Xiaomiは新しいスマートフォン端末を開発するたびに、その供給に苦労しています。
特にXiaomi Mi 9の限定セールを行ったときなどは、端末の到着まで数週間も待たせることに。これには多くのユーザーに少なからず不満を感じさせました。
Xiaomiが品薄商法を行っていたことは今や昔。それなのに、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
その原因のひとつは、ODM生産にあります。今記事では、「ODM生産について」や「Xiaomiを含め、各メーカーの生産体制」について解説します。
そもそもODM生産とは
ODM生産(Original Design Manufacturers)は、製品の設計から製造までを委託する生産方式です。
一連の流れは以下のよう。
- 自分のブランドで何かの製品を作りたい場合、それをODM会社に依頼
- ODM会社はその製品の全体的な設計、製造を行う
- 最終的に、自社のブランドとして販売
例えば、日本ではNTTドコモ、au、ソフトバンクの名で様々なスマートフォンを販売していますよね。
しかし、実際にその端末を設計・製造しているのはソニーやサムスンなわけです。これはODMの代表例と言えるでしょう。
ODM生産のメリット
このODM生産では、自社で工場や土地などを用意する必要がありません。そのため、売れ行きが良くなかった場合のリスクを低減することができます。
また、製品の量産に関するノウハウもいりません。そのため、新興ハードウェア企業でもODM生産を活用することで急速に事業を拡大できます。
日本での事例として、2012年起業のベンチャー企業が発表した「FREETEL」は、ODMを活用して販売を拡大。倒産してしまいましたが、一時期はCMでもたくさん見かけるほど売上を伸ばしていました。
XiaomiはODM依存度が高い
上図はスマートフォンメーカーのスマホ生産量に占めるODM依存度です。
これを見ると、XiaomiはODMへの依頼が全体の75%と、かなりの割合を占めていることが分かります。
依頼先のHuaqin、Wingtech、LongcheerといったODM企業は、現在市場でトップ3といえる企業で、スマートフォン生産の経験を豊富に持っています。しかし、そのような企業でも、需要の急増に対応して生産調整することは困難です。
実際、2018年の第一四半期に2780万台だったXiaomiスマホの出荷台数は、2019年の同時期には2500万台に減ってしまっています。
逆の戦略を取るvivoの成功例
上図を見ると、HUAWEIなどの主要メーカーは、多くても20%くらいしかODM生産を行っていないことが分かります。
この点で最も極端なのが、vivoというスマホメーカー。ODM活用0%と、「完全自社設計・自社製造」を実現しています。
vivoは以前OPPOと同じ会社の傘下に所属しており、現在では「世界シェア5位」に急上昇。OPPOのライバルメーカーと言えるでしょう。
vivo躍進の影には、この「完全自社設計・製造」があると言われています。vivoの端末の1つであるIQOOが最初の供給不足になった時、すぐに自社工場と連携をとり、供給を修正することができました。
vivoを含め、各社初期投資はかなりの額だったかもしれませんが、結果として生産のフレキシブル化・安定化につながっています。
写真はvivoの自社工場
増産に苦戦することはXiaomiの宿命
Xiaomiを含め、各メーカーの生産体制には個性があります。どれが良いというわけではありませんが、設計と生産の効率性を追求してコストを抑え、低価格モデルを発売するXiaomiにとって生産の硬直性は宿命なのかもしれません。
2010年に創業され、年間販売台数1億台にまで成り上がったXiaomi。開発・生産体制の転換期が来ているのでしょうか。
Source: GIZMOCHINA
自社生産でも簡単に増産できるわけじゃないからね
むしろ自社生産の場合のほうが、リスク・リターンを考慮する分増産に苦慮する場合もある