カナダで生まれ、世界的なヒットをもたらしたBlackBerry。ビジネスマンからライトユーザーまで多くを魅了したあのキーボードは、スマートフォンの登場と共に過去のものとなっていきました。この記事ではそんなBlackBerryの世界を少しだけ覗いていきます。
記事内で取り上げるのはBlackBerryブランドのAndroidスマートフォンが中心となっています。
目次
BlackBerryをざっくりと
BlackBerry(旧Research In Motion)は1984年にカナダで創設されたIT企業で、企業・政府向けのソフトウェア開発事業やセキュリティ関連事業、自動車向けOS事業など幅広くを手掛けます。BlackBerryは同社が販売していた携帯情報端末(PDA)およびスマートフォンを総称して呼んだものと記事内では考えます。
BlackBerryは物理キーボード(QWERTYキーボード)を搭載していることが最大の特徴です。セキュリティの高さから海外のビジネスマンが会社支給の業務用端末として愛用していた一方、あとになって低価格を理由に一部の後進国でもとてもメジャーになりました。日本ではdocomoから発売がされていました。
BlackBerryブランドのAndroid OS搭載スマートフォンが発表されたのはBlackBerry Privの2015年です。以降、2020年まで合計で10種類のAndroidスマートフォンを発売しています。
アメリカ前大統領のバラク・オバマ氏はBlackBerryの熱狂的なファンとして知られています。日本のユーザーにもBlackBerry PassportやBlackBerry Classicなどの機種を触ったことがあるという方は多いでしょう。
さらばBlackBerry
2015年にBlackBerryブランドで登場した初めてのAndroidスマートフォンがBlackBerry Privです。Privというのは「Privacy(プライバシー)」を意味しており、セキュリティ面で評価されているBlackBerryならではの端末となっていました。
2016年、BlackBerryはTCLにブランドライセンスの提供を開始します。BlackBerry側がソフトウェアを、TCL側がハードウェアをそれぞれ担当し新製品が登場することとなりました。
2020年になりTCLはBlackBerryブランドのスマートフォンの製造を終了することを発表しています。同社が2016年に開始したBlackBerryスマートフォンの外部生産に幕を閉じました。BlackBerryというモバイルにおけるブランドはResearch In Motionによって育てられ、TCLのもとで最後を迎えることになったのです。
TCLはもともとスマートフォン事業ではAlcatelブランドの製品を製造していますが、近年の激化した競争で勢いを失くしています。BlackBerryブランドのスマートフォンでの勝負も振るわず、現在は自社ブランドの製品で徐々に存在感を上げています。
AndroidとiOSの普及
BlackBerry(スマートフォン)の敗因として、AndroidとiOSが世界全体ですでに大きく普及したことが挙げられます。アプリ開発者側もBlackBerry OSではなく二つのメジャーOSを意識するようになります。かつ、Androidスマートフォンのジャンルの中でも中華メーカーらがマーケットを占拠していったなどの理由でBlackBerryは徐々に廃れていきました。
AndroidとiOSが大きく普及した後も一部の発展途上国ではBlackBerryが人気でしたが、その人気も今となっては過去のものとなりました。
SNS利用の変化
世界各国でメジャーに使われているSNSアプリというのは異なりますが、BlackBerryがかつて手掛けていたBlackBerry Messenger(BBM)というメッセージアプリは多くの国にユーザーを抱えていました。
時代も変化し、Facebook MessengerやWhatsApp、LINEなどのようなSNSがシェアを伸ばしたことでBBMを使うユーザーは減っていきました。結果として2019年にサービスは終了しています。この出来事もBlackBerryブランドの衰退を象徴するものとなりました。
物理キーボードは過去のものとなった
ガラパゴスケータイなどのような物理キーボードが一般的だった世代にとって、スマートフォンのタッチパネルキーボードというのは簡単に受け入れられるものではありませんでした。スマートフォンが一般的に普及した今、BlackBerryにあるような物理キーボードにこだわる人はかなり少なくなっています。
物理キーボードと違い力を入れずに入力ができるタッチパネルのキーボード。IMEの種類も豊富になり、カスタマイズ性も非常に高くなっています。片手での操作性を考えれば物理キーボードが敬遠されるのは当然です。BlackBerryのキーボードは時代が求めるようなものではなくなってしまったのです。
BlackBerry Androidスマートフォンラインナップをふりかえる
BlackBerryブランドで登場した初めてのAndroidスマートフォンがBlackBerry Privでした。Privというのは「Privacy(プライバシー)」を意味しており、セキュリティ面で評価されているBlackBerryならではの端末となっていました。
BlackBerry Priv以降はBlackBerry KEY one、BlackBerry Evolveなどの機種を発表し、BlackBerry KEY 2 LEで長かったブランドの歴史に幕を閉じました。
BlackBerryのスマートフォンはどの機種もパッケージから付属品まで凝っているのが筆者は気に入っていました。
BlackBerry Priv
BlackBerryの初のAndroid OS搭載スマートフォンとして2016年に登場したBlackBerry Priv。スライド型のキーボードが隠れるように収納されているのが特徴です。
エッジディスプレイを搭載していますが、充電中(消灯時)はエッジ部分にアニメーションが現れるのがとてもクールでした。筆者が絶対に手放したくないスマートフォンの一つです。
BlackBerry KEY one
物理キーボードはスライド式ではなく、これまでのBlackBerryのスタイルに変更されています。キーボードへのアクセスが容易になっただけでなく、タッチセンサーや指紋センサーがキー本体に搭載されるなどの改善がされました。重量も減りBlackBerry Privより扱いやすくなりましたが、ディスプレイサイズが大幅に小さくなったのがスマートフォンとしては難点でした。
BlackBerry KEY oneはBlackBerry社が製造する最後のスマートフォンでした。
BlackBerry Evolve
BlackBerry Evolve(シリーズ)はBlackBerryブランドのスマートフォンでありながら物理キーボードを搭載していない機種でした。4000mAhの大型バッテリーや18W高速充電対応など魅力的な部分はありましたが、カメラ性能やチップセットの評判があまりよくなかったようです。こちらはインドの企業が製造を行い、インド向けに発売された製品でした。
BlackBerryのアプリが便利
BlackBerryのスマートフォンですが、多くの人が慣れ親しんだ物理キーボードを再現しただけでなく、独自のアプリが標準搭載されていることも魅力でした。
BlackBerry® Hub+というアプリは登録したメール、LINEやTwitterなどのSNSアプリなどの通知、そしてカレンダーなどをまとめて管理できる特徴を持っており特に便利です。BlackBerryスマートフォンでなくてもGogle Playストアからインストールして利用が可能ですが、月額の利用料がかかります。
そのほかにもDTEK by BlackBerry(セキュリティ系アプリ)やBlackBerry Password Keeper(パスワードマネージャー)などの便利な独自アプリが利用できるようになっています。
まとめ
BlackBerryブランドのスマートフォンが再び登場することはないでしょう。BlackBerryは現在スマホ端末事業から撤退して、セキュリティ分野で勝負しています。昨今、コロナ禍を契機としたリモートワークの普及や米中摩擦により情報セキュリティ分野への注目度が上がっています。モバイル業界で再びBlackBerryという名前を聞ける日が来るのかもしれません。
Source: BlackBerry
blackberryユーザーの自分には嬉しい記事だけど、blackberry LEはkey2の廉価版でこの間出たkey2のlast editionとは別物なんだよなぁ…
これは名前をfinal editionとかにしなかった販売側の問題だとも思うけど。
マジでストレートqwerty端末出ないかなぁ。
血迷ってastro slide 5G transfomerに出資してしまったよ。