未だ商用機は発売していないものの、三つ折りの折りたたみスマホを公表するなど市場参入に積極的な姿勢を見せているTCL。Galaxy Z Flip3が記憶に新しい、縦折りたたみスマホも開発中であった模様で、Galaxy Z Flip3よりも安価なものとなる予定だったようです。
目次
Chicago Project
TCLは、コードネーム「Chicago Project」の名で縦折りたたみスマホを開発中でしたが、その実機が海外YouTuber、マイケル・フィッシャー氏と海外メディア、CNETに提供され実態が明らかに。
ただ、今年第4四半期に発表予定だったそうですが、「開発中だった」とタイトルにもある通り、夏のGalaxy Unpackedイベントの前に同機の発売はキャンセルされています。
Snapdragon 765Gを搭載
- Snapdragon 765G
- 1.1インチAMOLEDタッチ対応ディスプレイ(リア)・6.67インチFHD+(2,400×1,080p、20:9)AMOLEDディスプレイ(イン パンチホール)最大輝度700nits
- 6GB RAM + 128GB ROM
- 3,545mAhバッテリー、18W有線(QC 3.0)、10Wワイヤレス充電に対応
- USB-C 3.1
- リアカメラ:48MPメイン(IMX582 0.8μm OIS)+16MP超広角、最大4K30FPS動画撮影対応
- インカメラ:44MP、最大4K60FPS動画撮影対応
- 86.5/164.8×78.1×17.9/7.35mm(折りたたみ/非折りたたみ時)、204.5g
- カラー:Pastel Gold(パステル・ゴールド)
明らかとなっているスペックについては上記の通りで、安価にするためかSoCにはミドルレンジモデルのSnapdragon 765Gを採用。
同SoC採用のMotorola Razr 5Gと比べ、バッテリー容量は745mAh大きく、バッテリー持ちは比較的悪くないものとなっていたのではないでしょうか。
また競合より安価ということで、フレームはアルミニウム製、背面、そしてOLEDディスプレイはプラスチック製に。そのためか、ディスプレイは、ガラス製のサムスンの折りたたみスマホよりも明るくならないようです。
折りたたみ時に隙間がほぼゼロに
当モデルの特徴としては、端末を折りたたんだ際に、フレームが一部中央に向かって斜めに盛り上がっているためその隙間がほぼゼロに。
また縦折りたたみスマホの特徴でもありますが、端末を任意の角度で固定が可能。
リアディスプレイは自撮りのプレビュー画面として使えたり、天気アプリなど一部のアプリが利用可能な模様。
これらの多くはGalaxy Z Flip3でもできることですが、マイケル氏は、Chicago Projectは初代Galaxy Z Flipの競合となるつもりだっただろう、としており、Galaxy Z Flip3よりも早く発売されていたら、ある程度の人気は得られたのかもしれません。
ソフトウェアはまだまだ未完成
マイケル氏に提供された実機は、量産される段階よりかなり前のものとなり、バグは多く、ヒンジは少し軋むなど、まだその完成には遠かった模様。
ワイヤレス充電においては、最高速度に達することができないとのこと。
カメラに関しても、チューニングはまだまだで、Galaxy Z Flip3と比べても、その色合い、暗い部分のデティール、白飛びなどが目立っています。
更には、カメラアプリの一部モードが機能しないなどといったこともあるとのこと。
発売予定価格は約8.9万円?
TCLは具体的な発売予定価格を明らかにしなかったとのことですが、マイケル氏は$799.99(約8.9万円)と予想。
またTCLはインタビューにて、「もし誰かが$800の折りたたみスマホを購入できるのであれば、彼は$1,000の折りたたみスマホも買えることだろう。恐らく、その場合彼はより見知った、信用するブランドを選ぶでしょうね。(意訳)」と述べており、発売された場合はやはり$800(約8.9万円)となっていたのではないでしょうか。
ちなみに、Galaxy Z Flip3のアメリカでの価格は$999.99(約11.1万円)からとなっており、その売れ行きも好調とされています。
キャンセルには2つの理由が
TCLは、Chicago Projectをキャンセルした理由として、以下の2点を挙げています。
- TCLのモバイル部門は新しく、その販売はキャリアに頼っている現状だが、キャリアは折りたたみスマホよりも5Gに興味を持っている。
- 端末に自信はあるが、より良い体験を、更なる低価格で届けたかった
その理由についてマイケル氏は、TCLはリスクを恐れすぎているのでは?との質問をしたそうですが、BlackBerryやPalmの復活など、過去のいくつかのチャレンジしてきた例を挙げられたとのことで、保守的になり過ぎているというわけではないようです(TCLは過去にWindows Phoneも発売)。
また、TCLによる言及はありませんでしたが、現在のチップ不足も少なからずその判断に影響したことでしょう。実際に、サムスンはGalaxy S21 FEをキャンセルしたとされ、その理由としてチップ不足が挙げられています。
折りたたみスマホ自体は諦めていない
その日の目を見ることは無くなったChicago Projectですが、TCLは、折りたたみスマホ自体は諦めていないと強調。
マイケル氏とのインタビューでは「We are going to do this. For real.(我々はやってみせる。ホントに。)」と発言しており、その意気込みがひしひしと伝わってきます。
また、過去10年で300億ドル(約3.3兆円)をディスプレイ技術に投資したともしており、今後TCLから実際に折りたたみスマホが発売される可能性は高いと見ていいでしょう。
その発表時期については、TCLは今年末までの初折りたたみスマホの発表を予定していましたが、最低でも今後1年~1年半は折りたたみスマホを発表する予定はない、とCNETとのインタビューで述べているため、近くの発表には期待できません。
しかし、実際に発売を予定している今回のChicagoのような縦折りたたみスマホの開発に既に着手しており、それはChicagoよりも薄く頑丈なものとなるとのこと。今後の続報に期待ですね。
Source:MrMobile(YouTube), CNET
一枚画面だとシワとか黒く滲むから、二枚画面のSurfaceDuo
みたいな感じがいい。