OnePlus史上初となるワイヤレス充電、そしてIP68の防水防塵に(やっと)対応したOnePlus 8 Pro。これにより、今まで他メーカーのフラッグシップ機にありOnePlusになかったものもなくなり、OnePlus 8 Proはその名の通りフラッグシップモデルとなりました。
しかしその分値段も上がり、フラッグシップキラーとしてのOnePlusを求めていたファンからは失望の声も上がっています。そんな賛否両論あるOnePlus 8 Proを、約一か月使用して、良かった点や気になった点をレビューします。
目次
購入金額・方法・時期
購入金額:約96,000円(送料込み※速達DHL/TNTで約3000円)
購入方法:Giztopから
購入時期:5月中旬
今回で利用4回目となるGiztopですが、注文から発送まで4日、そこから届くまで4日と約1週間ほどかかりました。
化粧箱・付属品
内容物は
- 端末本体
- ケース
- USB Type-C to Aケーブル
- Warp Charge 30T対応充電器
- ステッカー
- 取扱説明書やサンキューレター等紙類
- SIMピン
となっています。また、本機は中国モデルにグローバルROMが焼かれたもののため、外箱や取扱説明書等、基本中国語で記載されています。
保護フィルムは元より装着済みですが、上下はベゼル部分まではカバーされておらず、左右もフィルムもカーブしてはいるもののエッジディスプレイの半分当たりまでしかカバーされていません。使用上特に問題はなく、エッジディスプレイでは仕方のないことかもしれませんがその点が少し気になりました。
また、OnePlus 8 ProはOnePlusで初となるワイヤレス充電対応機ですが、ワイヤレス充電器は付属していないため、別途購入する必要がある点に注意です。
スペック
基本スペック | |
---|---|
ディスプレイ | 6.78インチ, 1440 x 3168, 有機ELディスプレイ, 513ppi |
サイズ | 165.3 x 74.4 x 8.5mm, 199g |
システム | |
OS | Android 10.0 |
Soc | Qualcomm Snapdragon 865 |
CPU | Kryo 585 8コア, 2.84 GHz |
メモリ(RAM) | 8GB / 12GB |
ストレージ | 128GB / 256GB, sd_card microSDスロット無し |
カメラ | |
メインカメラ | camera_rear 48 + 48 + 8 + 5MP, F値/1.8, クアッドカメラ, OIS(光学手ぶれ補正), デュアルトーンLEDフラッシュ, レーザーAF, PDAF, 3x光学ハイブリッドズーム |
メインカメラ特徴 | camera |
前面カメラ | camera_front 16MP, F値/2.5, IMX471 |
センサ類 | 画面内指紋認証センサ, 加速度センサ, 近接センサ, ジャイロ, コンパス |
機能 | 防水 IPX 8, 水面下での使用が可能, イヤホンジャック なし |
バッテリー | battery_charging_full3.1, Type-C 1.0, 4510mAh |
デザイン
中央上部から下にかけてカメラやフラッシュライト、そしてロゴがあり、下部には新しくなった「ONEPLUS」の文字が(以前は「OnePlus」でした)。ちなみにフラッシュライト上には3つ目のマイクがあります。
また、端末の横幅が前に使っていたRed Magic 5Gより短いからか、最初に持った時、とても持ちやすい、と感じました。
アラートスライダーは前からいいな、と思っていたのですが、いざOnePlus機を手にすると、そもそもほとんどバイブレート状態にしたままで切り替えることがないため、あれば便利だけど別になくてもいいかな、と感じました。
SIMトレイはNano SIM×2のみ。表と裏それぞれにSIMをはめ込む形です。
世界最高峰のディスプレイ
ディスプレイは3168×1440、6.78インチで19.8:9のAMOLEDディスプレイ。ディスプレイにおいて世界的な機関であるDisplayMateより、色の精度や輝度など13の項目においてA+の評価を受けており、OnePlus自身もザ・ベストディスプレイと公言しています。
また、1440pの解像度ですが1080pと比べ、近くで見れば違いが確かにあるかな、程度で普段の使用でそこまで気にすることはないといったところです。総合的に見ても、ディスプレイに関しては素人目ではありますが欠点は見つかりません。
安定の滑らかさ、120Hzリフレッシュレート
