この記事では2020年5月発売の新機種 Huawei Y6pを実際に購入した筆者が実機レビューします。Huawei Y6pはグローバル向けとして登場しましたが、日本では発売されていないモデルとなっています。Huawei Y6pにはGMSが搭載されておらず、HMSが代わりに採用されたラインナップの一部です。
一万円台前半で購入ができるエントリーモデルですが、トリプルカメラ搭載である点やHMSが含まれるなど、実機を手に取るまではどんな機種だか想像が難しい機種でした。
目次
Huawei Y6pのスペックをチェック
ディスプレイ | IPS液晶 6.3インチ(720 x 1600/20:9/278ppi) |
サイズ | 159.1 x 74.1 x 9 mm |
重量 | 185g |
チップセット | Helio P22 オクタコア:PowerVR GE8320 |
カメラ | 13 MP, f/1.8(広角) 5 MP, f/2.2 120˚(超広角) 2 MP, f/2.4(深度センサー)8 MP, f/2.0(セルフィーカメラ) |
内蔵メモリ・ストレージ | 4GB・64GB |
バッテリー | 5000mAh(10W充電) |
OS | EMUI 10.1(Android 10 *GMS非搭載) |
WiFi | 802.11 b/g/n |
購入場所、購入金額
マレーシアのクアラルンプールで購入。現地の価格は定価が599リンギット(約15,000円:4GB+64GBモデル)となっています。店頭では599リンギットと言われましたが、「公式インターネット通販の価格に下げろ!」と言ったところ559リンギット約14,000円)で購入ができました。
今回は正規販売店で購入したので、マレーシア国内のHuawei正規保証が一年間付いています。
化粧箱・付属品
化粧箱には大きく機種名がデザインされており、インパクトがあります。
付属品はTPUケースと充電器、Micro USB-USB A充電ケーブル、イヤホンなどが主です。一般的なスマートフォンの付属品内容と変わりません。保護フィルムは貼り付けてありますが、ごく普通のものです。指紋がベトベトに目立つのは不満ですが、おまけなのでガマンする必要があります。
Huaweiのスマートフォンに付属のケースですが、他社のものと比べてややフニャフニャで安っぽい感じが筆者は気になりました。Huawei P20 liteのものは質がすごく高かったのですが、今回はエントリーモデルだからでしょうか。
保護フィルムとカバーのどちらも、本体を長く快適に使いたい場合はもう少し良いものに買い換える必要があると思いました。
本体のデザイン
カラーラインナップはパープルとグリーン、ブラックの三種類です。パープルとグリーンの二色はウェーブ模様が背面パネルにデザインされており、光の当たり具合によって違う見え方をするようになっています。どれも性別・年代を選ばないカラーリングがステキです。
筆者が選んだブラックは無地の背面パネルとなっています。カメラと指紋センサーにHuaweiのロゴと文字が印字されただけの非常にシンプルなデザインです。ダイヤモンドカットやグラデーションデザインなどが多いここ最近のスマートフォンですが、無地の良さにも気づかせてくれます。
この機種の一番の良さはデザインだと筆者では感じました。大人っぽさもあるエレガントなカラーリング、値段を感じさせない本体の質感などが気に入りました。
背面パネルはツヤありプラスチックですが、シンプルなデザインからそれなりの価格のスマートフォンにも見えます。安っぽさは感じませんが、細かいキズは付きやすいです。使用中に触れることが多い指紋センサー部分はツヤなしになっており、指紋が目立たないのはポイントです。
ソフトウェア・アプリ
ソフトウェアは最新版のEMUI 10.1が搭載されています。エントリーモデルのスマートフォンですが、2020年5月発売の新機種であるため最新版のソフトウェアを体験できます。同時に、ソフトウェア自体はGMS(Googleモバイルサービス)非搭載となっており、Huaweiによる独自のHMS(Huaweiモバイルサービス)が採用されています。
EMUIは設定画面がよくできており、ガジェット類に苦手意識を持つユーザーであっても少ない抵抗で操作することができるでしょう。インターフェイスの階層表示が見やすいかつ分かりやすいです。
プリインストール済みのアプリはHuaweiの公式アプリ系を除いて一つもありませんでした。大量のゲームやSNSのアイコンがホーム画面に表示されておりビックリしましたが、それらは全てインストールページへのショートカットであるため簡単に削除できました。
ディスプレイ
Huawei Y6pにはHD+のIPSディスプレイが搭載されています。ディスプレイ部には水滴型ノッチが採用されていますが、ライバルメーカーのものと比べてもかなり小さめとなっているのが特徴です。
加えて、HuaweiのEMUIではノッチを隠すオプションも選択できるようになっているため、ノッチを嫌うユーザーでも気にすることなく使える機種だと感じました。
HD+の解像度は気になりますが、同価格帯の機種にもFHD+のディスプレイを搭載したものはほとんど見られないため触れません。
HMSはどうなのか
2020年8月の段階では、Huaweiは発売する新製品にGoogleのGMSを搭載させることができません。GMSへの代替案としてHuaweiはHMSを発表し、現在は半ば手探り状態で移行を進めています。
これまではフラッグシップモデルのHuawei Mate 30シリーズなどに搭載されてきたHMSですが、エントリーモデルにもGMSではなくHMSが代わりに採用された機種が登場しはじめているのが現状です。
AppGallery
GMSの一部であるGoogle Play Storeですが、Androidスマートフォンのほとんどに搭載されており、アプリのインストール管理機能を持ちます。その代わりとなるのがHuaweiのAppGalleryです。AppGalleryはEMUIのインターフェースの使いやすさがそのままに再現されており、Google Play Storeよりも使いやすいと感じます。なお、AppGalleryの利用にはHuawei IDを作成する必要があります。
