本日2020年2月24日午後10時より、HuaweiがWEB上で新製品発表会を開催します。
telektlistでは私sekkenがYouTubeライブでリアルタイムに視聴しつつ、解説・補足を交えて発表会の様子をまとめていきます。
新型コロナウイルスの流行に伴うMWCの中止で、Huaweiをはじめ多くのメーカーが今季モデルの発表会をライブストリーミングで行っていますよね。今日は16時のXperia発表会に続き、18時にはRealmeの発表会が開催されており、天皇誕生日の振替休日も重なった日本のスマホマニアにとっては最高の一日でした。telektlistではこれら三社の発表会を全てリアルタイムで実況しています。
その最後を締めくくるHuaweiの発表会では、一体どんな驚愕のガジェットが披露されるのでしょうか。
【リアルタイム更新は終了しました】
目次
リチャード・ユーCEO登場。発表会特有の会社自慢から
HuaweiCEOのリチャード・ユー氏が登壇し、発表会特有の会社自慢から始まります。
Huaweiの業績の伸びや、
世界最高レベルの多額の研究開発費をアピールしつつ、ここで昨年のHuawei最大のイノベーション、折りたたみスマホのHuawei Mate Xの成果を紹介しました。
これはもしや...?
新型折りたたみスマホ、Mate Xs発表
Mate Xの紹介から、うまい感じに発表会を展開してくれました。
最初に登場したのは折りたたみスマホのMate Xsです。
Mate Xsのサイズは開いた際には8インチと小さめのタブレット程度で、折りたたむと6.6インチと、少し大きなスマホほどの大きさになります。畳んだ際の厚さは11mmと、少し不安ではあるものの普通にスマホとして手に持ってもそこまでの違和感はなさそうです。
折りたたみスマホ最大の問題であるヒンジ部分の耐久性について、Mate Xsではチタン合金えはなくジルコニウム系の素材を使用することで、「30%も丈夫」な耐久性を確保しました。
当然カメラにも力が入っています。おなじみのライカプロデュースのレンズを搭載し、40MP+8MP+16MP+ToFのクアッドカメラ構成となります。40MPのメインカメラはISO 204800までの超高感度に対応。8MPの望遠カメラは3倍光学ズーム、16MPの超広角カメラは最接2.5cmまでのマクロ撮影も可能です。
Mate Xsのカメラサンプルがこちら。色の表現がとても深くて綺麗です。これらに関してはHuaweiの製品紹介ページでより詳細なサンプルを見たほうがわかりやすいかもしれません。
Mate XsではSoCが進化してKirin 990 5Gに。演算性能の進化は既にMate 30シリーズで明らかになっていますので、詳細な解説は省きます。これにより4500mAhのバッテリーはさらに長持ちするようにもなったということです。
タブレット向けのカスタムEMUI 10も紹介。iPad OSの対抗馬となるか?
タブレット向けOSといえば現状iPad OSに敵うものはないというのが通説ですが、Huaweiは自社製のオリジナルUIであるEMUI 10のタブレット向けのカスタム版を紹介しました。
これは画面の丈夫を引っ張ってとても簡単に画面分割モードへ移行する機能。とてもスムーズにアプリのウィンドウが動き回り、アニメーションも明快でわかりやすいです。
その上からさらに電卓などの小さなアプリを乗せることも容易です。
PCで今まで行っていたような他アプリ間のアイテムのドラッグ&ドロップのような操作もできるようになっています。これは私にとってはなかなか衝撃的でした。
価格は30万円
そんなHuawei Mate Xsの価格は、8+512GBモデルで2499ユーロ(約30万円)。今後「中国だけでなく全世界」で販売される予定だとユー氏は何度も強調しました。
MatePad Pro 5G発表
iPad Proそっくりのハイエンドタブレット、MatePad Proの5G版も登場しました。
iPad Proのような四辺のベゼルが同じ太さで丸角なデザインに目を奪われがちですが、タブレットなのにも関わらずパンチホール式のインカメラが装備されているのも珍しいポイントです。
タブレットのサイズもiPad Pro(10.5)と非常に近い10.8インチとして設計されています。ディスプレイ解像度は2560 x 1600と比較的高画質で、280PPIとなっています。色域も非常に広いDCI-P3相当で、Huaweiは「映画級の色域(Cinematic Color Gamut)」と表現していますね。画面占有率は90%です。広い。
