世界最大の電子機器受託生産(EMS)企業である台湾Foxconn。Appleを始めとする多くの企業が同社に製品の生産を委託しており、日本では任天堂のハードやペッパーで有名なソフトバンクロボティクスの製品などがFoxconnによって生産されています。
この度、Foxconnが一部の工場を中国からベトナムへ移転する計画があるということが報道されました。Foxconnは、中国国内だけでも深センにある2つと、上海、成都、鄭州、太原にある計6つの工場でiPhoneを組み立てています。世界に流通するiPhoneのほとんどが中国にあるFoxconnの工場で組み立てられており、iPhoneの背面には「Assembled in China」の文字が刻まれています。もしこの報道が真ならば、将来「Assembled in Vietnam」のiPhoneも登場するかも知れません。
報道によれば、Foxconnはすでにベトナムで土地の購入を済ませており、建設を進めているとのこと。ただ、9月発売と見られているiPhone XIに向けたFoxconnの従業員は既に雇用が済んでいるため、ひとまずiPhone XIに関しては中国国内で組み立てられるようです。その更に次、2020年のiPhone 12は、ベトナムで生産される可能性があります。
数週間ほど前、「ニンテンドースイッチの生産がベトナムに移転(リンク先はBloomberg)」というニュースが流れました。前述の通り任天堂の生産委託先はAppleと同じくFoxconnです。この2つの新工場はどちらも同じものを指しているのでしょう。
この移転の最大の理由はもちろん米中貿易摩擦による関税と中国の情勢不安ですが、移転したあとには別の問題が発生するようです。過去20年以上世界の工場としての立ち位置を保ってきた中国では、あらゆる製品のサプライチェーンが確立しています。FoxconnがベトナムへiPhone工場を移転しても、一定の品質を保つためには中国から部品を輸入することが必要です。
最近、企業が中国工場の移転先としてベトナムを選ぶケースが多いように感じます。LGは、韓国からベトナムへ生産を移転しました。トランプ大統領による中国への制裁がもたらすのは、自国産業の復興ではなく第三の途上国の成長かもしれません。
Source:TechWeb
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