トランプ大統領が昨年「中国はアメリカから多くの知的財産を盗んでいる」と述べたのは有名です。オランダの政治家たちも、自分たちの国から技術を盗んでいるのは、中国の国営スパイだと信じていたようです。4月16日にはブルームバーグ誌も中国政府と関係のある企業が、オランダの半導体装置メーカーASMLから技術を盗み出したと報じました。
ところが17日、ASMLから技術を盗んでいた黒幕は中国企業ではなく──「韓国のサムスンではないか」との一部報道が流れました。
ASMLのCEOであるPeter Wennink氏がテレビのインタビューに対して「われわれの韓国最大のお得意様に、スパイ事件の責任がある」と語り、産業スパイの黒幕が韓国企業だと暗に指摘したのです。
ASMLはオランダに本部を置く半導体製造装置メーカーです。サムスンはASMLにとって大口顧客の一つで、サムスンは昨年、ASMLから極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置を購入しています。
※スマホの次世代技術を左右するEUVリソグラフィについては、次の記事を参照してください。
Wennink氏は名指しこそ避けましたが、“韓国最大のお得意様”がサムスンを指していることは明白です。ASMLは外部の調査会社を雇い、結論に達したといいます。
今回の犯行は大手チップメーカーの元従業員によって行われ、盗まれた企業秘密は米国に本拠地を置くXtalに納入されたとされます。Xtalは、ASMLの既存顧客に対しより安価な競合製品を販売する目的で、中国のDongFang JingYuan Electron Limitedによって設立されました。サムスンは2016年に、Xtalの株式の30%を取得しています。
つまり「ASMLから製品を購入してきたサムスンが、出資したXtalを通じてASMLの技術を盗み出し、Xtalから安価に製品を手に入れようとしたのではないか」という疑惑です。サムスンは疑惑を即座に否定し、次のように述べています。
「サムスンは他者の知的財産権を保護し尊重することを最優先事項としています。ASMLに対する不正行為へのサムスンの関与を広く想定している、または示唆しているメディアの報道に、私たちは深く失望しています。それは真実ではありません」
ASMLもまたサムスンの関与を否定し、上記の「サムスンの回答に同意する」と述べています。
事件は、サムスンは産業スパイに関与していないということで決着しそうです。ASMLもまた、最大顧客のサムスンを失いたくはないのでしょう。
Source:gizmochina, reuters, BusinessKorea
中国がスパイ前提で始まる辺りおかしい
殺人鬼が出た地域の住民はみんな殺人鬼扱いか?