そしてなんとMatePad Proではタブレットとして世界で初めて無線充電に対応。にもかかわらず既に無線で27Wという速度に対応しています。これだけあれば正直もう困らない気がします。40Wの有線充電も非常に高速です。
SoCは「Pro」という名の通りHuawei最高峰のKirin 990 5Gを搭載(5Gモデルの場合)。当然のことと思いがちですが、実はハイエンドSoCを搭載したAndroidタブレットはそこまで多くなく、少ない選択肢が増え一部のユーザーにとってはとても嬉しい製品になります。
アクセサリー紹介。かなりiPad Pro感。
先程から画面に映っていたiPad ProのSmart Keyboard風のアクセサリーが紹介されました。MatePad Pro向けの磁気キーボード「Smart Magnetic Keyboard」は1.3mmのキーストロークで充電は無線のアクセサリーです。名前までそっくりです。この手の磁気キーボードはあまり打ちやすい印象がありませんが、こちらのキーボードはどうなのでしょう。
それからもう一つの気になるアクセサリーと言えば上にくっついているタッチペンですよね。こちらの新型Huawei M-Pen、4096段階の筆圧感知機能がついています。一般的なスタイラスペンが1024段階程度であることを考えるととても細かい精度です。鉛筆を倒して描いた際に線が太くなるような「チルト機能」まで搭載されているというApple Pencilっぷりです。
充電はもちろんApple Pencil風に、本体の上に磁石でくっついて無線で行います。
カラバリと価格。4色展開で5Gモデルは9万5000円から
MatePad Proは四色展開で、ファイバーガラスを施したホワイト・グレーと、レザー風素材を用いたオレンジ・グリーンでそれぞれ別々の外観になっているようです。
MatePad Pro(無印)の価格は一番安い6+128GB Wi-Fiモデルで549ユーロ(約6万5000円)。その他のモデルは以下のようになっています。中国国内では既に発表されていましたが、グローバルでの価格が明らかになるのは初めてです。
- 6+128GB Wi-Fiモデル - 549ユーロ(約6万5000円)
- 8+256GB Wi-Fiモデル - 649ユーロ(約7万7000円円)
- 8+256GB Wi-Fiモデル M-Pen付きレザーカラーエディション - 749ユーロ(約8万円)
- 6+128GB LTEモデル - 599ユーロ(約7万円)
- 8+256GB LTEモデル - 699ユーロ(約8万3000円)
5GモデルはWi-Fiモデルというものが存在しないため、バリエーションは少なめです。価格は以下のようになっています。
- 8+256GB 5Gモデル - 799ユーロ(約9万6000円)
- 8+512GB 5Gモデル - 949ユーロ(約11万4000円)
さすがはハイエンド機種の上位モデル。かなりのお値段です。それでも、iPad Proの上位モデルと比べても多少安めなので、如何にHuaweiが安くできているかがよくわかります。
新型MateBook X Pro発表
HuaweiによるノートPCシリーズのフラッグシップとも言える製品、MateBook X Proにも新モデルが登場しました。といっても変更点は少なく、マイナーチェンジと言ったほうが適切かもしれません。
珍しい3:4比率のタッチディスプレイや、画面占有率91%の超スタイリッシュ設計に変化はないものの、CPUなどが最新のものに進化しました。
Intel Core iシリーズの最新上位CPU、i7 10510Uを搭載した新モデルです。近頃AMD製のCPUと比較して進化に追いつけていないなどと言われることの多いIntelですが、一応性能は上がってきているようですよ。
そして、私が個人的に一番大きな変化かもしれないと考えているのが、新色の追加です。2019年モデルまではスペースグレーとミスティックシルバーのみの二色展開でしたが、今回の新モデルからはエメラルドグリーンの新色が追加されます。(ちなみに、中国版ではゴールドなどのカラーも有りましたが、どちらにせよエメラルドグリーンは初めてです。)
なかなかかっこいいカラーで、購買意欲をそそります。
