24日、中国でXiaomiの発表会が開催され、XiaomiのカスタムAndroidであるMIUIの最新バージョン、MIUI 11が正式にリリースされました。
発表会はYouTube Liveで生中継され、中でもMIUI 11の発表は1時間19分ごろからとなります。
それでは、MIUI 11を詳しく見ていきましょう。
デザイン面
よりシンプルなデザインへ。(1:21:50)
今の時代、ほとんどのUIデザインはよりシンプルな、フラットな方向へ向かっています。もちろんMIUIも例外ではありません。
基本的に、「あるデザイン」にはそのデザイン特有のルール(デザイン言語)があります。フォントや色の選び方、ボタンの形とその使い分けなどを細かくルール化することで統一感のあるわかりやすいデザインになります。
MIUI 11では、デザイン言語をまるごと一新。大画面化のトレンドの中、片手での操作により重点を置いた設計になっています。
「MIUI 11 冗長で不必要なアイコンは削除。本当に必要なものだけを残します。」
「色の使用を制限し、重要な内容がひと目で分かります。」
「MIUI 11 - 成熟した現代的なデザイン言語」
MIUI 11のダークモード(1:23:21)
ダークモード自体はMIUI 10にも実装されていましたが、ついにMIUIのシステムアプリ全てに対応したとのこと。Android 10の目玉機能の一つとしてダークモードが実装されていますが、その青みがかった明るめのダークとは異なり、完全な漆黒。有機ELの力が発揮されます。
MIUIのための新しいフォント小米兰亭 Pro(1:23:32)
中国語フォントのため、我々海外ユーザーにはあまり関係がないかもしれません。
フォントには、ウェイトという概念があります。要するに文字の線の太さのことで、ひとつフォントファミリーの中にも、細いものから太いものまで何種類か用意されていることが多いです。
活字を使う際に正しいウェイトを選ぶことで、文字の空間が潰れてしまったりすること無く綺麗なままの字形で強調などの表現を実装することができます。
MIUI 11では、適切なウェイトが用意された小米兰亭 Proをシステムフォントに採用することで、選択された部分や押されたボタンの文字が太く強調されたりと表現の幅が広がっています。
必要な空間はきちんと残しつつ、太さだけを上手く調節しています。
MIUI 11の新機能たち
Always-on-Display(1:29:06)
MIUI 10のXiaomi Mi9にもAlways-on-Displayが実装されていましたが、今回はMIUI 11のOS単位でAlways-on-Displayが使えるようになるとみられます。
Always-on-Displayとは、名前の通り設定すれば常時画面を点灯させておくことのできる機能で、PCでいうところのスクリーンセーバーと似ています。Mi 9ではここに時計を表示することができました。
今回Xiaomiはそのカスタマイズ性を重視しているようで、画像のように種類豊富な時計だけでなく、通知やメッセージの表示もできるということです。
Mi Work Productivity Suite(1:43:36)
Mi Work Productivity SuiteはXiaomiによるスマホ向けオフィススイートで、合わせて4つのアプリで構成されています。
Mi Shareを使うことで、理論値82MB/sの速度でのファイル転送が可能となります。このアプリは8月にXiaomi、OPPO、VIVOの間で締結された共通ファイル転送規格に則っており、Xiaomiからの同規格へのアプローチはこのMi Shareを通じて行われるようです。
スマートフォンだけでなく、Xiaomiのノートパソコン「Mi Notebook」シリーズにも対応しているということです。
WPSとの共同開発による新しいドキュメントビューワ(1:45:09)
Microsoftに次ぐオフィススイート大手のKINGSOFTの製品、WPS Officeのビューワ機能を内蔵した新しいドキュメントビューワが搭載されます。
Xiaomiの創業者である雷軍氏は、2010年にXiaomiを設立する前にKINGSOFTのCEOを務めていたことでも有名です。意外と関わりが少なかった二社が、このタイミングで手を握ることになるとは思っていませんでした。
