OnePlusの最新フラッグシップモデル、OnePlus 9および9 Proにおいて、一部アプリにパフォーマンス制限が設けられていることが明らかに。これを受け、ベンチマークサイトのGeekbenchは同2機種をランキングから除外。公式は声明を出すに至っています。
制限下で性能は約10~30%ダウン
ベンチマーク関連に定評のある海外メディア、AnandTechにより、OnePlus 9および9 Proが、ChromeやTwitterなどメジャーアプリの動作の際に、それらを検知しパフォーマンスに制限をかけていることが判明。
最大クロック数到達までより遅く
画像を見ての通り、検証用アプリではSnapdragon 888のプライムコア、Cortex-X1の最高クロック数である2.84GHzに迅速に達している一方で、偽装ChromeやTwitterでは最高クロック数に到達するまでにその3、4倍時間がかかっており、更にはX1を未使用ないし最高クロック数そのものがかなり制限されていることは明らかです。
パフォーマンスに影響あり
上記のCPUクロック数制限は、実際にパフォーマンスにも影響を及ぼしており、AnandTechが行ったテストでは、偽装Chrome及びTwitter双方ともに性能において約32、29%の差異が確認されています。
また偽装Chromeについては、X1コアを使用しているもクロック数は2.26GHzに制限、TwitterにおいてはX1コアを使用することはなく、パフォーマンスコアA78の2GHzに留まったとのこと。
更に、これらの偽装Twitterでの端末の動作をGeekbench上にて再現しており、その結果は上画像の通り。実際のGeekbenchスコアと比べ、シングルコアで約20%、マルチコアでは約11%低下しています。
またこの際は、X1コアのクロック数は2.38GHzに制限、A78コアはマルチスレッドテストにおいて2GHzを超えることはなかったとのこと。
PCMarkにおいても同様の検証を行っており、こちらにおいても約19~36%の低下が見られています。
またブラウザのスピードテストであるspeedometer 2では、対象外のVivaldiブラウザが107点となったのに対し、ChromeではSnapdragon 888機としては低い61. 5点、その後は16.8点となったとのこと。
この際、Vivaldiが最初にX1、それ以降はA78を最大クロック数である2. 41GHzで使用していた一方、Chromeは最初の一回目でA78を2GHz、それ以降は省電力コアのA55を使用していたそう。
純正アプリも対象に
この制限の対象となるアプリについては、そのブラックリストは見つかっていないものの、AnandTechが試したところ、メジャーなアプリは一通り、純正アプリも例外ではない模様です。以下、その一部を抜粋しています。
- 設定
- OnePlusランチャー
- 天気
- ファイルマネージャー
- ノート
- ギャラリー
- カメラ
- Zoom
- TikTok
- Snapchat
- YouTube
- Chrome
- Amazon
- Firefox
- Discord
- Netflix
- Twitch
- Uber
- Uber Eats
- Excel
- PowerPoint
- Word
ゲームに関しては、Candy Crush Sagaは対象となっていたものの、原神など人気ゲームのいくつかは対象外となっているとのこと。
また、UberやUber Eatsが対象となっている一方で、それらの競合となるLyftやGrubhubは対象外となっているそう。もちろん、ベンチマークアプリは全て対象外となっています。
Geekbenchのランキング上から削除
We will also test the other OnePlus handsets in our performance lab to see if these handsets also manipulate performance in the same way. If they do, we will delist them from the Android Benchmark chart.
— Geekbench (@geekbench) July 6, 2021
これを受け、ベンチマークサイトのGeekbenchはOnePlus 9および9 Proを同ランキングより削除。また他のOnePlus機もテストを行い、同様であった場合それらもランキングから削除するとしています。
公式が声明を発表
これらの問題に対し、OnePlusは以下の公式声明を発表。
私たちの最重要事項は、大切なユーザーフィードバックに迅速に対応し、優れたユーザーエクスペリエンスを提供することです。
3月のOnePlus 9、9 Proの発表後に、複数のユーザーより、バッテリー持ちと排熱を改善できる箇所の報告がありました。そのフィードバックの結果として、私たちのR&Dチームはここ数か月の間、アプリの必要性能と適切な電力消費をマッチさせることにより、Chromeなどのメジャーなアプリを使用している際の端末のパフォーマンスを最適化してきました。これはバッテリー消費を抑えながらスムーズなユーザーエクスペリエンスを提供することに繋がっています。
確かにこれはいくつかのベンチマークアプリにおける端末のパフォーマンスに影響を与えるかもしれませんが、私たちの焦点は常に、ユーザーのため、端末のパフォーマンス改善のためにできることをすることです。(意訳)
また、海外メディアxdadevelopersの編集長宛てに送られた最初の声明には、その対象アプリ数が300と明記されていたそうですが、該当ツイートは現在削除されており、同じく海外メディアであるAndroid PoliceがOnePlusに尋ねた際は、返答がなかったとのこと。
過去には、RealmeやHuawei、MediaTekなどが、ベンチマークアプリにおいて意図的にパフォーマンスを向上させるといった不正がありましたが、今回はその逆、その他のメジャーなアプリにてパフォーマンスを制限する、といったものでした。
OnePlusのやり方は、意図的にパフォーマンスを向上させる不正よりも悪質ではないという見方もあるでしょう。が、対象アプリを頻繁に利用するユーザにとって、ベンチマークスコアほどの性能がOnePlus 9シリーズから得られない、という問題があるのも確かです。
今後も、新たな手法による「ベンチマークスコア操作」は出てきそうですね。
Source, Via:AnandTech, Twitter(1), (2), Android Police
普通に節電機能とかとして実装すれば良かったのに