価格はお高めで18万円から
そんな新型MateBook X Proの価格がこちら。
- i5 16+512GBモデル - 1499ユーロ(約18万円)
- i5 MX250 16+512GBモデル - 1699ユーロ(約20万円)
- i7 MX250 16+512GBモデル - 1999ユーロ(約24万円)
随所にHuaweiの持てる技術を惜しみなく注いだPCだけあって、なかなか高価です。MacBook Pro並の価格になってきています。実際家電量販店などで触ってみると、確かに高品質な端末なんですけどね。
ところで日本ではMateBook X Proは2018年モデル以外が発売されていませんが、もう売るつもりはないのでしょうか。
MateBook Dにも新型が登場
先程のMateBook X Proと比較した際に、いわゆるメインストリームノートPCにあたるMateBook Dシリーズの新型も登場しました。こちらも外観はあまり変わっていません。
AMD Ryzen 7搭載のモデルも。
MateBook X Pro同様、新しくなったIntelの10世代core i7を搭載。
そしてMateBook DではAMDのRyzen 7へのアップグレードモデルも用意されています。より低コストで、AMDが得意とする圧倒的なグラフィック性能を手に入れることができる良いオプションです。
一方こちらはお手頃な7万円台から
新型MateBook D各モデルの価格がこちら。
15インチモデル
- Ryzen 5 8+256GBモデル - 649ユーロ(約7万8000円)
- Ryzen 7 8+512GBモデル - 799ユーロ(約9万6000円)
- i5 8+256GBモデル - 949ユーロ(約11万4000円)
14インチモデル
- Ryzen 5 8+512GBモデル - 699ユーロ(約8万4000円)
- Ryzen 7 8+512GBモデル - 799ユーロ(約9万6000円)
- i5 8+512GBモデル - 949ユーロ(約11万4000円)
Ryzen 7 8+512GBモデルなどに関して、ディスプレイサイズが違っても同じ価格設定なのはなかなか面白いのではないかと思います。i5モデルも価格は同じですが、14インチモデルではディスプレイが小さい代わりにストレージ容量が2倍になっているので、その分が実質割安になっていると考えることができます。
新型Wi-Fiルーター「HUAWEI Wi-Fi AX3」発表&5G CPE
モバイル無線通信技術のトップランナーHuaweiはこの発表会で独自のWi-Fi高速化技術、「Wi-Fi 6+」を発表。
この技術を使えば、Wi-Fi 6の5GHz帯で最大2.4Gbps、2.4GHz帯でも最大600Mbpsの通信速度を引き出すことができるといいます。
そんなWi-Fi 6+を世界ではじめて採用したWi-FiルーターがこのHuawei Wi-Fi AX3です。白いシンプルなデザインでアンテナが大きく四本突き出ています。もちろん通信速度は最高で2.4Gbpsです。
この超高速ルーターの処理を任されるのが、クアッドコアCPUのGigahome 650。チップの詳細な仕様などは不明です。
新しい5G CPEが登場
今回は併せて5G対応CPEのHuawei 5G CPE Pro 2も発表されました。こちらは「世界最速」を謳っています。5Gのモバイル通信とWi-Fi 6+の技術を活用したモバイルWi-Fiのようなもののようです。
これら2つの製品に関しては、残念ながら価格・発売日などは明らかにされていません。
Huawei AppGallery&HMS Core、ついにグローバル発表
Huaweiの自前アプリストア、Huawei AppGalleryがついにグローバル発表されました。もとからGoogle Playストアが使えない中国国内ではHuaweiを始め各社が自前のアプリストアを用意していますが、これらがグローバル市場でも展開されるのは珍しいことです。
Huawei AppGalleryは既に世界170カ国で利用可能で、4億人以上の月間アクティブユーザーを抱える世界第三位のアプリストアにまで上り詰めたようです。現在グローバルで展開されているアプリストアはほぼGoogle PlayストアとAppleのAppStore、そしてHuawei AppGalleryの3つだけなので当然ですがね...
