ソフトバンク傘下米スプリントとTモバイルの合併を司法省が大筋承認

越えなければいけないハードルはまだ残っています。

ソフトバンク傘下の米通信キャリア4位「スプリント」と、3位「TモバイルUS」の事業合併について進展がありました。アメリカ司法省は両者の合併を「大筋で承認」したと報じられています。長く続いている合併協議が一歩前進しました。

アメリカ司法省は、通信キャリア同士の競争が機能しなくなることを恐れています。今回大筋で承認するための条件として、アメリカのケーブルテレビ会社「Dish」を4番目の通信キャリアとして業界に参入させることをTモバイルUSとスプリントに提示しました。

Dishは通信帯域をTモバイルUSとスプリントから借りることになりますが、その条件をめぐっても交渉が続いています。

これまでの経緯

実は、両社は13、14、17年にも合併に向けての協議を進めていました。しかし「規制当局の反対」「条件交渉の不調」最近では「自治体の反対」などが相次ぎ、危うい合併交渉が続いていました。

2018年に条件面で折り合いがついた両社ですが、「米国の通信会社が4社から3社になることで競争が阻害される」との声がアメリカで巻き起こりました。結果、米連邦通信委員会(FCC)と米司法省が合併について厳しく審査することになりました。

条件付きで合併に大筋合意するも...

FCCは今年5月にトップが合併承認の意向を示しました。ただし「地方でも第五世代通信網(5G)の早期整備をすること」などを条件としています。米司法省は携帯電話料金が高止まりしないか心配しているようで、業界で競争原理が機能するよう条件を付けた上で合併に大筋合意しました。突き付けた条件とは、ケーブルテレビ会社のDishを第4の通信キャリアとして参入させることです。

Dishが自前の通信基地局を整備するまでの6~7年間、TモバイルUSとスプリントの通信網をDishが使用できるようにすることを司法省は望んでいます。また匿名筋の情報ではありますが、司法省はドイツテレコム(Tモバイルの親会社)に、Dishにより甘い条件での契約をするよう促しているそうです。

現状、Dishはネットワーク帯域の12.5%しかアクセスできず、司法省はドイツテレコムがDishに無制限のネットワーク帯域を提供するよう要請しているそうです。詳しい契約条件についての情報は判明していませんが、「大筋で合意」したからにはDishは有利な条件で交渉を進めることが出来たと予想されます。

しかし問題はこれだけでは終わりません。司法省の承認後もカリフォルニア公益委員会の承認が必要です。さらに、14の州から検事総長によって提起された訴訟も待ち構えています。訴状で「業界内での競争が減り、価格が上昇する」と主張しており、裁判所が合併が成立してしまわないように一時的な拘束命令を出すことも懸念されています。

日本でも通信キャリアの問題は政府が絡んで複雑ですが、アメリカでも似たような状況らしいです。しかし訴訟問題が続々と発生するあたりはアメリカっぽいですよね。

2019年5月現在、アメリカや韓国は次世代の通信規格=5Gの通信サービスを既に開始しています。5Gのメリットや理論速度は事あるごとに...

Source:CNBC

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