Qualcommから新型のフラッグシップSoCのSnapdragon 855が正式発表されました。
Snapdragon 855は今までSnapdragon 8150としてリークされていたSoCです。Qualcomm初の7nmプロセスを利用したモデルで、5G通信をサポートし、AI機能を強化、さらにはマルチタスク時の高効率化を達成しています。なお、製造は台湾のTMSCが担当するようです。
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Snapdragon 855の特徴は?
Snapdragon 855はKryo coresに基づいて設計され、HuaweiのKirin 980やAppleのA12 Bionicと同じ7nmプロセスを用いて作れらます。Snapdragon 855はオクタコアなのですが、一般的な4+4のBIG/LITTLE構成(高負荷と低負荷をそれぞれ対応する)ではなく、Kirin 980同様に2+2+4の構成(高負荷、中負荷、低負荷を担当)になっています。
Kirin 980の2+2+4の構成はそれぞれ高負荷、中負荷、低負荷に対応しており、3段階に分けることによって、音楽・カメラ・ゲーム等それぞれのシーンに最適化された動作をすることができるため、パフォーマンス効率とバッテリー消費のバランスが上手くとれるという特徴があります。
Snapdragon 855も同様の仕組みであり、様々な負荷がかかるマルチタスク時に、対応するプロセッサで処理を行うことで、処理速度の面でもエネルギー効率の面でも効率化が図られています。
Snapdragon 855の特徴について、更に詳しく見ていきましょう。
5Gに完全対応
Snapdragon 855はSnapdragon X50モデムという通信チップを備えています。これは、5G通信ができる通信モデムで、4Gモデムと一緒に組み合わせることで4G,5G両方に対応した高速通信ができます。
また、ミリ波に対応したモジュールのQTM052を搭載すると、Sub-6帯とミリ波帯にも対応する事ができ、さらなる高速通信ができるようになります。
Sub-6帯、ミリ波帯とは?
Sub-6帯とは周波数が6GHz以下の電波で、ミリ波帯は波長がミリ単位、つまり周波数が30−300Ghzの電波のことを言います。
従来の800MHz-3.5GHzの電波に比べて通信量を大きくできるため、より高速な通信、また、動画などの大量のトラフィックを要するファイルの安定送信ができるようになりますが、一方でビル群や山間部などの障害物が多いところでは繋がりにくい傾向にあります。
詳しくはこちらで解説しています。参考にしてください。
https://telektlist.com/career-bands/
AI性能の強化
画像処理などを担当するAI機能は、2018年のフラッグシップであったSnapdragon 845の3倍の性能を備えています。
Snapdragon 855は同じ7nmプロセスを採用したHisiliconのKirin 980と比べて2倍ほどの性能を持つとQualcommは主張しています。
その他の特徴的な機能
そのほかの機能としては、ゲーミングに最適化する「Elite Gaming」があります。HuaweiのMate 20 Xなどに搭載されているゲーム時のブースト機能のGPU Turbo 2.0に対抗しているのではないでしょうか。
他にも超音波によるディスプレイ内指紋認証をサポートしています。従来のディスプレイ内指紋認証は、ライトで照らした指紋をカメラセンサーで読み取る光学式であり、2次元的に読み取っていたため、指紋の偽造がしやすいなどの問題点がありました。今回Qualcommが発表した超音波式は、指紋の凹凸まで認識するため偽造されにくく、セキュリティレベルを上げる事ができます。
過去にはXiaomi Mi MIX 3の5G対応版や、Motorola Moto Z4、さらには世界初の折りたたみスマホのFlexPai等にSnapdragon 8150(Snapdragon 855)が搭載されるという噂がありました。
2019年には発売されるこれらの端末や、Samsung, Sonyなど、Snapdragonを採用する各社のフラッグシップ端末への採用が期待されます。来年は高性能のSoCの登場でAndroid市場が盛り上がる年になりそうです。
Source : HardwareZone.com
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