AppGallery 対応アプリチェック(20年7月時点) | 〇/X (利用可/不可) |
Spotify | X (利用不可) |
LINE | 〇 |
Dropbox | X |
Evernote | 〇 |
Zoom | 〇 |
AnTuTu v8.4.0 | 〇 |
〇 | |
Skype | X |
△ Facebook公式サイトに誘導され、そこからAPKをダウンロードする | |
Amazon | 〇 (プライムビデオもインストール可能) |
AppGalleryで対応しているアプリのチェックを筆者で簡単に行いました。国の設定をマレーシアにしているため、公平性を考えて日本国内と世界全体で共通してメジャーなアプリのみをチェックしました。
Skype含むMicrosoft系アプリは今後対応予定というニュアンスの説明がありましたが、正式なリリース予定日は発表されていませんでした。「Google系がダメならばMicrosoft系へ」という筆者の考えは一瞬にして否定されました。
結論として、AppGalleryのラインナップはまだまだという印象を受けました。スマートフォンとは、不特定多数の人が様々な使い方をするもの。「必要なアプリがAppGalleryではインストールできない」と困る人が一人でもいてはいけないと筆者は考えます。APKファイルからインストールするというのはユニバーサルな方法ではなく、筆者からすれば論外です。
一方でマレーシアローカルの銀行系アプリやソーシャルアプリはとても充実しているように感じました。マレーシアはHuaweiがMate 30シリーズを投入した国の一つでもあるため、ローカルアプリのラインナップ充実には力を入れています。マレーシア国内でマレーシア人が使うのならば筆者ほど困らないのかもしれません。
カメラ性能
Huawei Y6pの背面カメラはトリプルレンズとなっています。1万円台という価格でトリプルカメラが体験できる機種も増えていますが、それでもこの機種の魅力的な特徴です。トリプルカメラでありながら、ふくらみが全くなく、ケースなしで使用してもガタガタすることはありませんでした。
カメラの構成は13 MP(f/1.8広角)、5 MP(f/2.2超広角)、2 MP(f/2.4)となっています。サンプルショットを掲載します。手持ちのGalaxy A51とで、ところどころカメラパフォーマンスを比べてみます。
サンプルショット
上の二枚はHuawei Y6pと、その二倍の定価であるGalaxy A51で撮影した写真です。Huawei Y6pの写真はGalaxy A51のものと比べると地味な色合いという印象を受けます。カメラスペック的にHuawei Y6pの写真はやや粗さがありますが、比較対象がなければ気にならないでしょう。
低価格エントリースマートフォンの広角機能ですが、ライトユーザーであれば不満なく使えると感じます。ズーム撮影には非対応です。しかし、Huawei Y6pのような価格帯の機種では広角撮影機能がないこともあります。広角撮影ができるのはポイントです。他の撮影シーンでも、少なくとも筆者からは合格点をつけられます。
一方で夜景モードは搭載されていませんでした。写真撮影についての知識が詳しくないユーザーがほとんどだと仮定すると、Huawei Y6pが夜景モード非対応であることはマイナスになります。
ここがイイね! - バランスが取れている
コストパフォーマンスで評価が高いHuaweiの製品だけあり、スペックでは欠点がなく全体的にバランスがとれていると感じました。完成度が高いです。
チップセットはHelio P22というエントリーモデル向けのものですが、それでも通常の使用では大きいストレスを感じることなく使えています。アプリの起動ももたつくことはなく、価格を考えれば良いものだと言えます。ただし内蔵メモリは4GB。同じ価格帯では良い方ですが、やはり足りないと感じることもあります。
デザインにしてもパフォーマンスにしても欠点はなく、1万円台の低価格機種であることを感じません。
ここがダメだね! - GMS非搭載ということ
筆者のようなガジェットマニアを除き、一般のユーザーにはGMSやHMSという単語は一切通じません。「Googleのサービスが100%満足に使えないAndroidスマートフォンである」ということを納得したユーザが、このスマホ受け入るというのは現段階では難しいでしょう。Huawei Y6pのようなエントリーモデルを選ぶユーザーとなれば、なおさらです。
どんなにスペック上では優れていても、GMS非搭載ということはスマートフォンを敢えて選ぶユーザは少ないでしょう。
「しょうがないよね」などの言葉では済ませない問題だと筆者は感じました。今回は自腹で購入しているため、ガッカリの度合いも大きかったです。GMSが搭載されていればコストパフォーマンスの良い機種でした。
HuaweiのHMS搭載のMateシリーズの購入を考えているユーザーは、はじめは低価格のエントリー機種でHMSを体験してから決めるのが良いでしょう。
ここがちょっとダメだね!- とにかくスベる
Huawei Y6pの本体フレームはツヤ消しのプラスチックデザインになっています。背面はツヤありプラスチックパネルなので問題ありませんが、フレーム部分が手に馴染んでくれず、筆者の手からスベり落ちることが何度もありました。
個人差があると思いますが、この問題はカバーを着けることで解決できます。
まとめ - 当たり前が当たり前ではなくなる時
少し重い話になりますが、Huawei Y6pを使用してみて、当たり前が当たり前でなくなることを実感しました。
これまでのHuaweiスマートフォンにはGMSが搭載されていて当たり前だったのかもしれませんが、今回私がレビューした機種はそうではありません。iPhoneの価値はOS(iOS)にあるなんて話がされますが、Androidスマートフォンの価値も少なからずGMSにあるのだと実感しました。GMSをなくしたAndroidスマートフォンは途端にコストパフォーマンスが下がります。
HMSへの感じ方は大きく個人差があるでしょう。興味がある方は低価格の機種を実際に手に取り、本当にご自身で使いこなせるかを確認することをおすすめします。
いま海外にいるのか?
とちょっと思った。