Xiaomiのスマートフォンに採用されているAndroidをベースとしたカスタムOSのMIUI。Pixelスマートフォンなどに搭載される、GoogleによるピュアAndroidと比べて違う点も多いこのMIUIを記事内で徹底解説していきます。
iPhoneとは違いAndroidスマートフォンではメーカーと機種によってOSの使い心地や見た目が大きく違っています。スマートフォンの購入時には、スペックだけでなくOSとの相性も考える必要があります。この記事を通して、Xiaomi系スマートフォンを購入する前でもざっくりとMIUIのイメージを掴むことができます。
※この記事では最新のMIUI 12(MIUI 12.0.2)をもとにした解説のため、過去のバージョンとは異なる部分があります。POCO系のMIUIをもとにしているため、ピュアMIUIとは細かい部分が異なる場合があります。
目次
ホーム画面
アイコンはフラットでモダンなデザイン
アイコンデザインは機種やユーザーの選択したMIUIテーマによって違います。MIUIテーマはクラッシック(標準)とリミットレスの二種類が初期状態では選べるようになっていますが、これはどのタイミングでも設定から変更ができます。
MIUIの良さは、アイコンデザインが常に一貫していることになるでしょう。悪く言えば真新しさがないですが、ユーザーにとってはアップデートを繰り返しても慣れ親しんだデザインに触っていられるという良さがあります。
カスタマイズ性の高いホーム画面
ホーム画面の細かいカスタマイズは、設定の「ホーム画面」からできるようになっています。ランチャーの選択やページ毎のアプリ表示レイアウトがここから可能です。
アプリのアイコンに表示される通知バッジですが、これは数字(通知件数)か円(通知件数の表示はない丸形バッジ)の二種類のオプションから選択ができます。
レイアウトをロックしてアプリの誤削除を防ぐ
MIUIの独自機能として注目すべきは、ホーム画面設定の「ホーム画面のレイアウトをロック」というものです。この項目を有効にしている場合、ホーム画面上のアプリを長押しして位置を変更することも、アプリをアンインストールすることもできなくなります。
寝ぼけたり酔っ払って大事なアプリをうっかりとアンインストールしてしまう「あるある」や、こだわっているアプリのレイアウトがごちゃごちゃになる等のトラブルを防ぐことができます。このトラブルはアイコンサイズが大きいiOSで良くあるものですが、この機能は他社も採用すべきでしょう。
ドロワー表示はオン/オフが可能
このドロワーは設定からオフにすることも可能です。
Google PlayストアからPOCO LauncherというPOCO系向けのランチャーをインストールすることで、MIUI標準とは違うカスタマイズもできます。POCO Launcherではドロワー内のアプリをアイコン色で分けて表示させるなどの機能も利用できます。
スイッチャーは完全に異なるスタイルが特徴(注意)
タスクスイッチャー・アプリスイッチャーなどの呼ばれ方をする、アプリの切り替えや一覧表示ができるこの画面。カスタムOSであるOppoのColor OSやGalaxyのOne UI、HuaweiのEMUIなど、多くではピュアAndroidと変わらない横にスライドさせるスタイルを採用しています。最新のMIUIではアプリを縦かつ二列に並べて表示するスタイルであることが特徴です。これはMIUIでしか見られない珍しいスタイルで、最初は慣れるのに時間がかかるでしょう。
縦二列表示のため、最上段の左側にあるアプリには親指では操作がややしずらいです(右利きの場合)。ただ、一つのページに最大四つのアプリを表示できるため使い方によっては便利です。
左上には「画面分割」用のボタンが配置されています。Androidスマートフォンの人気機能である画面分割がここまで分かりやすくなっているのはMIUIだけだと言えます。加えて、クリーナーやセキュリティスキャンなどのボタンも配置されており、スマートフォンの扱いに慣れていないユーザーにはとてもフレンドリーな作りです。
設定画面・標準アプリ
設定画面
設定画面はColor OSやEMUIとでとても似ています。ただし、二つとは異なりWiFiなどの通信系項目よりも前に(上に)「デバイス情報」と「システムアプリアップデーター」、「セキュリティ状況」の三つの項目が配置されているのはとても評価できます。これは旧バージョンのMIUIから変わっていません。特にデバイス情報は設定画面でも開くシーンが多いかつ見つけにくい場合があるため、このように分かりやすい位置にあるのは嬉しいポイントでしょう。
通知バー周り
ボタンのサイズは小さくも大きくもありません。ボタンの上部にある時計はフォントもエレガントで大きく見やすいです。ボタンの並び順序は変更できますが、一ページに表示する数(グリッド数)は変更できないようになっていました。EMUI 11とそっくりのため、Huaweiユーザーは違和感なく使えるでしょう。
通知をホーム画面から確認したい場合は、画面のどこをスワイプダウンしても呼び出しが可能となっています。Xiaomiの機種は本体サイズが大きいものが多いため、片手でも通知バーにアクセスしやすいのはポイントです。
