるスマートフォンで最新のAndroid OSが使える一方で、スマートフォン本体は(比較的)コンパクトな小型機、ミドルレンジ級のスペック、望遠なしのデュアルカメラ搭載と現状のトレンドの逆を行くような仕上がりとなっています。
しかし、5GやeSIMへの対応、ソフトウェア補完で依然高性能なカメラ、美しい有機ELディスプレイ、圧倒的長持ちのバッテリー、防水/ワイヤレス充電/おサイフケータイ等の便利機能などユーザーが求めている機能はしっかり抑えられています。その上、スペックを抑えたおかげで低価格(74,800円)を実現したPixel 5はロマンはないものの誰にでもおすすめできるベーシックなAndroidスマホとなりました。
今回はそんなPixel 5を購入しましたのでレビューしていきます。
良いところ
- 防水+Qiで風呂スマホからの即充電が便利すぎる
- iPhoneよりも寄れるポートレートモード、iPhoneよりもかっこいい夜景の色味
- 爆速の指紋認証
- 4辺均等なベゼルデザイン、バイオレジンの質感、コンパクトなサイズ感
- こなれてきた価格
- アプデが早い
- eSIMに対応
悪いところ
- ディスプレイ輝度の自動調整機能に2秒ほどラグがあって不自然
- 耳が痛くなるスピーカー
その他ポイント
- 90Hzディスプレイはあってもなくてもいい
- Snapdragon 765Gはゲームには不向き
目次
【はじめに】なぜ今Pixel 5なのか
Pixel 5は昨年発売されたモデルで、発売してからすでに半年ほどたっています。それでもPixel 5を選んだのはちょうどいいスマホだから。ハイエンドに近い性能で防水、ワイヤレス充電、eSIMなどの機能がてんこ盛りなのはPixel 5ぐらいでしょう。
また、発売後半年たったためかau版の定価が65,575円へ大幅値下げされました。(Google直販では74,800円)キャンペーンも充実しており、今なら非常にお買い得に購入可能です。ちなみに私はau版を通信契約とセットで約3万円で入手しました。超お得だったのでうっかり手が滑ってしまいましたね(笑)
また、iPhoneのFace IDに嫌気が差したのも理由の一つ。Pixel 5にはTouch IDが復活すると噂のiPhone 13シリーズが出るまでメイン機を担当してもらおうと思っています。
また、以前レビューしたPixel 4aは防水、ワイヤレス充電非対応であることに不満がありました。キャンペーンで非常にお買い得だったのでPixel 4aを売りその資金でPixel 5に乗り換えた次第です。
バイオレジンの温かみと高級感を両立した本体
簡単に本体を見ていきます。
同梱品はいつものPixel同様です。18Wの充電器と充電ケーブルが付属しているのは嬉しいポイント。
Pixel 5の背面の素材は一見ポリカーボネートのようなプラスチックに見えますが、実はアルミニウム製となっています。表面にバイオレジンのコーティングがされているため、さわり心地はプラスチックや紙みたいで滑りにくく、それでいてアルミニウムのひんやり感や高級感を残しています。ちなみにPixel 5はボディの一部をプラスチックにすることでアルミ筐体なのにワイヤレス充電に対応しています。
表面の質感はかつてデザインに拘ったスマートフォン「NUANS Neo Reloaded」の、石を薄切りにした純正カバーのストーンに似ている気がします。持っていて気持ちいいのでできればケース無しで運用したいですね。
前面を見ていると4辺のベゼルの太さが均等であることに気が付きます。
殆どのスマートフォンは設計上どこか1辺のベゼルが太くなりがちです。しかし、Pixel 5はすべてのベゼルが均等で見た目がスッキリとしてます。デザインにかなり労力をかけた証拠でしょう。
持ってみるとまず伝わるのがコンパクトであること。
大画面化がトレンドのスマートフォンの中で6.0インチディスプレイ、横幅70.4mmと非常にコンパクトにまとまっています。
試しにPixel 4a用のケースを付けてみましたがピッタリ収まりました。このサイズ感であれば片手操作も簡単にできそうです。
よく撮れる優秀なカメラ
Pixel 5のカメラは相変わらず優秀です。
Pixel 5のメインカメラのイメージセンサーはPixel 3、Pixel 4と同じIMX363。3年目に突入したこのセンサーですがGoogleのソフトウェアによる最適化が効いていて今でもしっかりと現代的な写りをします。
現実ではこれぐらい暗い場所でもナイトモードで一つ前のような仕上がりになります。色鮮やかでディテールも残った写真が残せます。
複数のカメラを搭載していながらもそれぞれのカメラで色味が違ったり使い勝手が大きく変わったりするスマホが多いなか、Pixel 5で新たに搭載された超広角カメラはメインカメラとほぼ同じ使い勝手で利用可能。
色味はもちろんのことナイトモードなどの機能も利用可能で撮りたい写真が撮れます。
ポートレートモードはかなり寄っても利用可能。iPhoneだと50cmほど離れないと利用できず、背景をぼかそうにもそもそも被写体から離れすぎてしまってていい写真にならないことが多かったでしたが、Pixel 5のポートレートモードはその悩みを解決してくれました。寄れるって素晴らしい。
