オーストリアはウィーンにて開かれた記者会見で、HuaweiオーストリアのマネージャーFred Wangfei氏が、「アメリカによるHuaweiとの禁輸措置が解除されても、我々は独自プラットフォーム(Huawei Mobile Services)を使い続ける」と発言しました。
オーストリアの新聞社、DerStandardの取材によって明らかになったものです。
今では誰もが知ることになった、HuaweiとGoogleの冷え切った関係。
昨年の5月に、アメリカの企業とHuaweiの取引を禁じる大統領令にトランプ大統領が署名してから、GoogleやIntelはHuaweiとの取引を停止しています。
オープンソースプロジェクトであるAndroid OSの使用は「取引」には当たらないものの、Googleが世界の数十億人に提供するGoogle Mobile Services(GMS)は利用が不可能になっています。実際、Huawei Mate 30シリーズはGMS無しのグローバル展開を実施しました。
Fred Wangfei氏によれば、Huaweiは制裁が一度解除されたとしても、自社が再び貿易戦争の材料になることを恐れているとのこと。Mate 30シリーズのようにアメリカ製部品からの完全な脱却が進めば、そのような心配もありません。
Huaweiは第三のモバイルOSベンダーになろうとしている
現在、スマートフォン向けのOSを開発しているのは、基本的にはGoogle(Android)とApple(iOS)の二社のみ。Microsoftも撤退し、一部でごく小規模なOSが使われています。
昨年ついにHuawei独自OSのHarmony OSが発表されましたが、未だスマートフォンに搭載される兆しはありません。
それでも、Huaweiは本気で準備を進めている様子。Huawei Mobile ServicesのひとつであるHuawei AppGalleryでは、すでにLINEやInstagramなど多くの主要アプリが配信されており、他のアプリ開発者を引き込むためにHuaweiは数百万ドルの投資を表明しています。
また、ほとんどのAndroidユーザーにとって生活インフラにさえなっているGoogle系アプリに関しても、代替の開発が進んでいます。
Huaweiが今後アメリカ依存からの脱却を図る上で、Harmony OSへの移行はキーポイントとなります。HuaweiにとってのAndroidが、今でも自社製品に搭載可能なオープンソースプロジェクトだとしても、もはやGoogleエコシステム製品のひとつであると感じられてしまうため、自前のOS実用化は必須でしょう。
ただし、Huawei AppGalleryでAndroid向けのアプリを配布させることと、Harmony OS向けのアプリを配布させることではハードルの高さが段違い。前者では、Google Playストアで配布しているアプリファイルをHuawei AppGalleryへコピーするだけで済みましたが、後者ではアプリの基盤から組み替える必要があり、今までのように簡単にはいかないことが予想されます。
まとめ
Huaweiの任正非CEOは「Huaweiは向こう2~3年でアメリカとの取引を全て断ち切れる」とCNNのインタビューで主張しており、それまでにHarmony OSとHMSを完全なものにするつもりなのでしょう(詳しくは下記の過去記事をどうぞ)。
中国以外でのGoogleサービス群の支配力は圧倒的ですが、HMSはそれを補えるサービスを揃えられるのでしょうか。
Source: ProAndroid, WinFuture
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買うことは無いけどがんばって