評価: 3.5/5点
今月の初め、Blackviewより新しいタフネススマホ、「Blackview BV9800 Pro」が発売されました。
BV9800 Proの最大の特徴はタフであること、そして赤外線カメラが搭載されていることです。一般に赤外線カメラは10万円以上するものが多いですが、BV9800 Proは5万円台。手軽に買える赤外線カメラとしてベストな機種であります。
今回はBlackview様よりBV9800 Proを提供いただきましたので、レビューをしていきたいと思います。
目次
開封の儀
まずは皆さんおなじみ、「開封の儀」から執り行わせていただきます。
外箱はお弁当箱のような見た目になっています。右下には赤外線カメラの提供元であるFLIR(フリアー)のロゴがついています。
ちなみに右上の小さい箱はBlackviewのスマートウォッチのBV-SW02です。こちらも後日レビューしますのでお楽しみに。
箱を開けるとこんな感じ。BV9800 Pro本体とご対面です。
内容物は以下の通り。
- BV9800 Pro本体
- 保護フィルム(本体にすでに1枚貼っているので予備用か)
- イヤホン
- 18W高速充電対応ACアダプター
- USB-A to USB-Cケーブル
- SIMピン
- ギターのピックみたいなもの
- 取扱説明書
ピックみたいなものは何なのか最後までわかりませんでした。
同梱品はとても充実しています。特にこういった珍しい海外スマホは保護フィルムが国内で取り扱われていないことが多いので、同梱されているととても嬉しいです。
残念なのがACアダプターが香港仕様なところ。ただ、こちらは試供品ですので日本での市販品がどうなるかは不明です。
見た目は無骨でかっこいいがキャップレスでないのが残念
細かい外観を見ていきましょう。
カメラ部は金属に覆われて一体化しています。左上が赤外線カメラ、右上が赤外線補助カメラ、左下がメインカメラ、右下がLEDフラッシュです。
スマホ下部にはBlackviewのロゴがあります。なお、左右の穴は右がモノラルスピーカーで、左がダミーとなっています。
本体の厚みは1cm超えとなっています。iPhone 11と比較するとこんな感じ。iPhone2つ分ですね。
ちなみに本体サイズはこんな感じ。サイズ、重量ともにヘヴィー級です。
横になっているときに顔面クリーンヒットしたら確実に怪我しますので注意しましょう。
※サイズ:168.5×81.0×14.8 mm 重量:322 g
無骨でいかにもタフネススマホというデザインがかっこいいですが、残念な点が何点かあります。
まずはSIMカードスロット。SIMカードスロットはnanoSIMとmicroSIMのデュアルスロットとなっています。タフネススマホなのにnanoSIMのほうがヤワヤワで少し気になるところなのです。
※BV9800 ProはDSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)、Docomoプラチナバンド対応です。
また、ベゼルがかなり太いです。タフネススマホには画面の美しさよりも画面の耐久性を求めるのが筋ですので、本当は気にしないほうがいいのでしょうが、一般的なスマホを使っている身からするとやはり気になります。
※ディスプレイは6.3インチの1080 x 2340 pxのIPS液晶です。
USB Type-Cポートと3.5mmイヤホンジャックは防水・防塵性を高めるためか、キャップ付きとなっています。このキャップがペロペロで耐久性がとても気になります。気になる人はワイヤレス充電やワイヤレスイヤホンを使いましょう。ワイヤレス充電は5W、有線充電は最大18Wなので充電速度は比較にならないほど遅くなりますが。。
タフさは流石の一言
BV9800 Proはタフネススマホです。各種耐久試験を突破しており、どんな状況でも問題なく使える機種となっています。
例えば料理中に食材が飛び散るなんてよくありますよね。
今回は粒子が細かい小麦粉がBV9800 Proに降りかかってしまいました。そんなときでも、
洗い流すだけでしっかり使えます。
おやおや、食材と間違えてBV9800 Proを醤油、みりん、ごま油で漬け込んでしまいました。この状態で4℃の冷蔵庫に1時間、大ピンチです。
