ここ数年で急激に普及してきたワイヤレス充電。ワイヤレス充電のもっともメジャーな規格であるQi(チー)は2008年から技術開発されており、Androidスマホを始めとして様々な小型デバイスに搭載されてきました。
スマホ界の巨人、AppleもiPhone 8からQiを採用しています。AppleはiPhone 8世代から筐体をアルミニウムからガラスに変更していますが、これはワイヤレス充電に対応するためだと言われています。
また、ケーブル無しで勝手に充電される様子がマジカルすぎるということで一時期「魔法陣ワイヤレス充電器」が話題になりましたね。
そんなワイヤレス充電ですが、「知ってるけど使ったことがない」「興味はあるが充電パッドをわざわざ買うほどではない」という方も多いのではないでしょうか。今回はそんなワイヤレス充電について、良い所や悪い所、活用シーンを紹介します。少しでもワイヤレス充電に興味が持てたら幸いです。
目次
ワイヤレス充電とは?
ワイヤレス充電とはその名の通り無線で充電を行う仕組みです。
今までデバイスの充電といえば、もっぱらケーブルをポートに差し込むことによって行われていましたが、ワイヤレス充電はケーブルを必要としません。専用の充電パッドにワイヤレス充電対応デバイスを乗せることで、自動的に充電されます。
電磁誘導のイメージ(Try ITより引用)
ワイヤレス充電は電磁誘導という現象を利用した技術です。
コイル(環状のケーブル)に対して磁力を近づけたり遠ざけたりすることでコイル内に電流が流れます。これを利用すればワイヤレスで電気を供給することができます。
同じ原理を利用したものにSuicaなどのICカードがあります。Suicaは改札のタッチ部分から磁場を放出し、カード内のコイルに電流を流して発電、その電力を利用して情報のやり取りをしています。Suicaがバッテリーが内蔵されていないのに使えるのは、一瞬電力を通しているからなんですね。
最近はスターバックス・ドトールといったカフェや、空港などの公共施設でQi対応の充電スポットが普及しつつあります。これからワイヤレス充電はどんどん広がっていくと見込まれます。
ワイヤレス充電の良いところ
①置くだけで充電できる(ケーブルを探さなくていい)
ワイヤレス充電は充電パット上にデバイスを置くだけで勝手に充電されますので簡単に充電ができます。
従来の「ケーブルを探す→コネクターにケーブルを刺す」の操作が「充電パッドに乗せる」で済みます。
一見些細なことですが、ケーブルを探して刺す行為は地味に面倒なことです。筆者はスマホの充電をし忘れて、ベッド脇や机に放置してしまうことがよくありましたが、ワイヤレス充電器を買ってから、充電忘れがめっきり減りました。
気軽さは何事にもかえられませんね。
②充電しながら音楽が聞ける
最近のスマートフォンは3.5mmイヤホンジャックが搭載されていないことが多いです。そのため、Lightning to イヤホンジャックや、USB-C to イヤホンジャックといったアダプターが同梱されて、それを利用して音楽を聞いている人も多いと思います。
そうすると困るのが充電中の音楽再生。充電ポートとイヤホンジャックが被るので充電しながら音楽が聞けません。ワイヤレスイヤホン、二股のアダプターといった解決方法もありますが、ワイヤレス充電というのも解決法の一つです。
ワイヤレス充電の悪いところ
①ワイヤレス充電器(充電パッド)が必要
ワイヤレス充電は電力を送る側のデバイスが必要です。そのため、専用の充電パッドを準備する必要があります。
ほとんどのスマートフォンには標準付属していないため、電気屋さんやインターネットで購入しなければなりません。相場は2000-5000円であり、そこそこの出費になります。
②充電中はスマホを動かせない
従来の有線充電では、充電中はケーブルの可動範囲内で動かすことができましたが、ワイヤレス充電中はパッドとスマホを離すことができません。そのため、移動時にはパッドとスマホを一緒に動かさなければなりません。
なお、現在広域無線充電の研究の最中であり、ある程度離れていても充電できる仕組みが実用化されつつあります。将来的には部屋の中にいるだけで勝手に充電されるようになる時代が来るかもしれませんね。
③ケースによっては利用できなくなる
スマホを離すことができないということは、分厚いスマホケースをつけていると充電できなくなる、ないしは効率が落ちてしまいます。そのため、スマホケースを選ぶ際にはワイヤレス充電対応のものを選ぶ必要があります。
厚みだけでなく素材も問題になります。金属素材は磁場を遮ってしまうため、電磁誘導が起こらず、ワイヤレス充電ができなくなってしまいます。
④充電速度が遅い(エネルギー効率が悪い)
ワイヤレス充電の原理は先程述べたように電磁誘導ですが、みなさんが想像するとおりエネルギー効率は悪いです。そのため、ワイヤレス充電は5Wを基本とし、iPhoneは7.5Wまで、Galaxyなどの一部のフラッグシップAndroidでも10Wほどが最大であり、有線充電よりエネルギーを食う割には充電速度が遅いのがデメリットです。
とはいえ、先日Xiaomiが30Wのワイヤレス充電を発表したように、様々なメーカーが高速無線充電技術の開発中です。将来的には有線充電ほどの速度が出ると考えられます。
今でも十分使えるが、将来に期待
文字でまとめると悪い点が目立ちますが、現状でも便利な機能です。使っているスマホケースが対応していない場合、使用が難しい所が最大の難関でしょうか。
また、ワイヤレス充電の将来性はとても大きいです。
充電速度の高速化は急速に進んでおり、相互ワイヤレス充電では気軽にバッテリーをAirpodsなど他のデバイスにシェアできます。また、濡れたスマートフォンでも乾くのを待つ前に充電できます。
解決すべき課題は依然として多いままですが、今後の活躍が期待される技術であることは間違いないでしょう。
ながら充電出来ないし速度も遅い今は有線充電派。
そのうち欠点が徐々に改善されてWiFiみたいに無線給電が普及する日が来るんだろうなぁ