我々日本人にとっては親しみのあるSONYのスマートフォンブランド・Xperiaでしたが、ここ数年では驚くほどにその勢いを失ってきています。
最盛期では年間5000万台近いスマホを出荷したSONY。2017年には既に約1350万台にまでスマートフォンの売り上げが減少しており、2018年度の売り上げ予想(2月時点)では650万台にまで落ち混んでいます。
スマートフォンの買い替えサイクルが遅まっているのもありますが、大幅な販売台数減少が見られるのが現状です。
ファンも多かったであろう大画面のファブレットのXperia Z Ultraや、スマートフォンでは初めて4K液晶を搭載したXperia Z5 Premiumなど様々な機種を送り出してきたSONYでしたが、なぜXpeiaは人気を失ったのでしょうか。
庶民層には高かった価格設定
「SONYの製品は高い」この認識は誰にもあるものでしょう。このイメージの通り、SONYのスマートフォンは他社の製品と比べると価格が全体的に高かったのが特徴でした。日本国内では、キャリアから型落ちモデルとしてセール販売されない限り、高級な機種が多いのがXperiaのラインナップです。
日本国外でもスマートフォンを積極的に展開しているSONYですが、他社の最安ラインナップとSONYの最安ラインナップでは1万円以上の差があるマーケットも海外には存在します。これについては、現地の若年層や庶民層をターゲットにしていないと言わざるを得ません。
例えば、フィリピンでは2月時点のラインナップではSONYのスマートフォンは最安機種がXperia L1の20,257円(2月19日現在)となっています。
フィリピンで生活する友人は「今年から近所のショッピングモールでSONYのスマートフォンが売られているのを見なくなってしまった」とこの記事の執筆に際して話してくれました。
こうした高い価格設定にはSONYがAppleのように高級路線(ハイブランド化)・高単価化を目標としていたことが理由としてあるのでしょう。しかし無数に選択肢があるAndroid端末の中から「売れる高級スマートフォン」として抜け出すことは難しかったのが現実です。
端末トラブルの続出
電子機器である以上トラブルや故障は避けられないものです。その発生を最小限に留め、発生後にサポート対応をするのがメーカーの責任ですが、SONYのスマートフォンでは特別話題になったトラブルがありました。「タッチ切れ問題」です。
タッチ切れとは、端末本体に衝撃を与えた際に、画面割れの有無に関わらずスクリーンからのタッチを認識しなくなるという問題です。
落下事故などなしに突如発生する報告もインターネット上で多数あり、SONYが無償修理を現在まで続けている有名なトラブルの一つです。
そのほか、バッテリー発熱問題もXperia Z4をはじめ、よく知られているトラブルでした。放熱処理性能や高性能チップセットと他部品の相性などで起こる、異常なまでの発熱はXperiaで深刻でした。
最新の機種ではこういったトラブルも減っており、旧型製品らもAndroidアップデートなどで対策されていますが、過去のこういったトラブルが無ければXperiaユーザーが流出することをもっと食い止められたはずです。
デザインの迷走
2012年にソニーエリクソンがSONYの子会社化されて以来、Xperiaシリーズのデザインは迷走していると一部では言われています。Xperia Zシリーズでは一つのデザインの型にこだわりすぎてファンを退屈させてしまいました。
その一方で、XシリーズやXZシリーズではトレンドと外れたガラリと変わったデザインで勝負してきたことで、ファンを混乱させてしまったと考えることができます。競合他社のノッチによるベゼル小型化に追随しない頑なな姿勢は珍しいものでした。
Googleで「Xperia デザイン」と検索すると、候補ワードから必ずしも良い評価を受けていないことが分かります。
カメラの配置や背面のカーブを大々的に変更したXperia XZ2はSONYにとって大きな挑戦だったでしょう。ですが、大胆すぎたデザイン変更は結果的にユーザーからの批判を浴びてしまいました。
ただ、Xperia XZ3では問題点だった重さ、分厚さがいくらか改善され、側面ラウンドディスプレイで外観もかなりブラッシュアップされて来ています。
今後のモデルで如何にユーザーを飽きさせず、かつ戸惑わせないデザインにしていくか、ソニーの力量が試されることでしょう。
中国メーカーとAppleの板挟みに
言わずと知れた日本を代表する家電総合メーカーの一つであるソニーにとって自国日本のスマートフォン市場は規模も大きい最重要マーケットです。
そんな日本のマーケットでは、Appleが大きくシェアを握り、SONYはそれに続く形が数年続いていました。Appleに対して苦戦している中で、2016年ごろから中国のHuaweiがマーケット内で勢いを伸ばし、そこにOPPOなどの中国メーカーに参入を許してしまったのがここ数年のSONYです。
日本国内でAppleやSamsung・Galaxyをはじめとする海外企業にシェアを大きく取られてしまったのはSONYの一つの敗因だと考えられるでしょう。
今後のSONYに期待しましょう
しかしながら、SONYの製品はコアなファンを一定数集めており、洗練されたデザインや機能がとても評価されているのも事実です。ファンからの人気ぶりは、SONY製品を愛する人を指す「SONY信者」という言葉からもよく伝わります。
また、ソニーのヘッドホンやPS4は世界各国で好調が続き、Xperiaの凋落ほどにはソニーの知名度は衰えていません。
スペインで行われる予定のMWCでSONYは新型Xperiaを発表しますが、とても良い仕上がりになっているという情報がメディア関係者の間で流れています。今後のSONY動きにも注目しながら、ファンを驚かせてくれる機種のリリースを期待しましょう。
リーク情報は以下の記事をご覧ください。
Xperiaタブレット出してくれないかなぁ