しかし、しっかりと洗い流すことで無事動きました。香ばしいBV9800 Proの出来上がりです。
⚠注意
塩分、アルコールに関しては公式で検証されていません。良い子は真似しないようにしましょう。
Blackviewの公式YouTubeにも火花をちらしたり、埋葬したり、氷漬けにしたりなど様々な耐久テストがアップロードされれています。興味がある方はぜひ覗いてみてください。
赤外線カメラは使い所次第
BV9800 Proのもう一つの特徴は赤外線カメラです。
赤外線カメラで物の表面の温度を測ることができるようになります。
例えば部屋で赤外線カメラを向けるとこんな感じに見えます。
暖房をつけた部屋で、カーテンの隙間が最も温度が低いことがわかります。こういった隙間を減らせば部屋が保温されるといったことがわかるようになります。
こちらは公園でネズミを見かけたときに取った一枚。赤外線カメラで生体反応が確認できるのはとても面白いです。これでかくれんぼで最強になれますね。
残念な点は同時に撮影される写真が48MPのメインカメラではなく5MPのサブカメラであること。そのため、ネズミがいるこの画像でも写真モードにすると何も見えません。たしかにここにネズミがいたのですが。。。
一緒に撮影される画像は48MPのメインカメラであればよかったのですが、ソフトウェアの制限でもあるのでしょうか。
他にもこんなシーンで赤外線カメラを使いました。
- 焼いたケーキが冷めたかどうかを触らないで見る
- 化学実験の反応容器の温度を見る
- 友だちと話す時の話題として
正直使い所はあまりないですね。
カメラは(フラッグシップ機と比較しなければ)悪くはない
BV9800 ProのカメラはSonyの48MPセンサーを搭載しており、Blackviewはアウトドアの最高の相棒になるものだと豪語しています。
果たしてカメラはどれほどの性能なのでしょうか。
解像度、暗所性能、HDRを一気に見ていきましょう。
こちらがBV9800 Proで撮影した写真です。
一方こちらはAppleの最新機種、iPhoneで撮影した写真です。拡大してみましょう。
左がBV9800 Pro、右がiPhone 11です。暗所の細かい解像感ではiPhoneに軍配が上がります。BV9800 Proはのっぺりとしていてノイズ処理が強い印象です。
明るいところはBV9800 Proは大きく白飛びしている一方で、iPhoneはイチョウの黄色が残っています。HDRにおいてはiPhoneの圧勝です。
逆光性能はどうでしょうか。BV9800 Proは大きなゴーストが発生している一方で、iPhoneは鮮やかなイチョウの色が表現されています。
下部の暗いところもBV9800 Proは少し霞んでいるように感じます。
ナイトモードはどうでしょうか。こちらはBV9800 Proがシャドウが引き締まっている一方で、iPhoneは青いイルミネーションに引っ張られて地面も青みを帯びています。
しかし、明暗差をしっかり補正できているのはiPhoneの方です。好みが分かれそうな結果となりました。
ポートレートモードは完全におもちゃです。2つ目の5MPのカメラは完全に赤外線カメラ用で、深度測定には使われないようです。その結果、ポートレートモードは指定した場所の周辺だけがはっきりして、その外側がボケるだけというものになっています。
ボケも見たことのない十字状でお粗末としか言いようがないです。(深度測定のできる兄弟機種のBV9800は問題ないだろうと思いますが。)
BV9800 Pro作例集
と、このようにiPhone 11と比較すると残念ですが、BV9800 Pro単体で見ればそれほど悪くはありません。(※ここからはBV9800 Proにインストールしたスマホ版Lightroomで露出、色味を補正した写真になります。)
盛大に発生するゴーストはそれを活用してフィルム調に仕上げれば一気にノスタルジックな写真になります。
HDRが弱いのを利用して明暗差、光芒を強調することで印象的な写真を撮影することができます。
こちらも同じです。アクア、グリーンを添加してやることで一気に雰囲気が浮き上がります。
無機質な建築物が映える一枚となりました。
最後はiPhoneといい勝負をしていた夜景で。