OnePlus 8 Proの特徴の一つでもある120Hzリフレッシュレートですが、期待通りの滑らかさです。以前144Hzリフレッシュレート対応のRed Magic 5Gを使用していましたが、OnePlus 8 Proにして体感遅くなったな、と感じることはありませんでした。
144Hzと120Hz、横に並べて同じ速度のスクロールを見れば、確かに144Hzの方が滑らかであることに気づきます。しかし、これもまた普段の使用で気になる程のものではありません。
エッジディスプレイ&パンチホール
賛否両論のあるエッジディスプレイ、そしてパンチホールですが、正直あまり気になりません。もちろん、筆者個人としてはフラットディスプレイかつ真のフルディスプレイの方が良いことに変わりありません。
気にならないことはなりませんが、端からスワイプする時に、確かに親指でエッジの存在を感じます。またゲーム中にエッジの当たりを触る際に、触り方を気を付けないとホーム画面へ戻る操作と認識されることがたまにあります(ゲームなどのアプリは2回連続で操作しないとホーム画面に戻らないので意図せず戻ることはありませんでした)。
評判通りのクリーンなソフトウェア
OSはAndroidベースのOxygen OS。日本語にも対応しており、評判通りクリーンで洗練されたカスタムUIです。
ただ、Google系アプリ他、ネットフリックスなどのプリインストールされているアプリはアンインストールができません。Google系はともかく、ネットフリックスは個人的には利用していないので、アンインストールできたらと思ったので少しその点が気になりました。
設定にあるカスタマイズ項目では、壁紙や指紋認証のアニメーションはもちろん、アクセントカラーやシステムアイコンの形など、様々なカスタマイズをすることが可能です。
顔認証・指紋認証
顔認証は2Dで、3Dと比べるとセキュアではありませんが、指紋認証より少しくらい速いかな、といったところ。ちなみにマスクをつけた状態だと、認証の成功率は5割程に落ちました。
指紋認証は画面内指紋認証となっており、十分に速いです。ただあまりにも早く指を離すと認識されません。
Ambient Display(Always On Display)
今や有機ELディスプレイ搭載機種では当たり前となったAlways On Display(以下AOD)。OnePlusでは、OnePlus 6発売当時は実装されていたものの、バッテリー消費の観点からその後のアップデートによって機能が取り除かれてしまいました。
その代わりとして存在するのが、Ambient Display。スリープ状態でも画面上に時刻や通知などを表示する機能は同じですが、AODは基本的に常時表示されているのに対し、Ambient Displayではその表示期間は約3秒と非常に短いです。表示させるには画面をタップするか、持ち上げる(オプション)必要があり、利便性ではAODに劣っています。
このようにAODに公式で対応していないため、AODを使用するために今まではルート化など非公式な手段を取る必要がありました。今年の3月になり、やっとAODに公式で対応することが公表されましたが、執筆時現在(2020年6月末)においては未実装のままです。
邪魔なキーボード下のバー
最初の画像はOnePlus 8 Proのキーボード画面なのですが、下に↓やマークがある黒いバーが入っています。これが非常に邪魔で、なおかつキーの面積を圧縮しており、キーの縦横比が他の機種と比べ縦が短くなり、今は慣れたものの最初はとても打ちづらく何度もタイプミスをしました。
ただ、筆者はSwiftKeyキーボードを利用しており、SimejiやGboardで試したところ変わらず下にバーがあるものの縦横比は変わりませんでした。
このバーについて調べると、どうやらAndroid 10のジェスチャー操作のためとのことですが、他のAndroid 10機ではバーなしで問題なくフリック入力とジェスチャー操作の違いを認識できているため、OnePlusにはどうにかしてほしいところ。
必要性に疑問符のつくMEMC
MEMCとは、Motion Estimation, Motion Compensationの略称で、30FPSなどの動画を60FPSや120FPSなどにフレーム数を引き上げる機能です。
オンにした状態で他の通常のスマートフォンと動画を見比べれば、確かに滑らかになっているのが分かります。ただ、オンだと逆に滑らかで不自然に感じたため、筆者はオフにしています。
処理性能
Antutuスコア(V8.3.6)は56万7601とSnapdragon 865搭載機としては普通のスコア。普段使いやゲームでも突っかかりはもちろんありません。
