世界で初めて、Appleによって発売されたスマートフォン。それからすでに12年が経とうとしています。
AppleやSony、Samsangといった古参メーカー以外にも、続々と新しい企業が携帯電話事業に参加し、シェア争いを行なっています。中でもHuaweiやXiaomiなど、日本でもある一定の層に人気のあるメーカーがひしめき合う中国では、様々な戦略で企業がシェアの拡大を狙う姿が見て取れます。
中国に迫り来るスマートフォン戦争膠着期
今まで中国のスマートフォン市場は、莫大な人口と中間層によって非常に大きなものでした。
そのため、企業は初めてスマホを手にするユーザーをターゲットに、販売台数の向上を図ってきました。ですが、数年前から中国のスマホ市場は十分に開拓され、おおよその人はスマートフォンを既に保有しています。
スマホの乗り換えからしか新しい顧客を呼び込めず、買い替え年数も年々伸びています。販売台数確保が以前と比べて非常に難しい状態になってしまいました。前機種がHuaweiなら機種変更後もHuaweiを、XiaomiならXiaomiを、という同じメーカーの新機種に機種変更をするという考えの人が多いため、シェア拡大を狙う企業は、どうにかして他企業から新顧客を獲得するしかありません。
この熾烈を極めるスマートフォンのシェア争いの中で、Xiaomiとvivoは新しい戦略でシェア拡大を狙っています。
XiaomiのCCシリーズ
Xiaomiは自撮りアプリで有名な中国MeituとコラボレーションしたXiaomi CC9を発表しました。Meituという、日本でいうSNOWのような自撮りという一つの分野において人気ブランドのスマホ部門を買収し、アプリも提携することによって女性ユーザーを集めようとしています。
もちろん女性向けのスマートフォンが無かったわけではありませんが、メーカーが新たにブランドとして「女性向け」のものを作るというのはこれまでにない戦略でしょう。スマートフォンにおいても今までは無かったファッションブランドのような女性向けモデルが誕生したとも言えそうです。
Xiaomiはこれまでコスパを武器に、ガジェット好きなギークな若者がメイン顧客でした。そのイメージはそのままに、新ブランドで取りこぼしていたユーザーを捉える戦略をとったようです。
漢を狙うvivoのiQOOシリーズ新型機
Xiaomiとは逆に、vivoはイケメン俳優・女優をイメージキャラクターに起用し、標準のカメラアプリに高性能な美顔・美肌機能を搭載。自撮り性能をアピールすることにより女性ユーザーが多いスマホメーカーでした。
そんなvivoが市場投入した新しいスマートフォンブランドが「iQOO」です。少し性能を落としたカメラと高いゲーム性能、高いコストパフォーマンスのブランドです。
明らかに男性向けのデザインもあいまって、ゲーム好きの男性向けに作ったスマホで一気に男性のユーザーを増やそうとするvivoの狙いが見えてきます。
蛇足ですが、筆者はクスッとさせてくれるvivoインドのこのCMが大好きです。18秒と短いのでぜひ見てみてはいかがでしょうか。
競合を切り崩しにかかるメーカーたち
女性向けとして売り出していたvivoは男性向けを、ガジェット好きの男性向けに売り出していたXiaomiは女性向けを、どちらも従来のターゲット層を囲ったまま新ブランドで他社のユーザーを切り崩しにかかっています。
現在は5Gのスマートフォンが本格化されるまでの過渡期、4Gスマートフォンの成熟期です。Xiaomiとvivoの行動は限られたパイを奪い合おうと日に日に激しさを増している中国スマートフォンメーカーの競争を顕著に表しています。
5Gの商用化に伴い、スマートフォンの買い替えラッシュが予測されています。混沌の中にある中国市場ですが、どのメーカーが勝つのかは依然として不透明です。
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