かつてのインドのスマホ市場を圧巻した地場メーカーのMicromax。製品のコスパも優れていたことから一時期は高い人気を誇っていました。これが中華メーカーの猛攻で過去の話となった今、Micromaxは新たな挑戦をしようとしています。市場が政治的要因で影響を受けている中、同社は国内メーカーという特徴からこの先のアドバンテージを取っていけるのか、この記事内で予想していきます。
目次
2020年の今再び注目したいMicromax
Micromaxはスマホやエアコンなどの電化製品を手掛けているインド生まれのメーカーです。ローカルを知り尽くした強みを活かし、インドとその周辺国という一つの大きな市場を中心に戦っていることが特徴です。
Xiaomiやvivoなどの中華メーカーが大きな存在感を放つ現在のインド市場ですが、Micromaxはサムスンに並ぶシェアを持っていた時期もありました。
2020年11月に新サブブランド in を発表 - Cheeni Kum
ここ最近ではスマホの新製品も発表されず、この先が心配されていたMicromaxでしたが、2020年11月になり新たなサブブランドとしてinを発表しました。中華メーカーがインド市場で逆風を受けているのを好機と捉えたのかもしれません。
インドにおける「脱中国依存」の動き
中国との国境紛争激化による中国への警戒心の高まり等から、インドのモディ首相は2020年5月にAtmaNirbharBharat Abhiyanというキャンペーンを打ち出しました。このキャンペーンには国内の産業をサポートするための強力な経済パッケージを中心としつつ、「自国で自立した経済を目指す」というモディ首相の意向も含まれており、事実的な中国依存からの脱却を意味しています。また、TikTokをはじめとした中華系アプリの利用禁止命令も出されています。
政府主導の中国依存からの脱却の動きに加え、消費者による反中感情の高まりによる中国製品のボイコット運動も起きています。
情勢が変わりつつあるインドで「インドローカル」をアピールして勝負を仕掛ける - India ke liye(インドのために)
前述の通り、現在のインドではどの産業にしても地場メーカーがパブリックイメージという意味では有利な状況にあるとも言えます。そんなチャンスを上手く勝ち取ろうとしているのがMicromaxなのです。「India ke liye(インドのために)」というキャッチフレーズからは、地場メーカーとして自国に寄り添っていきたいというMicromaxの前向きな姿勢を感じられます。
Micromaxのinブランドから新製品としてまず発表されたのは、in 1bとin note 1という二つの製品です。in 1bはチップセットにMediaTekのHelio G35を搭載したスマホとなっており、内蔵メモリと内蔵ストレージが2GB・32GBのモデルと4GB・64GBのモデルをそろえています。in note 1はin 1bよりもスペックが上に設定されていることが特徴です。同じくMediaTekのHelio G85を搭載、4GB・64GBモデルと4GB・128GBモデルの二種が存在します。
モデル | in 1b | in note 1 | Xiaomi Redmi 9A |
ディスプレイ | 6.52インチ(HD+720x1600) | 6.67インチ(FHD+1080x2400) | 6.53インチ(HD+720x1600) |
チップセット | MediaTek Helio G35 | MediaTek Helio G85 | MediaTek Helio G25 |
RAM/ROM | 2GB/32GB, 4GB/64GB | 4GB/64GB. 4GB/128GB | 2GB/32GB |
カメラ | リア:13MP/2MP/13MP/13MP フロント:8MP | リア:48MP/5MP/2MP/2MP フロント(パンチホール):16MP | リア:13MP(シングル) フロント:5MP |
バッテリー周り | 5,000mAh/USB Type-C/10W | 5,000mAh/USB Type-C/18W | 5,000mAh/micro USB 2.0/10W |
指紋認証 | 背面センサー | 背面センサー | なし |
その他 | Googleアシスタントボタンあり | ||
定価 | 6,999ルピー(2GBモデル) | 10,999ルピー(4/64GB) | 7,999ルピー(2GB) |
なお、12月1日にin 1bに先駆けて発売となったin note 1は発売日のうちに用意されていた台数がすべて売り切れとなる人気ぶりとなりました。12月4日に早くも第一回目のアップデートを受け取ることができており、11月のセキュリティパッチやカメラ周りの向上などの内容となっていました。アップデートなどのサポートも含め、ユーザーからの評判は良く、現時点ではinは好調のもようです。
続く12月10日にはブランドで最安のin 1bという機種が発売されました。こちらも良いスタートを切ることができています。
表では2020年のインドで大人気だったXiaomiのRedmi 9Aの2GB/32GBモデルをこれらの二機種の比較対象としましたが、in 1bとRedmi 9Aはコスパ性という意味では非常に良い勝負ができており、カメラの面ではスペック上ならin 1bの圧倒的優勢だと言えます。インドではRedmi(無印)シリーズやRealme Cシリーズの最安機種がいつの時も大人気でしたが、指紋認証に対応していないのがユーザーからかなり不評でした。Micromaxは二機種で指紋認証に対応させており、ここはインド市場をよく理解していると感心させられました。
いつの日も国内メーカーは強いものだ
インドでは消費者は製品のコスパはもちろんですが、それと同時にどこの国のメーカーかという点も気に掛けます。インドのスマホ市場でとても大きな存在感を見せるXiaomiも中国のメーカーですが、インドに工場を構え現地で生産をしているため、ローカルユーザーからも受け入れられているのが実情です。
Micromaxはインドのメーカーという点ではXiaomiやrealmeなどの中華メーカーよりも有利な立場にあるのも事実です。現在の国際政治情勢による追い風に加え、2021年に繰り出す新製品の評価によっては同社が再度巻き返す可能性はあるでしょう。この先新たなinブランドでインドという自国のマーケットを取り返していけるのか、そんなMicromaxの更なる成長を期待しこの記事を終えたいと思います。
日本メーカーよりまともじゃん