WPSの技術により、pdfからxlsファイルまでビジネスに欠かせない数多くのファイル形式に対応したソフトウェアになる模様です。
スマートTVへのキャストも可能なスライド・表計算アプリ(1:47:24)
ここでさらっと驚きの機能が。MIUI 11ではスマホ上の動画を含め多くのコンテンツをスマートTVへキャストできるようになるというのです。
従来、テレビへのキャスティングはGoogleのChromeCastが主流でしたが、XiaomiはMi TVを含む独自のエコシステムでユーザーを囲い込もうとしているようです。
スマホとスマートTVだけでプレゼンができるようになります。
Xiaomiは「もうプレゼンのために大量の映像ケーブルを持ち歩く必要はない」とアピール。
さらにMi TVはもちろん、SONYなど日本メーカーのテレビや、その他多くのメーカーのスマートTVに対応しています。(Xiaomiのプレゼンターで隠れている部分にはTCLのロゴマークがありました)
Mi Printingによる簡単な印刷(1:50:26)
スマホでの印刷というのは、なかなか面倒なもの。最近はプリンターメーカー各社がスマホ向けのプリンタードライバーアプリを提供していることも多いですが、メーカーによって仕様もバラバラでわかりにくいです。
それを打開するため、Xiaomiは主要25社のプリンター約2000機種をカバーするプリンターアプリをリリース。ほとんどの主要なメーカーのプリンターに対応しており、普通はまず困らないでしょう。
筆者もXiaomiのリモコンアプリMi Remoteで家中の家電を操作していますが、これもまた便利そうです。
Mi Go - Xiaomi版トリップアドバイザー(1:51:31)
Mi Goは、旅行先の天気、飛行機の情報からホテルの予約などなど旅行に必要な準備をひとつのアプリ内で完結させてしまうXiaomi版トリップアドバイザーです。
他にも為替レートの計算、現地大使館との連絡、もちろん旅行計画の管理も可能であるといいます。
旅行先であらゆる情報をスマホをひと目見るだけでで確認することが出来るというのがウリのようです。
文字通り「超」省電力モード(1:53:25)
出ました。なんだかんだこういった基本的機能が一番需要があります。Mi Goの機能の一部のようです。
超省電力モード(中国語では超級省電と表現)、という名前の通り、なんと公式発表によれば残り5%から24時間持たせるだけの効果があるといいます。
この数字自体とても信じられないものですが、残念ながら詳しい仕様などは明らかになっていません。以前のリークでは通話とメッセージ以外の全てをシャットダウンし、画面の表示もほぼ限界まで簡素になるといわれていました。
実際、どれだけの機能を停止しての24時間なのでしょうか。
おまけ・まとめ
おまけ・MIUIテーマを無料解放(1:57:06)
Xiaomiのビジネスモデルのひとつは「ハードウェアをなるべく安く、その後から広告や課金要素で利益をとる」というものです。
しかし今回Xiaomiは、「Mi Fansへの還元」と称して収入源の一つでもあったランチャー部分やロック画面をカスタマイズできるMIUIテーマのうち有料のものを無料開放すると発表しました。Xiaomiはユーザーに還元できるほどの利益を得たと主張しています。
かつて雷軍氏は「2018年以降、シャオミのハードウェア製品の利益率は永久に5%を超えることはない。もし上回れば、ユーザーに還元する」と語ったことがありますが、有言実行したかたちです。
まとめ・OSの進化はほぼデザインだけという印象、ベータテストはいつから?
Xiaomiとして、MIUI 11のコンセプトはMi WorkとMi Goの2つで「仕事と生活のそれぞれで直面する課題を解決する」ということになっているようです。今回はOSの変更というより新機能をもった標準アプリをたくさん追加したという印象が強いですが、それも進化のうちでしょう。
個人的には超省電力モードとデザインの変更が一番気になっています。
さて、MIUI 11の発表とあわせてベータテストの開始日程も公開されました。ベータテストは9月27日から配信が開始し、対象の端末はベータテストに参加できるようになります。対象の端末は弊誌記事「MIUI 11のベータテスト・正式アップデートの対象端末と日程まとめ」にまとめられています。
google圏の日本には邪魔になる機能ばかりだ