PUBGやCoD Mobile、World of Warships Blitzをプレイしましたが、wowsbのみフルディスプレイ表示に対応しておらず、端に黒帯ができてしまいました。左下のパンチホールは横持ち時に大して気にならないので、もっと多くのゲームが対応してほしいところです。
バッテリー・充電速度・発熱
120Hzに加えWQHD+ということで、あまりバッテリー持ちには期待していなかったのですが、スクリーンオンタイムは6時間で残り20%と、一日は問題なく持ってくれました。もちろんこれは使い方に寄りますが、ヘビーユーザーなら1日持つかどうか、ライトユーザーであれば1日半は持つくらいではないでしょうか。
また、解像度の違いによるバッテリー消費量の違いですが、正直言って違いは感じられません。どちらもスクリーンオンタイムは6時間くらいです。
充電速度・発熱
充電速度は付属のWarp Charge 30T対応充電器で30分で55%、1時間で94%、満充電まで1時間15分とまずまずな結果に。
発熱もピークはちょうど充電速度が減少し始める20分あたりで約38度、そこから35度前後をキープしつつ、1時間あたりから下がり、満充電時には約30度に落ち着いています(サーモセンサーで背面の最も熱い部分を計測)。
また、ゲーム(World of Warships Blitz)を100%の状態から3時間ほどプレイ(30FPS)しましたが、バッテリーの減りは1時間ごとに88%、77%、64%。発熱は34度から35度をキープし、持っていて温かいと感じることはあれど熱いと感じることはありません。
※別売りのワイヤレス充電器は注文したのですが、途中で配送がキャンセルされたりとありレビューに間に合いませんでした。後日届いたら追記します。
音質
ステレオスピーカーを搭載しているだけあり偏りもなく、音質は非常に良いです。というより、昨今のフラッグシップはどれも音質は良く、逆に悪いものを探すほうが難しいでしょう。
また、他の機種は通常音量の段階は16段階程ですが、OnePlus 8 Proは倍の32段階程となっており、より細かな音量調整が可能です。
文句のないカメラ性能
カメラ構成は以下の通りです。
- 4800万画素メインレンズ IMX689 f1.8 1/1.43
- 4800万画素超広角レンズ IMX586 f2.2 1/2.0 116°
- 800万画素望遠レンズ f2.4 光学3倍ズーム
- 500万画素カラーフィルター f2.4
メイン、超広角ともに4800万画素で、望遠もあり、さらに超広角はマクロを兼ねておりと、構成としては文句のつけようがないカメラです(カラーフィルターを除く)。
カメラのUI
UIはいたって普通で、横スワイプでモード切り替えや、倍率部分をスライドさせることでスムーズにズームインアウトできたり、下からスワイプでモード一覧が出てくるなど、片手で操作がしやすいようになっています。
また、上部分のタイマーやフラッシュライト等ですが、以前はタップで切り替えだったのですが、アップデートにより画像のようにタップして下に選択ボタンが降りてきてそれをタップして、と二度手間になってしまっています。
昼景
やはりそのカメラに力を入れているだけあって、色味等個人の好みもあるとは思いますが、個人的には満足のいく出来栄えです。
しかし、メインと超広角は似た色味である一方、望遠では他2つと比べより青みがかったものとなっています。
こちらはメインレンズのクロップですが、こうして見ると特に葉っぱの緑などその違いは明らか。これは好みが分かれそうなところです。
また望遠レンズですが、3倍ズームの際、レンズを塞いだり(暗かったり)、塞がなくとも対象が近い場合メインレンズのクロップに勝手に切り替わることがあります。
おそらく、後者はそちらの方がより良いクオリティだと判断あってのことかと思われますが、望遠レンズが8MPに対し、メインレンズのクロップはクロップでも12MPであるため、それならメインレンズのクロップで良いのでは?と疑問に思いました。
ズーム
光学3倍、最大でデジタル30倍ズームが可能。先も述べた通り、望遠レンズと他のレンズとでは色味が異なります。
3倍~5倍までなら、まだクオリティは悪くないといったところですが、30倍は見ての通りです。長距離での綺麗なズームを求めるのであれば、OnePlus 8 Proに似たカメラ構成でペリスコープレンズのあるOPPO Find X2 Proの方がオススメです。
マクロ
超広角レンズがマクロレンズを兼ねているため、至近距離での撮影が可能。対象にかなり近づくと、自動でマクロモードに切り替わります(手動でも操作可)。また、マクロモードでも0.6倍、1倍、2倍と切り替えが可能ですが、どれも超広角レンズによるもので、1倍、2倍はただのクロップとなります。