残念だったのがPixel 5出始めて搭載されたポートレートライト。ポートレートモードで撮影後に高原の位置をソフトウェアで調整できるこの機能ですが、どうやら人に対してのみ利用可能でモノには反応しないようです。モノにも使えるのであれば好きなライティングで物撮りができたのですが、この仕様だと他人の写真を撮ることがない陰キャオタクの私は使わない機能でしたね。
同じセンサーを使い、ソフトで補正する戦略も限界か
基本的には優秀なPixel 5のカメラですが、同じセンサーを使い続けるのもそろそろ限界だと思います。
←7倍望遠 等倍撮影後トリミング→
それを顕著に感じたのが望遠撮影時。Pixel 5は複数枚撮影することでデジタルズーム時にも高解像度化する機能が搭載されています。確かにトリミングした写真と比べると解像度が上がっていますが望遠レンズ搭載の他社スマホと比べると雲泥の差。ソフトだけでは埋められない溝があります。
また、3年前のセンサーでもいまだにいい写真が撮れるのは事実ですが他社スマホと差が縮まりつつあるのも事実です。魅力的なスマホカメラが多い今、そろそろセンサーを更新してもいい時期かなと思います。
作例集
ここからはPixel 5で撮影した作例を何枚かご紹介します。
Pixel 5から搭載された超広角カメラの作例です。ダイナミックな画角である上、明るい空と暗い室内の両方がしっかりと描画されています。
一方でこちらは超解像ズームを利用した2倍望遠の作例。ガラスから降り注ぐ優しい光とそれを引き立てる影を捉えられました。若干解像感が落ちているものの印象的な写真を撮ることができます。
ポートレートモードはかなり寄れます。テーブルフォトでは座っている位置からそのまま撮影できるため非常に快適。グラスの下部はボケてしまっていますが上部の葉っぱの切り抜きは自然に仕上がっています。店内の照明の都合上右側は影になってしまいましたが逆に立体感を生み出していると思えば上出来でしょう。ポートレートライトで右側を明るくできるといいのですが...
iPhoneでは難しかった前ボケも作れました。一眼カメラのとろけるようなボケとまではいきませんが、表現として前ボケが使えるのは面白いですね。
ナイトモードはiPhoneと比べると寒色寄り。そのため、都会の夜景であれば無機質でかっこいい写真が撮れます。(上に伸びてるサンピラーみたいなやつは光源のフレアです。)
Pixel 5は防水なので水につっこんでこんな写真が撮影できます。水辺でも臆せず使えるのは防水スマホの特権ですね。(水中写真はくれぐれも自己責任で!)
明暗差が激しいシーンです。光が反射しているところは白飛びしてしまっていますがカンカン照りの外の風景はしっかりと残っています。広いダイナミックレンジのおかげで緑に囲まれた場所であることがしっかり表現できました。
ちょっと意地悪ですが逆光で撮影してみました。太陽付近はパープルフリンジが出てしまっていますがこの程度であればLightroomで簡単に補正が可能です。
気になるところといえば左の黒い鯉のぼり。撮影時は風が強かったため複数枚撮影HDRが効かず、ノイズがでてしまっています。動体に弱いのはコンピュテーショナルフォトグラフィーの弱みですね。
これも逆光での一枚。Pixleは1秒間の動画を撮影しその中で最も最適なワンフレームを自動で選んでくれるため、水の波がもっとも大きくなったタイミングの写真が残せました。
撮影後に1.3倍望遠相当にトリミングした作例です。Pixel 5のメインカメラは12MPで決して高解像度とは言えないですが、フレーム端のいらないものを除く程度であれば問題ないです。
スマホカメラの需要No.1のメシ撮りをしてみました。新鮮な肉の赤み、コントラストとなるネギの緑と卵黄の黄色が映え、無事美味しそうに撮れました。
ディスプレイは改善の余地あり
ディスプレイは2,160×1,080ピクセルの有機ELディスプレイ。超キレイというわけではないですが普通にハイコントラストで美しいです。
画面の美しさはいいのですが問題なのが自動調光。Pixel 4a同様にディスプレイの自動調光のラグがひどいです。
iPhoneの場合は環境光が変化するとそれに合わせてじわじわと違和感なく輝度が変わるのですが、Pixelは2,3秒ほど変化なく、その後一気に輝度が変化します。もっと素早く、なめらかかつ自然に変化してほしいものです。
また、Pixel 5で始めて搭載された90Hzのスムースディスプレイですが自分は恩恵を感じませんでした。というのはPixel 5はSoCがSnapdragon 765Gとミドルハイのものを採用しているため、一般的な操作にハイエンドスマホ比でラグがあります。ディスプレイがヌルヌルである以前にそこが解消されていないため操作に快適感を感じません。90Hz以上のリフレッシュレートはハイエンドスマホの特権かなと思います。
生活を豊かにする機能がしっかりと抑えられている
Pixel 5で便利だと感じたのが防水+ワイヤレス充電のコンボ。私はよくお風呂でスマートフォンをいじるのですが、防水とワイヤレス充電に対応したPixel 5はお風呂スマホだけでなくその後すぐに充電ができます。これがめっちゃ便利!
