日本国内ではすっかり馴染みのスマートフォンメーカーとなったHuawei(ファーウェイ)。国内メーカーに比べて明らかに良いコストパフォーマンス性が人気の理由だと言えるでしょう。
この記事ではHuaweiの特徴・デザイン・歴史について解説をしていきます。概観から少しマニアックな話まで、これを読めばあなたもHuaweiマスターです。
目次
カメラとデザインのHuawei
Huaweiの製品と言えば、その高いカメラ性能が有名です。フラッグシップモデルにはLeica製のレンズとソニーと共同開発したイメージセンサーを搭載していることが特徴。フラッグシップモデルだけでなく、エントリーレベルの機種でもカメラ性能も高い評価を受けています。
DxO Markの評価では、Huawei Mate 30 Pro 5Gが2020年1月の時点で世界最高性能のカメラを有しています。
また、模倣の枠を超えたデザイン性も特徴。一世を風靡した本体のグラデーションデザインはHuawei P20が元祖でした。Mate 30シリーズの丸形のカメラ部分も独特で、早速Redmi K30に真似されています。Huaweiはフランスにデザイン研究センターを有しており、スマホ業界をリードするデザイン力を持っていると言えるでしょう。
現行シリーズのラインナップ
Huaweiの現行シリーズのラインナップは主に四種類。honorブランドは省略して紹介します。
novaシリーズ
英単語の「innovation」から名付けたnovaシリーズ。その名前だけに、常にデザイン面でもスペック面でも革新的な機種が多く登場し続けています。若年層がターゲットで、派手なデザインが多く見られます。
Mateシリーズ
novaシリーズと同じく、「ultimate」という英単語を由来としているMateシリーズ。
こちらはHuaweiが誇るフラッグシップラインとなっており、全てにおいて最高峰の技術が多く取り入れられています。価格も他のシリーズと比べて飛び抜けていますが、Huaweiの高い技術を体感できる唯一無二のシリーズです。
Pシリーズ
Huaweiの看板とも言えるのがPシリーズです。liteからProまで幅広いラインナップを揃えており、ユーザーの使いかたや好み、予算によって選べるのがポイントです。
Huawei P9では大手カメラブランドのLeica(ライカ)と共同開発したデュアルカメラを採用し、その高い性能が人気を集めました。
日本で人気のHuaweiスマートフォンはPシリーズがメインとなっています。
Yシリーズ(日本発売なし)
低価格ラインナップに力を入れているのがYシリーズです。2019年になってからは、ポップアップ式カメラをHuaweiで初めて採用したシリーズでもあります。
安くてスペックのバランスも良く、Pシリーズに次いで人気のあるシリーズとなっています。
Huaweiと日本
日本でHuaweiの名前が知られるようになったのはここ数年のことでしょう。筆者の体感では、Huawei P20 liteのバカ売れからガジェットマニアではないいわゆる一般ユーザーにも知れ渡った印象ですが、実はHuaweiは日本に進出にして長いのです。
しかし、進出当時は知名度も低く、見慣れない中国のメーカーという印象が拭えなかったのが事実。機種の評判はそこまで良いわけではありませんでした。
初期のモデルで懐かしいのは、イーモバイルのGS03やGL07S、docomoのHW-01Eなどでしょう。
イーモバイルは2014年にソフトバンクグループとなり、現在はY!mobileという名前です。今でこそ大成功したY!mobileですが、Huaweiの機種を今でも採用し続けているのはEMOBILE時代から深い関わりがあったからなのです。
このようにHuaweiはキャリアからの販売とSIMフリー端末の個別販売の両方に力を入れ、どちらのジャンルでも着実に知名度と評判を得ていったのです。一方、昨年からアメリカによる制裁によってHuaweiの日本展開には急ブレーキがかかっています。
アメリカによるHuawei狙い撃ち
急成長中のHuaweiに昨年水を差したのがアメリカによる制裁。Huaweiは5G通信技術で世界トップを走っています。現在進行中のこの問題は、5G技術における中国とアメリカの覇権争いの様相を呈しています。
制裁によって、Huaweiは現在GoogleのGMS(Google Playメディアサービス)を自社製品に搭載できなくなっており、アメリカ国内での製品の販売が制限されています。
そのため、最新機種では中国版とグローバル版に関わらずGMSの搭載がされていない状態で製品を出荷し続けています。
GMSの搭載がされないことは、GoogleのネイティブアプリやGoogle Play Storeが一切できない利用できないことを意味するため、最新機種の販売台数にも響いてしまっている状態です。
既存の製品をスペックアップし、事実上の別機種として発売するなど、貿易制裁の影響を抑える動きも見せていますが、今のところはこれという手立てはないのが現実でしょう。
Huaweiの歴史
中国の深センで誕生
Huaweiは1987年に中国にある深センという都市で創業されました。極貧家庭で育った創設者の任正非氏は元々勤めていた国営企業で取引先に騙された責任を取ってクビになり、家族を養うためにやむなく起業。
現在はスマートフォン・通信設備を開発しているHuaweiですが、元々は電話デジタル交換機の輸入販売から始まった会社でした。