ポートレート
ポートレートでは、デフォルトで通常の2倍ズームほどの画角になり、広角でやっとメインレンズと同画角といったところ。
どちらも少々暗めになり、広角では有刺鉄線の棘の部分や、左半分は背景の木々との区別がついておらず認識されていません。しかし、これはカメラにとって少々難しい対象ですので、対象が人物や、細すぎない物であったりすれば問題はないことでしょう。
HDR・48MP
充分に光のある環境であれば、HDRはオフでも大きな問題はありません。しかし、これらの画像のように木陰などの暗い場所であれば、その違いは明らか。
Xiaomi機などではHDRはオンオフあるいはオートから選択可能ですが、当機ではオンかオフでしか選べないため、常時オンにしておいた方が良いでしょう。
また、メインレンズおよび超広角レンズでは12MPか48MPを選択可能で、12MPではより良いダイナミックレンジ、48MPではより細かいデティールを捉えることができます。
カラーフィルター
一時期透視機能があるとして話題となったカラーフィルター。そんなカラーフィルターですが、中国モデルとインドモデルでは機能が無効化されています。
筆者は、てっきりグローバルROMであれば問題ないと高を括っていたのですが、対象は中国およびインド‘’モデル‘’(IN2020とIN2021)であり、筆者のOnePlus 8 Proは中国モデルにグローバルROMをインストールしたものであったためアップデートで無効化されてしまいました。
Aliexpressなど海外通販サイトで売られているものの中にはそういったものもあるため、どうしてもカラーフィルターが必要だという人は注意が必要です。
また、肝心の作例ですが、無効化前にどんなものかと試しては見たのですが、正直写真を保存する価値がないと思い写真は一枚も残っていません。一応着ていた服に向けて試したのですが、透けて下が見えるということはありませんでした。素材にもよると思いますが、そもそも5MPと解像度が低かったりと高性能なものではありません。
どうせ無効化するのであれば、もともと最初から搭載せずその分いくらかは安くしてほしかったというのが正直なところ。
夜景
夜景モードなしでもマシな写真を撮ることができますが、あった方がより鮮明に写るため、何かしらこだわりがない限り夜景モードで撮影した方が良いでしょう。
また、夜景モードはメインレンズ、超広角レンズのみの対応となっており、望遠レンズでは通常モードでの撮影となります。夜景モードなしのメインレンズでの写真と比べても暗く、あまり夜景での使用には向いていないと言えます。
安定性やHDRに優れたビデオ性能
写真もさることながら、ビデオ性能も文句のない仕上がり。4K30FPS、1080p30FPSのみのSuper Stable(超安定)モードもありますが、通常の4K60FPSでも非常に安定しています。
オートフォーカスも素早く、この日は特に風の強い日でしたが、ノイズ軽減もしっかり効いています(ズームした際の風の音はオーディオズームが拾っているものだと思われます)。
こちらも4K30FPS、1080p30FPS限定となるHDRでの動画撮影。動画を見て頂ければわかるかと思いますが、その差は歴然です。逆光で撮ったのですが、オフでは木々が黒っぽくなっているのに対し、オンではしっかりと木々の緑が捉えられています。
まとめ「シンプルイズベスト」
高リフレッシュレートやエッジディスプレイ、ワイヤレス充電など昨今のフラッグシップにあるものを備え、ソフトウェア含めOnePlusらしいクリーンでシンプルにまとまった一台です。
ポップアップカメラや100倍ズームなどといった一際目立った特徴はありませんが、そういったものはやはり価格に反映されてくるため、これはこれでいいと思います。
◎良い点
- 高解像度の超広角レンズ
- 肌触りの良い背面マットガラス
- 綺麗で使いやすいUI
×残念な点
- 耐久性に難があるエッジディスプレイ
- 無用の長物と化したカラーフィルター
- なければない方がいいパンチホール
これが筆者初のOnePlus機であり、今までそのソフトウェアの評判がいいのもあり気になっていたわけですが、既に高リフレッシュレートも体感していたためこれといって新しいものはありませんでした。
ただ、しばらく新しいスマホはいいかな、と思えるほどには満足しており、これから半年くらいは筆者のメインスマホとして活躍していってくれることでしょう。
OnePlus 8 Proについて、何か質問があればコメント欄あるいは私のTwitter(@Kohei_SP)までお寄せください。可能な限り返信させていただきます。
値段が高いのはいただけない