カスタムOSシリーズの第四弾として、vivoによるFuntouch OSをこの記事では取り上げます。vivoが日本で製品を販売していないことから、あまり知名度のないFuntouch OSですが、OPPOのColor OSに似ていると考えるとイメージがしやすいでしょう。ただし、Color OSやOne UIと比べると、ややダメな点もあるという印象を受けるユーザーが多いでしょう。
※この記事では最新のFuntouch OS(Funtouch OS_10.5)をもとにした解説のため、過去のバージョンとは異なる部分があります。vivo X50 Pro(中国版)を使用したため、グローバル版ROMやiQOO UIとは細かい部分が異なる場合があります。
目次
Funtouch OS - 筆者のプチ考察
筆者がFuntouch OSに触れた機会はほとんどなく、数年前にvivo V7で少し体験した程度です。当時はFuntouch OSについての評判は世界的に見ても悪く、「カスタムOSで最も完成度が低い」など言われることもありました。しかし、vivo X50 Proで最新のFuntouch OSに触れてみると、Color OSに近い洗練されたUIや使用感があり、他のカスタムOSと完成度で大きく差はなくなっていると感じました。
ホーム画面
なお、一部時期に発売されたグローバル版のモデルでは、このホーム画面がピュアAndroidにかなり寄せられたものとなっています。ただし日本でvivo機のグローバル版を入手することは簡単ではないため、多くのユーザーがこの画像のホーム画面に触れることになるでしょう。
ロック画面
ロック画面は標準設定で右上に日付と時刻が表示されるデザインとなっています。
OPPOのColor OSやrealme UIと同じく、本体を72時間以上連続して使用しなかった場合に顔・指紋認証ではなくパスコードを入力するように求められます。ただし、バグによって突然この要求がされるのには不便を感じました。
デザイン性が高い壁紙も標準で搭載
標準で搭載されている壁紙は種類が多く、どれもデザイン性が高いことが特徴です。種類が多いことから、いろいろなデザインを気分によって楽しめるのがポイントです。
インディスプレイ指紋センサーのアニメーションは8種類から選べる・アイコンも4種類あり
これはインディスプレイ指紋センサーを搭載した機種のみの特徴ですが、ロック解除のアニメーションは8種類から選べるようになっています。これはColor OSやrealme UIなどよりも多く、カスタマイズ性として評価できます。NEXシリーズが登場した頃から充実していました。
指紋のアイコンも4種類存在し、好みによって変更ができます。SF風なものから、シンプルなデザインまで選ぶことが可能です。
これだけでなく、USBを接続した時や純正の充電器でFlashChargeをする時、顔認証のアニメーションなども細かくカスタマイズができるようになっています。ガジェットが好きなユーザーにはこのカスタマイズは楽しい時間になるでしょう。
設定画面・標準アプリ
設定画面
設定画面ですが、まず一番上にはvivoアカウントの項目が配置されています。「WLAN」、つまりネットワーク系の設定項目も目立つ位置ですが、「WLAN」という項目名は一部のユーザーにとって分かりにくいと感じます。
通知バー周り
通知バー周りはカスタマイズ性も高く動きも良いです。パネルのアイコンもタッチしやすく、明るさの調整バーの操作感も悪くありません。ただ、長いメッセージの通知などはその一部しか表示されず、通知バーから拡大表示もできません。
左上に日付が表示されますが、日本語設定の状態だと「曜日・年月日」という変な順番になってしまいます(例:月 2020年12月29日)。右上には設定へのショートカットアイコンとAIアシスタントのJoviのアイコンが配置されています。Joviのアイコンは間違えてタッチするような位置ではないので、大きくは気になりません。
バッテリーのアイコンは残量数字をバッテリーアイコンの外・バッテリーアイコンの中・バッテリーアイコンのみの三種類のパターンから選べます。通知バーの真ん中に時計が配置されているのはFuntouch OSの昔からのユニークな点ですが、最近はパンチホールを真ん中に搭載した機種もあるため、機種によって位置は変わります。
通知が来ないというトラブルはありませんでした。アプリキルをしても、メッセージをきちんと受信し、すぐに通知が表示されます。
純正IMEはなし - 中国大手の百度のIMEが標準設定
中国版の場合、標準設定のIMEは中国大手の百度によるIMEとなっていました。つまりvivoの純正IMEは存在していません。百度のIMEは日本語に非対応だったため、Google日本語入力などのIMEを別に設定する必要があります。IME設定も設定アプリから探しにくいのが気になりました。