カメラ大手Leicaと共同開発
今となっては昔ほどの勢いがなくなってしまった、ドイツにあるカメラ大手のLeica(ライカ)。そんなLeicaにHuaweiは目を付け、スマートフォン向けカメラの共同開発を進めていきました。Pシリーズの上位モデルに共同開発のカメラは搭載され、業界でも非常に高い評価を受けています。
2014年に共同開発がスタートし、2016年発売のHuawei P9でLeicaロゴが初めてHuaweiの端末に載ることとなりました。Leicaの工場の規模ではスマートフォン向けカメラの製造は難しく、外部の工場で製造がおこなわれています。それでも品質と性能は折り紙付きでしょう。
現在、イメージセンサーにおいてはHuaweiはソニーと共同開発しており、独自のCMOSをMateシリーズに搭載しています。
必要時に他社と協力しつつ、技術を磨いているのがHuaweiの強みでしょう。
独自の外部ストレージ NMカードを発表
NMカード(Nano Micro)というHuawei独自の外部ストレージカードが存在します。
Huawei Mate 20シリーズにはじめて採用され、ナノSIMカードと同じサイズということが特徴でした。NMカードを外部ストレージオプションとして採用することにより、本体のスペースを抑えることができます。
深センに新キャンパスをオープン
2019年になって深センに新たな開発拠点であるキャンパスをオープンしました。
総面積は120万平方メートルに及び、ヨーロッパをイメージに設計デザインされたというキャンパス。キャンパス内には電車も走っており、地名をモチーフにした駅名がユーモアを感じさせます。
デザインの系譜 - 年齢性別を選ばないシンプルさ
ツヤ消しのマッド調バックパネルのデザインの印象が強かった昔のHuawei。バックパネルのデザインはすっかりツヤありになり、カメラも縦配置の片寄になるなど、Huaweiスマートフォンのデザインも大きく変わっています。
中華メーカーの中では控えめなデザインが多いのがHuaweiのスマートフォンの特徴でしょう。
Huawei P10シリーズ
この頃はまだロゴマークが背面にデザインされているのが特徴でした。カメラ部分の黒い縁取りはHuaweiが製造を担当したNexus 6Pにも採用され、「潜望鏡デザイン」として親しまれてきました。
今のスマホのデザインと比べても劣っていないと感じるのは私だけでしょうか?
Mate 10シリーズは薄いベゼルで攻めるデザイン
Huawei Mate 10シリーズは当時のHuaweiスマートフォンではかなり薄いベゼルが特徴でした。背面のカメラを飾るようなマットとツヤのツートンデザインが印象的です。
背面の指紋センサーの形は四角で続いてきましたが、この頃から現在のような丸形になりました。個人的な意見ですが、丸形の方がデザイン性が高いと思います。
グラデーションデザインが業界のトレンドに
Huawei P20シリーズの上位機種で採用されたのが、グラデーションデザインです。特にHuawei P20 Pro トワイライトカラーのグラデーションは評価が高かったのが懐かしいでしょう。
Huaweiに多くの有名メーカーが続いてグラデーションデザインを採用し始め、同時に多くの中華メーカーが真似をしだすほどの影響がありました。
ツートンデザインの採用
ツートンデザインはHuawei P30 Proと2019年のYシリーズなどで採用されました。
下部分はマット素材で指紋が目立ちにくく、上部分がツヤ素材による光の反射などを楽しめることが特徴でした。機能性とデザイン性の両方を持ち合わせているのがツートンデザインだと言えるでしょう。
マーケットシェア
メーカー解説シリーズでは毎回各社のマーケットシェアを簡単に載せています。
スマートフォン市場では大手として知られているだけあり、マーケットシェアはかなり大きくいのが現状です。
2019年Q3の段階ではシェア一位であるサムスンに次いで17.6%という数字で二位となっています。アメリカによる制裁の影響でシェア低下を報道された時期もありましたが、それでもなお存在感は大きいままです。
これほどまでのマーケットシェアの維持に貢献しているのはやはりHuawei P20シリーズとP30シリーズが大きいのでしょう。
おまけ:愛娘のためならApple製品だって買ってあげるHuawei CEO
昨年からカナダで拘束されているHuawei副会長の孟晩舟氏は、同社創業者CEOの任正非氏の娘です。
そんな孟氏ですが、実は家族も認めてしまうほどのApple信者。プライベートではHuawei製品ではなくiPhoneやMacなどを使いこなしているそうです。愛娘の孟ちゃんに対し、任氏は旅行先でApple製品をねだられたら買ってあげてしまうというエピソードがあります。愛するわが子を思う気持ちは誰しもみな同じなのです。
現在では副会長というポジションにいる孟氏も、Huawei入社当時は一人の社員として会社に貢献を続けてきました。副会長になれたのは、娘という立場以上に社員としての実力と会社への貢献具合も評価されてのことだったと言われています。
Huawei従業員は中国で「並みの企業の2倍の給料を貰い、3倍働く」と言われています。今がまさに正念場のHuawei。社員の士気・働きが危機克服のキーポイントになるでしょう。
>>Huawei Mate 10シリーズは当時のHuaweiスマートフォンではかなり狭いノッチが特徴でした。
ノッチじゃなくてベゼルね。