Xiaomiが5月5日夜10時頃(日本時間)にYouTubeや各SNSにて投稿したRedmi Note 9 Proの広告動画の一部のシーンに、長崎県への原爆投下を揶揄した表現が含まれているとして日本のSNSで現在進行系で炎上しています。
動画は2時間ほどで削除され、半日以上が経った5月6日14時にXiaomi Japanから謝罪声明が発表されました。
目次
問題となった表現
問題となったシーンの主題は、Redmi Note 9 Proの33W高速充電機能(動画内では30Wと表現)をアピールするもので、Redmi Note 9シリーズ全体を広告する動画のワンシーンにすぎません。
動画にはRedmi Note 9 Proと並んで乾電池の形を模した寿司が登場し、白人の男性がそれを口に入れます。その後男性の体が宙に浮かぶとともに膨張し始め、日本のような街の上空で爆発、きのこ雲が発生という流れになっています。
百聞は一見に如かずということで、まずはそのシーンを見てみましょう。
乾電池を模した寿司を睨む男性。
30Wで高速充電されていきます。
満タンになった電池寿司を実食します。
男性の体が膨張し宙に浮いてきます。
どんどん大きくなる男性の体は瓦の屋根を突き破り、さらに上昇。町並みは東京スカイツリーや浅草寺(?)が見えるように明らかに日本のものです。
ここから急速に上昇し始めます。
雲の上に付いたところで映像がアメコミ風のアニメーションに変わります。この時点でも一度爆発の表現アリ。
極めつけに「FAST CHARGE」の文字とともにきのこ雲の爆発が描写されました。
いいね!(→何が?)
と、これが今回公開された動画の一連の流れです。寿司やスカイツリーから日本を舞台にしたシーンであることはわかるでしょう。
問題になった各要素を解説
一番の問題は当然最後のきのこ雲なのですが、動画全体を通してそれ以外にも「このきのこ雲が原子爆弾のものである」という発想を裏付ける表現が指摘されています。
一つは、急に巨大化していく男性の体です。この部分が、戦時中にアメリカ軍によって開発され、長崎県に投下された原子爆弾のコードネーム「ファットマン=太った男」を暗示しているのではないかと考えられました。
ネット民がこれら2つをもとに「この映像は何かおかしくないか?」と考えながらもう一度視聴してみると、他にもいくつか引っかかった部分が多いようです。
例えば、はじめに出てきた電池型の寿司がどことなく原子爆弾の形を思い出させるという指摘があります。
全体が真っ黒な海苔で覆われた見た目は確かに関連付けられないこともありませんが、これはどうでしょうか。
もう一つは、男性が急上昇するシーンで、地上を見下ろした景色がアメリカ軍の飛行機が撮影した原爆投下前・投下後の長崎市の航空写真に似ているという指摘です。有名な写真なので、見たことのある方も多いでしょう。
これも少し無理がある気がしますが、このような非常に危険な動画を公開した時点で多くのポイントが非難されるのは当然のことではないでしょうか。
動画左下の但し書きについて
動画左下に、終始以下のような但し書きが表示されています。
All information in this video is only for advertising purpose and Xiaomi makes no warranty herein.
このビデオの全ての情報はあくまで広告目的であり、Xiaomiはここにいかなる保証もいたしません。
これについても「映像の責任逃れである、流石に酷い」と批判があるのですが、これだけは特に悪意のある表現ではないと私は考えています。
日本の広告でもよく「※個人の感想です」や「※効果を保証するものでは有りません」といった表示がよく用いられているように、アニメーションとCGで味付けされた表現に勘違いのないようXiaomiが付けた念押しとして捉える程度で良いと考えています。
一人の米粉としてとても悲しい
ニュースサイトとして本末転倒になりますが、この一件は既にご存知だった方も多いと思います。ここからは、一人の米粉(Xiaomiファンの呼び名)として私が感じたことを少し書くことにしましょう。
2017年にXiaomi幹部の男性が採用説明会で「日本語専攻の方はここから出ていってください」などと発言したことは当時日本でも大きな話題となりました。今でも、日本ではXiaomiに対してネガティブな文脈で引用されることの多いエピソードです。このことから、Xiaomiはしばしば反日企業として取り上げられることもあるのです。
私的な話になりますが、ちょうど今朝私が執筆したRedmi Note 9Sのレビューが公開されました。私は昨年Mi 9を購入してから本当にXiaomiのことが好きで、Redmi Note 9Sも自分でお金を出して手に入れたスマホです。スマホ自体の出来は素晴らしく、レビューを読めば私が大絶賛していることが伝わってくると思います。
私が今回のニュースを知ったのは、ちょうどレビューを書き終えてTwitterを見ていたときでした。ずっとファンだったブランドに急に裏切られたことで、かなりショックを受けました。
今この記事を書いている瞬間では、私のXiaomi熱はかつて無いほどに冷めてしまっています。これが一部の広告担当者の悪ふざけなのか、Xiaomi社の広い部分で目を通していたことなのか、ということも含め、Xiaomiには真摯な説明を求めます。
更新情報が入り次第、こちらの記事も追記していきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いします。
追記:Xiaomi Japanが謝罪文を掲載(5月6日14時)
記事公開前の追記という変な形になってしまいました。
6日14時、Xiaomiの日本現地Twitterアカウントが謝罪文を掲載しました。
弊社、最新製品のプロモーションビデオに関するコメントを掲載します。今後の再発防止に努めます。 pic.twitter.com/ZSXbSZElEi
— Xiaomi Japan (@XiaomiJapan) May 6, 2020
2020年5月6日(水)
この度、弊社の最新製品の海外市場向けプロモーションビデオに配慮に欠ける内容が含まれていた件に付きまして、心よりお詫び申し上げます。このビデオは既に削除しております。
Xiaomiは、世界中のユーザー並びにあらゆる文化を尊重しています。今後、販促物の制作についてはお客様に寄り添うよう一層努め、再発防止に取り組んで参ります。
この度は、ご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ありませんでした。深くお詫び申し上げます。
— 臧智渊Zhiyuan Zang (@zzyln) May 6, 2020
19時半には、Xiaomiで日本を含む東アジア地域のマーケティングを担当する臧智渊氏がXiaomi Japanのツイートに返信する形で謝罪文を発表しています。
Xiaomiグローバルも英語で謝罪
5月8日の早朝4時頃、ついにXiaomiのグローバルアカウントが英語の謝罪文を発表しました。
With deep self-reflection and thorough internal investigation, we’d like to sincerely apologize to those offended in Japan and elsewhere by a recent insensitive video from us. pic.twitter.com/dvcDj6XjHO
— Xiaomi (@Xiaomi) May 7, 2020
Source:削除済み
電池が膨張して爆発するなんて表現をメーカーがすること自体違和感がある