古くからスマートフォンに搭載され、キャッシュレス社会となった今、スマホのスペックの重要な要素の一つとなっているNFC。皆さんはNFCについてどれだけご存知でしょうか?
今回はNFCの規格についてや、よく聞くFeliCaとの違いについて説明していきます。
目次
NFCは無線通信の一種
NFCはNear Field Communicationの略です。日本語にすると「近距離無線通信」となります。
無線通信の一種で、世界で統一化した規格がNFCであり、タッチ式のカードやスマートフォンなどのデバイスに搭載されています。
NFCの規格は大きく分けて3種類
NFCの規格は大きく分けて3種類あります。
- 密着型(ISO/IEC 10536):2mmまで
- 近接型(ISO/IEC 14443):10cmまで
- 近傍型(ISO/IEC 15693):70cmまで
密着型は勝手に読み取られてはまずいようなデータを取り扱います。近接型はICカードやスマートフォンなど我々が手にするような一般的なNFCです。近傍型は物流における商品のタグなど、距離が離れていても読み取れるものに使われています。
今回は近接型について詳しく見ていきます。
近接型NFCも大きく分けて3種類ある
近接型NFCも大きく分けて3種類あります。
- Type-A(MIFARE)
- Type-B
- Type-F(FeliCa)
ここでようやくFeliCaが登場しましたね。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
世界標準のType-A/B
NFC Type-AはオランダのNXP Semiconductors(旧フィリップス)が開発した規格です。また、NFC Type-Bは皆さんおなじみのアメリカのMotorolaが開発した規格です。
NFC Type-AはTaspoカード、NFC Type-Bは免許証、マイナンバーカードなどに使われています。
また、世界的によく使われているのもNFC Type-A/B。Bluetoothヘッドフォンなどに搭載されているタッチで接続できるNFCはもちろん、VisaのVisaタッチ(旧payWave)やMasterCard Contactlessなどのタッチ決済にもNFC Type-A/Bが使われています。海外スマホでNFC搭載と書かれているものは特筆されていなければNFC Type-A/Bであり、NFC Type-F(FeliCa)は非搭載です。
日本初の規格であるType-F(FeliCa)
一方で、NFC Type-F(FeliCa)は我らがSonyが開発した規格です。
最大の特徴はNFC Type-A/Bよりも高速通信が可能であること。理論的に847 kbps以上の通信(NFC Type-A/Bは半分の424kbps)が可能で、タッチより0.1秒以内に検出、相互認証、データの読み書きを終えることが可能です。
日本でハイスペックなType-Fが開発されたのはJR東日本たっての希望からです。慢性的な通勤ラッシュがはびこる首都圏で、人の流れを阻害することなくタッチできる自動改札機を開発する際に、NFC Type-A/Bでは力不足でした。そのため、JR東日本の要望に沿う形で規格が策定されたのがNFC Type-F(FeliCa)です。
Suica、iD、QUICPay、Edyなどの国内の電子マネーなどに採用されています。実際これらのタッチ決済は処理が早く、NFC Type-A/Bを利用した海外のICカードは処理速度においてSuicaに大きく劣ります。
Type-Fにもデメリットあり
「NFC Type-Fで高速通信が可能だったらそれに統一すればいいじゃん」という気もしますが、そうは行きません。
NFC Type-Fはリーダー(改札機、お店の読み取り機など)が高価なのです。一方で、大量生産で機能を絞ったNFC Type-A/Bのリーダー、タグは安価です。また、確かに決済では高速性が大事な場面が多いですが、例えばオフィスの入室キーや、BluetoothやWiFi接続のための認証などに高速性は必要ありません。NFC Type-Fではオーバースペックなシーンも多々あるのです。
NFC Type-Fとおサイフケータイの関係性
おサイフケータイはNTTドコモが開発した、FeliCaチップを搭載し非接触決済が可能な携帯電話のことです。
つまり、おサイフケータイはNFC Type-Fを搭載した携帯電話であり、広義ではおサイフケータイ対応=NFC Type-F(FeliCa)搭載ということになります。
なお、Google PayはAndroidスマートフォンのおサイフケータイ機能のユーザーが使うフロントと言えます。
おサイフケータイにはFeliCaの他にセキュアエレメントが必須
おサイフケータイは、FeliCaだけでなくそれに加えてNFCのセキュアエレメントの搭載が必須です。
セキュアエレメントとは、NFCでデータのやり取りの際に決済関連の機密性の高い情報を格納するチップのことです。セキュアエレメント内のデータはAndroid OSとは異なるOSで完全に独立して運営されています。FeliCaに限らずNFCで非接触決済を行う際にはこのセキュアエレメントが搭載されていなければ利用することはできません。
また、それに加えてSuicaを登録する際には更にJR東日本の改札通過チェックを通らなければいけません。海外スマホでFeliCa対応でもこれらの条件を満たしていないとおサイフケータイ、モバイルSuicaは利用できませんのでご注意ください。
【余談】iPhone 7はAppleがFeliCaに対応した衝撃があった
iPhone 7登場時、モバイルSuicaが使えると話題になりましたが、これはAppleがVisaやMasterCardが推進するNFC Type-A/Bでの決済だけではなく、日本のガラパゴス仕様であるNFC Type-Fも追加されたことになります。
これは日本でのiPhoneのシェアが高く、Appleが日本市場を意識してのことです。国際的にはタッチ決済をNFC Type-A/Bですすめていく中、iPhoneがNFC Type-Fにも対応したことは大きな衝撃だったのです。
なお、Apple PayではクレジットカードをiD、QUICPayとして使う形になり、VisaはVisaの名前が乗らなくなることに難色を示したため、今でもAppleとVisaは対立しており、VisaカードはApple Payで機能を全て利用することができません。また、iPhone 6s以前の日本以外販売されているApple Pay対応機種は、NFC Type-F対応していません。
まとめ:NFC Type-F(Felica)対応かを見極めよう
NFCとは近距離無線通信の世界的統一規格ということでした。
身近なもので言うとType-A/B、Type-F(FeliCa)に2分され、電子マネーなどの決済機能を利用したいのであればType-A/BだけでなくType-F(FeliCa)にも対応したスマートフォンを選ぶ必要があります。
近頃海外のスマートフォンでもFeliCaに対応する機種が増えてきました。スペック表をしっかり見て自分の用途にあったNFC搭載スマホを購入するようにしましょう。
Source : Sony
シェアが取れなきゃいかに便利でも意味ないからね
ISOに通らなかった時点でコンビニやスーパーのレジでは使うべきではなかった
こいつのせいで日本のモバイル市場はボロボロ