標準アプリ例 写真アプリ
写真アプリのクオリティでそのカスタムOSの完成度が分かると筆者は考えていますが、Funtouch OSの写真アプリは良くも悪くもない仕上がりでした。
写真アプリ内で新しいアルバムを作成すると、本体ストレージ上に新しいフォルダが作られ、アプリ上で写真の管理が可能です。また、ここはColor OSと異なり使いやすいポイントです。
ただ、クラウド系は弱く、vivoアカウント内のvivoCloudというクラウドストレージにしか写真アプリからの自動同期は対応していません。また、vivoCloudをオフにしているとアプリの上部に「写真の自動同期が無効にされています。同期を有効化」というメッセージが常に表示されることになるので、多くのユーザーが気になるでしょう。
カスタマイズ性はかなり低く、アルバムの表示方法やサムネイル画像、写真の表示数や配置の変更などはできません。写真の表示を除いて、横画面での使用は対応していません。
vivoアカウントは必ず作成することになる
Funtouch OSで最もユーザーが困るであろう点は、vivoアカウントの存在です。初期設定(セットアップ)ではアカウントを作る必要はないですが、vivoのスマートフォンを使いこみたい場合には必須です。APKファイルからアプリをインストールする時には、vivoアカウントでログインをしていなくてはいけません。
アカウントの作成方法の解説は省略しますが、日本の電話番号でも登録ができるようになっています(未検証)。
vivoアカウントは中国版とグローバル版の両方で同じアカウントを使えるようになっています。
英語と日本語、中国語が混ざった「マルチリンガルOS」がユーザーを泣かす
vivoは日本向けに製品を発売したことがないため、Funtouch OSは日本語をフルサポートしていません。これは日本のユーザーがvivoやiQOOのスマホを使う上で一番心配になる部分でしょう。
Funtouch OSは日本語設定に対応していますが、やはりその他カスタムOSの日本語と比べればその不自然さに誰もが気づくでしょう。ただ、設定やシステム関連などはほとんどが日本語表示になります。
一部の標準アプリでは中国語表記のままになっているケースもあります。中国版は日本語の中に中国語と英語、不自然なカタカナが入り混じることを受け入れる必要があるでしょう。
日本語設定にした中国版のvivoスマートフォンをプライベートで使いたいとは思いませんでした(個人の感想です)。
日本向けに発売されていない製品なので、日本語に完全対応していない点はやむを得ないと思います。
バッテリー関連
バッテリーの持ちは全く悪くありません。バックグラウンドでFuntouch OSが悪さをしていることも経験していません。システムランチャーやシステムUIなどのバッテリー持ちへの影響は大きくありません。
バッテリー周りには、通常モード・節電モード・スーパー節電モードの三つのモードから設定を選ぶことができます。節電モードはCPUのクロックスピードを下げて画面の明るさを低くするなどの調整を自動で行います。スーパー節電モードは、電話とSMS、連絡先、時計の四つのアプリのみしか使えなくなるという緊急時のための機能となっています。
カメラ関連
標準カメラアプリでおもしろいのが、レンズの切り替えが一般的なカメラアプリとは違っている点です。多くの場合はスライダーを横に動かすことで、通常・広角・高画素・マクロなどのレンズ切り替えをします。Funtouch OSでは、小さなボタンを押すことで好きなレンズを選ぶスタイルになっています。慣れれば使いにくいということは全くありませんでした。
MIUIと同じく、ウォーターマークは標準でオンとなっています。筆者もこのウォーターマークをオフにするために設定を念入りに確認しましたが、オフへの仕方が分かりませんでした。Androidスマートフォンの操作に慣れている筆者ができなかったことを、一般ユーザーが簡単にできるとは思いません。MIUIよりもひどいと感じました。
OriginOSの登場でFuntouch OSからお別れか
vivoですが、中国国内で発売する新型スマホには今後Funtouch OSではなくOriginOSを採用する動きを見せています。グローバル版ではまだ最新機種であってもFuntouch OSが搭載されていますが、この先OriginOSに替えられることになるでしょう。新しく登場したOriginOSのクオリティは高いと期待されており、詳しい情報が待たれます。
VivoってOriginOSに変わったんじゃ?