アメリカのウィリアム・バー司法長官は、中国の大手通信機器メーカーのHuaweiが5G整備で支配的にならないようにするために、対抗企業であるフィンランドのNokiaとスウェーデンのEricssonへ投資し、米国及び同盟国で協力して両社の経営権を取得すべきだという見解を示しました。
アメリカはかねてよりHuaweiが脅威を懸念しています。昨年5月に始まったHuaweiに対する規制はその懸念を体現したものであり、アメリカのHuaweiに対する風当たりは強くなっています。
基地局世界シェア、アメリカは1%
現在基地局の世界シェアを見るとHuaweiが世界シェア1位。ZTEも合わせて中国がシェア4割を保持しており、アメリカ企業は最大手が世界シェア1%のシスコとお寒い状況。Huaweiは5G技術でリードしているだけではなく、設備・機器の導入価格も競争力があり、NokiaやEricssonも苦戦を強いられている状況です。
2018年の携帯電話基地局シェア
- 1位:中国・Huawei(31%)
- 2位:スウェーデン・Ericsson(27%)
- 3位:フィンランド・Nokia(22%)
- 4位:中国・ZTE(11%)
- 5位:韓国・サムスン(5%)
- 6位:アメリカ・シスコ(1%)
- 7位:日本・NEC(1%)
- 8位:日本・富士通(1%)
北欧勢を抱き込んでHuaweiに対抗?
バー長官は、アメリカは自国の企業もしくは同盟国の企業との連合でNokia、Ericsson両社の経営権を取得し、アメリカと同盟国で共同で5G整備を進めていく案があることを示唆しました。これらの北欧企業をアメリカの巨大な市場、財力でサポートすることで、Huaweiに劣らない強大な連合が作れるとして、アメリカ政府は積極的に検討していく必要があると述べています。
一方で、ペンス副大統領などのアメリカ政府高官はバー司法長官の考えに否定的です。ペンス副大統領は5G周波数帯域の拡大が有効であり、アメリカ政府は国内でも海外でも企業を買収することはないと答えています。
もしNokia・Ericsson両社を買収するとなると、合計で時価総額が約5.5兆円あるのでかなり大規模な買収となります。また、アメリカ政府の働きからによる公開企業の買収は、救済目的以外は珍しく、海外企業となるとさらに珍しいことになります。その上、これだけ大規模な買収となるとヨーロッパの規制当局のルールに抵触する可能性があります。
バー司法長官の発言の影響でNokia・Ericsson両社の株価は少し上昇しました。アメリカ政府による直接の買収、企業への買収の働きかけはあくまで司法長官の意見であって、実現される可能性は低いと思われます。とはいえ、このような発言が見られること自体が5Gネットワークに対するアメリカの危機感・焦りを反映しているとも言えるでしょう。
Source : The Verge
買収って言ったって、5兆円出せるのはGAFAMくらいでは?
Appleは基地局に興味ないし、基地局側を買うくらいならQualcomm買った方が安上がりな気もする。
alphabet(Google)はスタートアップ系にお熱だし、Amazonはそもそも大して買収せんやろ。