世界の各地域でピンポイントに人気のアプリもしっかりと入手できるようになっています。例えばポータルサイトのYandexは、ロシア国内では圧倒的シェアを誇りますがそれ以外の国ではイマイチです。AppGalleryにはそんなYandexのアプリも用意されています(上画像の"Europe"を参照)。Huaweiは開発者を呼び込むため、ここ最近は物凄い額の投資と提携を行っていますよね。
Huaweiの開発キット、HMS Core
同時に紹介されたHMS Coreの概要がこちら。HMS Coreは、GoogleやAppleが自社のアプリストアと併せて提供してきたものの代わりにHuaweiが開発した開発者向けのAPIツールキットのようなもの。Androidでいうところの「Google Play開発者サービス」というと馴染み深いかもしれません。サードパーティ製アプリがGoogleの機能を十分に活用するためにはこのサービスが欠かせません。
そのHMS Coreの新バージョン、4.0が発表されました。日本に住む私達にとっては急に新バージョンと言われても、という感じですが、中国国内では以前から展開されてきたのでしょう。
Huawei製の強力なカメラ機能・AI技術を利用可能
プレゼン画像でもカメラキットやマップキットなど、様々なアプリ開発キットが紹介されていて、今回の発表会では主にカメラキットや機械学習キットなどいくつかに絞り重点的な解説が行われました。
例えばHMS Coreのカメラキットを使えば、Huaweiのスマホに搭載されているカメラの性能を存分に引き出して活用することができます。マクロ撮影や暗所撮影、ウルトラスローモーションなどの機能をサードパーティ製アプリでも利用できれば、なにか新たなメディア体験も実現されるかもしれません。
機械学習キットをつかった顔認識システムでは、なかなか難しかった3D顔認識もサポート。処理も高速で、7通りの表情を読み取ることもできるようです。
ユーCEOは、Huawei AppGalleryとHMS Coreが、消費者に新たな選択肢をもたらすと述べました。
最後に、Huaweiのプライバシー面やセキュリティ面の安全性をアピール。
おそらく、今一般の人が「Huawei」と聞いて思い浮かべるイメージは、アメリカが昨年からずっと「とても危険」だとか「セキュリティ上の問題がある」と忠告している中国メーカーの像。真偽がどうであれ、Huaweiにとってこのようなイメージの悪化はとても都合が悪いです。
ユーCEOは発表会の締めに、自社の製品の安全性をひたすらアピールしていました。
まずは基本的な性能として、ISOでも定められたコンピューターセキュリティの国際標準、CC EAL 5+級の認証を取得していることを紹介。生体データ、決済データ、暗号化情報、パスワード情報などが強固に守られているといいます。
クラウド上の情報もしっかり暗号化して他所からはアクセスできませんし、
最近流行りの「広告業者による個人情報収集のブロック機能」も搭載しています。
世界4ヶ所(中国・アジア太平洋・ロシア・ヨーロッパ)のデータセンターもそれぞれが物理的に隔離されていて、外へ持ち出すことはほぼ不可能。当然、EU一般データ保護規則や各地の法令も遵守します。
世界の名のあるセキュリティ企業と提携し、数々の国際的なセキュリティ・プライバシーの基準を満たしているとしています。
とは言っても、人々が不安視しているのは情報の流出などではなくHuawei自身の情報の扱い方なのでしょうね。まだまだ、Huaweiがグローバル市場で完全復活するまでの道のりは長そうです。
P40シリーズの発表はなし。3月26日@パリで予定!
今回、残念ながら新フラッグシップであるHuawei P40シリーズの発表はありませんでした。ただし、発表会が3月26日にパリで予定されていることがここで明らかにされました。
半年前のMate 30シリーズの発表以降、Huaweiを取り巻く情勢も変化してきており、グローバル展開やHMS周り、アメリカとの関係なども新しくなっていることでしょう。もちろん、Pシリーズ一番の推しであるカメラ性能の進化も気になるところです。
今後もtelektlistではHuawei関連情報を発信し続ける予定です。お楽しみに!
タブレットがiPad Pro意識しすぎててワロタ。