今回は、MVNOの最大手2社、IIJmioとOCNモバイルONEを「料金・プラン」「速度」「端末」の点を中心に比較していきたいと思います。
2020年6月末時点のMVNO(SIMカード型)の契約数による事業者別シェア率上位5社は以下の通りです(カッコ内は前年同期比):
1位 楽天モバイル 16.3%(▲1.7%)
2位 インターネットイニシアティブ(IIJmio) 13.7%(+0.4%)
3位 NTTコミュニケーションズ(OCNモバイルOne) 10.8%(+0.1%)
4位 オプテージ(mineo) 8.8%(0%)
5位 LINEモバイル 6.1%(+0.1%)
1位の楽天モバイルは自社回線事業を開始したため、いずれMVNOシェア0%になることが確実です。したがって、IIJmioとOCNモバイルONEがMVNO業界の実質ツートップといえるでしょう。
目次
要約
IIJmioは「料金・プラン」で勝ち、「速度」・「端末」ではOCNモバイルONEで勝っています。IIJmioはSIMのみ契約のユーザ獲得に力をいれており、OCNモバイルONEはスマホとのセット契約ユーザに力をいれていることが伺えます。
料金・プラン:IIJmioがキャンペーンでお得
基本料金だけでみると、OCNモバイルONEの方がややお得です。
(税込) | IIJmio 音声通話機能付きSIM | OCNモバイルONE 音声通話機能付きSIM |
1GB | 従量制プランであれば1,298円 / 月〜 | 1,298円 / 月 |
3GB | 1,760円 / 月 | 1,628円 / 月 |
6GB | 2,442円 / 月 | 2,178円 / 月 |
10GB | - | 3,168円 / 月 |
12GB | 2,178円 / 月 | なし |
20GB | - | 4,840円 / 月 |
30GB | - | 6,578円 / 月 |
通話料金 | 22円/30秒 (専用アプリの利用で11円/30秒) | 22円/30秒 (専用アプリの利用で11円/30秒) |
IIJmioはSIMのみ契約でのキャンペーンを頻繁(一年のうち半分以上の期間)に実施しており、現在も「冬の乗り換えキャンペーン」というお得なキャンペーンを来年2月3日まで実施しています。
キャンペーン中の申し込みで、下記3つの特典が利用できます。
特典 | 概要 |
①初期費用1円 | 通常3,300円必要な事務手数料が1円に割引 |
②月額割引 | ・音声SIMの月額料金を6ヶ月間1,210円割引 ・ファミリーシェアプランのみ2・3枚目SIMの月額利用料が無料 |
③端末セット割引 | MNP乗り換えの新規契約で人気のスマホが最大86%割引 |
このキャンペーンを利用すれば、音声通話機能付きSIMの3GBプランが550円となるため、OCNモバイルよりもかなり安くなります。例として、1年間使った場合の料金を計算してみました:
音声通話SIM 3GBプランの場合 (端末代除く)
- IIJmioの場合、割引料金550円×6ヶ月間=3300円、通常料金1760×6ヶ月間=10560円。合計13,860円です。
- OCNモバイルの場合、通常料金1,628円×12ヶ月間=19,536円です
ちなみにキャンペーンが非適用の場合、IIJmioの年間料金は1,760円×12ヶ月=21,120円となります。
キャンペーン適用中であれば、IIJmioの方が3割程度安くなります。キャンペーンは1年に何度か開催されるので、キャンペーン時にはIIJmioがお得になるでしょう。
また、IIJmioはau回線対応・eSIM対応という点でも、OCNモバイルONEより優れています。
速度:OCNモバイルONEに軍配
速度に関する公式サイトの情報は、下記の通りです。
IIJmio | OCNモバイルONE | |
速度 | タイプD:下り最大1288Mbps、上り最大131.3Mbps タイプA:下り最大958Mbps、上り最大112.5Mbps | Xi(クロッシィ)相当 |
節約モード時 | 最大200Kbps | 最大200Kbps |
通信制限時 | 最大200Kbps | 最大200Kbps |
それでは、実際の速度を見ていきましょう。(参考:格安SIMの通信速度計測 )
実際の速度
2020年12月10日(木)と12月12日(土)の速度です。比較として速度に定評のあるUQモバイルの速度も載せています。
平日:2020年12月10日(木)の速度
IIJmio(タイプD) | IIJmio(タイプA) | OCNモバイルONE | UQモバイル | |
朝 | 7.8Mbps | 4.2Mbps | 18.4Mbps | 10.6Mbps |
昼 | 0.3Mbps | 6.3Mbps | 9.9Mbps | 13.6Mbps |
夜 | 4.5Mbps | 4.4Mbps | 8.1Mbps | 10.6Mbps |
IIJmioのタイプDは平日の昼にかなり速度が落ちています。通信制限がかかっているレベルの速度のため、ネットサーフィン程度の通信であってもストレスを感じることでしょう。一方OCNモバイルONEはUQモバイル並の速度が出ています。
休日:2020年12月12日(土)の速度
IIJmio(タイプD) | IIJmio(タイプA) | OCNモバイルONE | UQモバイル | |
朝 | 5.8Mbps | 5.7Mbps | 7.5Mbps | 15.4Mbps |
昼 | 1.7Mbps | 1.6Mbps | 9.7Mbps | 12.2Mbps |
夜 | 7.4Mbps | 6.6Mbps | 6.0Mbps | 13.3Mbps |
IIJmioはタイプDとタイプAにそこまで差は見られませんでした。OCNモバイルONEは、朝夜よりも昼の速度が速いという意外な結果となりました。さすがにUQモバイルには劣りますが、OCNモバイルONEも比較的安定した速度が出ています。
端末: ラインナップは引き分け・価格はOCNモバイルONEが安い傾向
端末ラインナップは、引き分けです。IIJmio・OCNモバイルONE共にMVNO各社の中で最も充実している二社です。他方、端末セット割の安さという意味ではOCNモバイルONEに軍配が上がります。OCNモバイルONEはほぼ毎月キャンペーンを実施しています。現在もRedmi Note 9Sが税込220円となるキャンペーンが12月23日まで開催されています。
まとめ
IIJmioは「料金・プラン」で勝ち、「速度」・「端末」ではOCNモバイルONEで勝ちという結果になりました。
Docomoの新料金プランahamoの登場により、キャリアサブブランドのUQモバイルやワイモバイルも追加値下げが見込まれる状況です。また、現在NTTコミュニケーションが運営するOCNモバイルONEはNTTによるDocomo子会社化の流れで、Docomoの傘下に入る可能性も取沙汰されています。
業界(実質)ツートップのIIJmioとOCNモバイルONE、数年後は果たしてどうなっているのでしょうか。特に独立資本のIIJmioにとっては生き残りを賭けた戦いが待ち受けているでしょう。
IIJmioのタイプDだけど田舎だと重いとは一切感じないほどに快適ですわ