iPhoneを反射させてやることで人混みを消してみました。明るいところがしっかり明るく映るので綺羅びやかな夜景もよく撮れます。
フラッグシップ級であるiPhone 11と比較するとあらが見えてきますが、持ち味を活かした撮影、編集をすればよい作品が撮れるスマホだと思います。
スペックは必要十分
最後にスペックについて言及しておきます。
BV9800 ProはSoCがMediaTek Helio P70、RAM / ROMは6GB / 128GBです。
Antutuスコアは約188,000です。普通に使っている分はサクサクしていて問題ないですが、Lightroomアプリで写真編集をしているときに操作によっては1秒ほどもたつきます。そこが唯一気になった点でしょうか。
写真の書き出しもiPhone 11の1/4-1/3ほどの速度です。iPhone 11のAntutuスコアは53万ですのでほぼ比例していますね。
私はゲームはしないのでわかりませんが、おそらくゲームも重いものだともたつくのかもしれませんね。
バッテリーは6580mAhと超巨大なものを搭載しています。そのため、サブスマホとしてに利用は一日で30-40%ほどしか減りませんでした。メインスマホとして利用するのならば1.5日は持ちそうな印象でした。
スペック概要
BV9800 Proのスペックの概要はこのようになっています。ぜひ参考にしてください。
基本スペック | |
---|---|
ディスプレイ | 6.3インチ, 1080 x 2340, IPSディスプレイ, 375ppi |
サイズ | 168.5 x 81.0 x 14.8mm, 322g |
システム | |
OS | Android 9(Pie) |
Soc | Mediatek Helio P70 |
CPU | Cortex A73 x4 + Cortex A53 x4 8コア, 2.0 GHz |
メモリ(RAM) | 6GB |
ストレージ | 128GB, sd_card microSD最大256GBまでSIM2スロットを使用 |
カメラ | |
メインカメラ | camera_rear FLIR + 48 + 5MP, F値/不明, トリプルカメラ, LEDフラッシュ, PDAF, FLIR Lepton赤外線カメラ |
メインカメラ特徴 | camera |
前面カメラ | camera_front 16MP, F値/2.0 |
センサ類 | 指紋認証センサ, 加速度センサ, 近接センサ, ジャイロ, コンパス, 気圧センサ, 顔認証ロック |
機能 | 防水 IPX 8, 水面下での使用が可能, イヤホンジャック 不明 |
その他特徴 | IP68, IP69K, MIL-STD-810G認証 |
バッテリー | battery_charging_fullType-C 1.0, 6580mAh |
【まとめ】赤外線カメラがほしいなら買い、タフネススマホがほしいだけならBV9800のほうがおすすめ
その他、気になったところを箇条書きでまとめます。
- 指紋認証は爆速でストレスフリー
- 濡れた手で操作はできない
- 音質は良くない(スピーカーが濡れると目も当てられないほどひどい)
- Google PayはSuica、iD、QUICPayなどの日本の非接触決済非対応
BV9800 Proは赤外線カメラ搭載のタフネススマホとしては最高のスマホだと思います。一方で、メインスマホとして使うとなると一癖あります。
単純にタフネススマホがほしいと言うのであれば、赤外線カメラの代わりに超広角カメラ、深度測定カメラがついたBV9800が1万円以上安くてバランスが良く、おすすめできます。
BV9800 Proはどうしても赤外線カメラが必要、安く赤外線カメラを試してみたいという人に最適なスマートフォンではないでしょうか。
評価: 3.5/5点
購入方法
Blackview BV9800 Proはもともとクラウドファンディングで出資を募っていたモデルですが、現在は様々な通販サイトで購入することができます。
BV9800 Proが気になった方はぜひ覗いてみてください。5万円台で販売されていますよ。
みりん干しにするのと同じぐらいよくあるシチュエーション、「衛星軌道から落下」を試してないのは納得がいきません、やり直しを強く求めますwwww。