インドという新興マーケットのスマホ市場で勝負を始めたrealme。インドで始まったそのビジネスはアジアに留まらず世界各国に進出を果たし、2021年の今はスマホのみならずテレビや生活家電までも展開していることが特徴です。
目次
インドのマーケット状況についてはこちら
インドのマーケット状況(2020年)については以下の記事から確認ができます。
インドではエントリーからプレミアムまでを完全網羅したラインナップを展開
realmeは元はインドでスマホの販売を始めたブランドであるため、同国に対する販売の力の入れ方は非常に強く感じ取れます。ここ数年でインドマーケットでのラインナップが強化されたことが印象的です。
現時点で同社はrealmeブランドに加え、narzoというサブブランドも展開しています。realme Cシリーズはインドマーケットで非常に人気のあるラインナップですが、これは予算を10,000ルピー(約15,000円)未満とする層をターゲットとしています。
また、realme Xシリーズは元は中国国内向けのラインナップだったものの、のちにインドにも持ち込み人気を博しました。同シリーズは予算に余裕があり、製品スペックに敏感なテクノロジー知識層をターゲットとします。
かつてのrealmeは、インドマーケットにおいて低価格モデルのみを展開していました。よって、予算に余裕がありスペックにこだわりたいユーザーはOnePlusやXiaomi、サムスンといったメーカーの製品を選ぶ傾向にあったのです。realmeは国内マーケットでのブランド力と評判が付くにつれプレミアムラインナップにも注力し、マーケット内の全ての層を捉えることに成功しました。ラインナップの豊富さこそがインドでの成功要因でもあります。
製品カテゴリの多様性
realmeは元はインド国内向けのブランドとして登場し、当初はrealme 1という機種をもってデビューをしています。そこからスマホに特化した製品カテゴリとなっていましたが、2021年の現在は非常に多岐に渡るものに変化を見せています。
- スマホ
- ノートパソコン
- スマートテレビ
- スマートウォッチ
- オーディオ
- カバン(スーツケースやバックパック)
- 生活家電(電動歯ブラシや体重計など)
- アパレル(Tシャツや帽子など)
以上が2021年8月現在のrealmeの製品カテゴリです(筆者による分類)。これらには一部マーケットでのみ展開されるものも存在しますが、どれも特徴的なものばかりです。
これだけのカテゴリが存在することにより、ユーザーは多くの方面からrealmeブランドのエコシステムに手を出す可能性を持つことになります。スマホから入りアクセサリや生活家電を入手するパターンや、安くて399ルピー(約450円)というか価格で売られるイヤホンなどからrealmeブランドに関心を持つというケースも想定されます。こうした戦略的な製品展開もrealmeがインドで規模を大きくできている一因です。
インド国内のパフォーマンスに関して
上記はインド国内のスマホマーケットのシェアを表にしたものです。realmeは2020年から2021年まで10%を超えるシェアを維持することができており、強い存在感を見せています。
Source: Counterpoint
グローバルでのパフォーマンスは非常に好調
Strategy Analyticsのレポートによると、2021年7月の時点でrealmeのグローバル規模での販売台数は累計で一億台を突破したといいます。累計販売台数が一億台を超えているメーカーはサムスンをはじめOPPOやXiaomiなど複数存在しますが、realmeはその数字に達するまでに要した期間が四十か月未満であり、これは過去最短レベルとされます。
このように、realmeはインドのみならず世界的に優れたパフォーマンスを見せていることが特徴です。なお、この一億台販売という結果にはインドのユーザーが非常に大きく貢献していることも伝えられています。
Source: Strategy Analytics
realmeがインドで目指しているポジション
realmeがインド国内で目指しているのは、ユーザーに愛される国民的スマホブランドというポジションであると筆者は考えます。同社がユーザーを非常に大切に考えているのは、多くのアクティビティやサービスから感じられます。以下のようにrealmeはユーザーのロイヤリティを高めるための努力を企業として行っています。
若いユーザーにとって忘れられないコンサートイベントの企画
多くのメーカーにとって難しい取り組みをインドで実現できているのがrealmeです。同社はインドの大学のキャンパスを使用したイベントの企画を積極的にしています(COVID-19の感染拡大前)。上はrealmeが2019年に開催した大学キャンパス内でのコンサートの様子です。
イベント開催のみならず、大学のサークル団体のスポンサーとなるなどの動きもしており、インドの学生からrealmeの人気が強いことにも納得できます。
多く設けられたメーカーとユーザーの接点
壁紙のデザインコンテスト(賞金あり)やrealme Book(ノートパソコン)のデザインプログラム、製品パッケージのデザイン投票など、ユーザーがrealmeというメーカーと強い接点を持てるための工夫が多くされています。
これまでに多くのユーザー参加型アクティビティがあり、realmeが社内だけでなくユーザーまでも取り込み、共同して優れたブランド・製品を作り上げようとしているのが強く感じ取られます。ユーザーにとっても、このようなイベントに参加ができることは、メーカーを身近に感じられるとともに、イメージの向上にもつながります。
圧倒的なユーザーコミュニティのアクティブ度
realmeのスマホのユーザーを対象としたコミュニティがインド国内では運営されていますが、とても活発にコミュニティが機能していることが印象的です。ユーザーからのコメントや投稿はもちろん、社内の人間や時に現地のCEOなども積極的に存在を見せています。
同じメーカーの製品を使うユーザーとの交流はもちろん、内部の関係者を身近に感じられるコミュニティの存在は、realmeのブランドロイヤリティをインド国内で高めることに貢献しています。
realme Coinsというポイントサービスを開始
2021年になりrealmeはインドのユーザーを対象にrealme Coinsというサービスを開始しています。これは、realme Storeという公式通販アプリから商品を購入した際に、1000ルピー(約1500円)につき100コインが付与されます。100コインは同通販で1ルピー(約1.5円)として代金の支払いに充てることができます。
還元率にして、0.1%となりますが、インド国内での評判は悪くなさそうです。スマホ業界でポイントサービスを導入しているメーカーは珍しいため、同サービスは他社からの差別化となっています。
以上はあくまで例であり、多くの取り組みがrealmeによってインド国内で行われてきました。realmeはこのような活動を通し、「ユーザーにとって愛されるメーカー」というポジションを確立するべく前進しています。
はいはいrealme