コンサルタントRoss Young氏のリーク情報によりますと、SamsungはGalaxy Note 20シリーズで、Apple Watch Series 4, Series 5にも搭載された「LTPO」と呼ばれるディスプレイ技術を採用するようです。これにより、従来のOLED(有機ELディスプレイ)よりもバッテリーが長持ちするそうです。
LTPOは省電力化のためのディスプレイ素材
LTPOとは「Low Temperature Polycrystalline Oxide」(低温多結晶酸化物)の略称であり、ディスプレイの内部配線に使われる素材のことです。
LTPOは従来使われてきた素材のLTPS「Low Temperature Polycrystalline Silicone」(低温多結晶シリコン)よりも安定性が高いです。常に高リフレッシュレート(60Hzぐらい)を維持しなければ描画が安定しなかったLTPSに対して、LTPOであれば1Hzという低いリフレッシュレートも実現可能です。事実、Apple Watch Series 5はLTPOによる低リフレッシュレートで常時点灯ディスプレイを実現しています。
リーク電流(待機時の電流)も少なく、リフレッシュレートを下げられることから省電力化が期待できます。事実、市場調査会社IHSによると、LTPO技術を利用すると同じ画面サイズのスマートフォンでの使用時間が既存の90時間から100時間に増加し、全体的に消費電力を5〜15%ほど減らすことができると報告されています。
また、回路の微細かも容易であるため高解像度のディスプレイに対しても強いです。
一方で、LTPOを利用したディスプレイを生産するには追加の施設投資が必要となります。蒸着、エッチング、露光などの工程が20-30%ほど増加し、結果として製造装置・部品・素材の使用量が増加。歩留まりが低下しコストが製品に転嫁されることが予想されます。
「普通のディスプレイでも思いゲームするとリフレッシュレート下がるじゃん」と思われるかもしれませんが、それはゲーム内の描写でのこと。描写は遅くてもディスプレイ自体は60Hzなどで動いており、その分バッテリーを食います。LTPOであればゲーム内のリフレッシュレートが下がるとディスプレイのリフレッシュレートも下がり、結果としてバッテリー消費量が減ります。
その他Galaxy Note 20シリーズに関して
Galaxy Note 20は6.42インチのディスプレイを採用します。Galaxy Note 10は6.3インチでしたので少し大きくなります。
一方でGalaxy Note 20 Plusは6.8から6.87インチとなるようです。
The Galaxy Note20 will use a more fine-tuned 120Hz refresh rate technology.
— Ice universe (@UniverseIce) February 4, 2020
今年の2/4、著名リーカーのIce Universe氏はGalaxy Note 20シリーズは「more fine-tuned」(より調整された)120Hzディスプレイを採用すると発言していました。ひょっとするとLTPOのことだったのかもしれませんね。
Galaxy Noteシリーズの強みになるか
このLTPOディスプレイ、いまのところAppleがiPhoneに搭載するという噂はありません。一方で、iPhone 12 Proではリフレッシュレートが最大120HzのProMotionディスプレイが搭載されると言われています。(ProMotionディスプレイは2017年のiPad Proに初めて搭載されたリフレッシュレートを自動調整する機能です。)
LTPO採用が事実であれば、ディスプレイ性能においてGalaxy NoteシリーズはiPhoneシリーズに対して大きなアドバンテージを取れそうです。
パネルメーカーの強みやね。
AppleもせっかくJDIの工場とか買い取ったんやし、頑張ってほしいわね。