また、キャッシュレス時代の標準機能であるおサイフケータイにも対応しています。このあたりはミドルレンジ帯の中華スマホにはない強みですね。
また、iPhone 12からの乗り換えで一番便利だと感じたのがコロナ時代に必須の指紋認証。Pixel 5は背面に指紋リーダーがありますが、自然な位置にあり精度も問題ありません。最高です。
また、バッテリー持ちも非常にいいです。Pixel 5のバッテリー容量はPixel史上最大の4,080mAh(Pixel 4は2,800mAhだった)。省電力なミドルレンジのSnapdragon 765Gを採用したこともあってか、メイン端末として丸1日ガンガン使っても30%以上バッテリーが残っている事が多いです。
Pixel 5はAndroid勢では珍しくeSIMに対応しており、eSIMが使える楽天モバイルやpovo、LINEMO(特にeSIMの再発行が簡単な楽天モバイル)と相性が非常によいです。特に同じくnanoSIM+eSIMのiPhoneと2台持ちであれば共通の運用ができて快適ですよ。
GoogleらしいPixelの独自機能
Pixel最大の特徴がGoogle純正であること。そのため、いつでも最新のAndroid OSが利用できるうえ3年間のOSアップデートが保証されています。
また、Pixel 5には様々なGoogle独自の機能が追加されています。
その中でも地味に便利なのが音楽の自動認識。Pixelは自動で環境に流れている音楽を記録しリスト化してくれます。「あのとき流れてた音楽ってなんだったんだろう」というときに名前を提示、そのままSpotifyやYouTubeで再生と言ったことができるのが結構便利です。
Pixelの独自機能はPixel 4aとほとんど同じですので詳しくはPixel 4aのレビュー(↑)をご覧ください。
まとめ:通信機器としては最高、コンテンツを楽しむ端末としてはイマイチ
Pixel 5は少しだけGoogleらしさを残した上でオーバースペックな機能を削ぎ、本当に必要な機能だけを載せた、ロマンはないけどユーザーにもユーザーの財布にも優しいモデルとなっています。
通話する、SNSでつながる、写真を撮って共有する、ネットブラウジングをする、出先でメールや地図をチェックするといった通信機器としては非常に出来の良いスマートフォンです。発売してから半年経過していますが未だにおすすめできます。
一方で、動画やゲームなどのメディアやコンテンツを楽しむ機種ではありません。Pixel 5のSnapdragon 765Gは原神やAPEXなどの3Dゲームを楽しむには非力だし、スピーカーは音量が60%を超えると耳が痛くなり80%を超えると割れ始めます(低音量のときの音質は悪くないですが)。Pixel 5はXLなしの6.0インチモデルのみの展開となっており、各種コンテンツを楽しむ大画面もありません。
Pixel 5は小さめのAndroidスマホがほしい、しっかりと安心して使えるスペックがいい人、特にその中でもiPadなどのコンテンツ特化端末を持っている人にオススメなスマートフォンとなっています。
写真の作例は公式サイトに乗っていてもおかしくないシーンで羨ましい環境だなあ
Pixelシリーズはちょっと触ったけど、効果音やらカメラの手軽に取れて高品質な感じや背面センサー搭載は嬉しい反面
ソフトウェアはやはり退屈なままだし、シャッター音切れないのがムカついてやめたなぁ・・・