なお、通知を消す場合はその通知を左から右へスワイプしなくてはいけません(=右から左のスワイプでは通知を消せない)。右から左へのスワイプだとスヌーズと通知個別設定のボタンが見える仕様で、慣れないと非常に使いにくいでしょう。通常のAndroidのように操作していると、通知が消せないという事態が起きるので注意が必要です。
通知系の設定がとてもシンプルで分かりやすい
通知だけでも、ロック画面に表示される時の設定、フローティングでの設定、そして通知バッチの設定と三つに分類がされており、非常に分かりやすいです。
Androidスマートフォンはカスタマイズが細かくできる分、一般ユーザーには扱いが難しいというイメージが持たれています。しかし、MIUIは各設定項目のサイズのコントラストによって、誰にでも分かりやすいインターフェイスに仕上がっていると感じます。
標準アプリ例1 写真アプリ
標準アプリの一つ目として取り上げるのは写真アプリ(ギャラリー)です。アプリを立ち上げた時には写真とアルバムの二つのスタイルで写真や動画を分類して確認することが可能です。このスタイルはOppoのColor OSと全く同じです。Color OSと違い、MIUIではグリッドの大きさ(写真アイコンの大きさ)をピンチアップ・アウトで変更できるようになっているのがポイントです。
- アルバム一覧のページでは、リストビューとグリッドビューで表示の切り替えができる。横画面表示にも対応しており、使い勝手は良い。
- 写真アプリからの自動同期にも対応しているが、これはXiaomi Cloudのみ利用できる。
- アルバムを隠すこともできるので、いろいろな使い方ができそう。
- 削除した写真・動画などは一度ゴミ箱へ移動される。ゴミ箱には30日間までは自動保存されるようになっている。
標準アプリ例2 天気アプリ
天気アプリは必要な情報だけが一目で確認できるようになっています。これはこれまでのMIUIから変わっていません。ただ、気温の表示はフォントサイズも大きくなり、配置も真ん中に変更されています。スワイプダウンすることで降水確率などの詳しい情報にも到達できます。
気温と天気(記号)だけが知りたいようなユーザーも多い中、ここまでシンプルなのは気に入りました。
広告は気になる人もいるだろう
MIUIの最大のマイナスポイントは広告と言えるでしょう。
Google Playストアからアプリをインストールした際、自動でセキュリティスキャンが行われますが、同時に広告の表示も毎回されます。そのほか、テーマストアやミュージックアプリ、セキュリティスキャンアプリ、クリーナーアプリなどXiaomi系のアプリで広告が表示される仕組みです。アダルト系広告は確認できませんが、広告のサイズは大きい場合もあり、全画面表示型も存在します。
MIUIの広告をどう捉えるかは個人によって異なってくるでしょう。Xiaomiスマートフォンの使用の前に広告関係のプライバシーポリシーを確認するなどの対策はできます。
ビジュアルで見る本体データ
ストレージの内訳やバッテリー使用料をグラフで確認できるなど、本体データを分かりやすくまとめられているのがMIUIです。各データのアニメーションも凝っており、完成度がとても高いと感じます。
特にストレージの内訳を見せる積み上げ棒グラフはギークなユーザーにとっては好奇心をくすぐる見栄えです。
セキュリティ機能
「パスワードとセキュリティ」では、ユーザーが設定したロック解除の認証方法を一目で確認できるようになっています。「プライバシー」の項目からも本体のセキュリティ状況が分かりやすく表示されています。
また、「プライバシー保護」では、アプリによる位置情報や連絡先、ストレージへのアクセスなどの状態を一度でつかめるようになっています。どのアプリが本体のどんな情報にアクセスしているのかが分かり、ユーザーは本体のセキュリティを管理することができます。
クリーナー機能、セキュリティスキャン機能の両方がスイッチャー部分からアクセスできるようになっています。これにより、ユーザーが誤って危険なクリーナーアプリやセキュリティアプリをGoogle Playストアなどからインストールしてしまうリスクが減らせます。ユーザーがこの二つの機能に気づかずに、別途アプリをインストールすることは稀だと予想されます。
また、これは本体のセキュリティというよりユーザーの身のセキュリティになりますが、緊急SOSという機能は安心感があります。電源ボタンを5回素早く押した時に位置情報とSOSテキストメッセージを登録した緊急連絡先に送信ができます。
バッテリー関連
バッテリー関連では、バッテリーの持ちを良くするための「バッテリーセーバー」や「ウルトラバッテリーセーバー」などの機能が利用できます。また、過剰に電力を消費しているアプリをスキャンで特定したり、電力を節約するための設定調整をさせることも可能です。
また、デバイスをロックした後、指定した時間の経過後にモバイルデータをオフにするなどの細かい設定もできるようになっています。
コントロールバーにあるバッテリーアイコンは、設定画面の「ディスプレイ」ー「コントロールセンターと通知シェード」から変更ができ、三種類のアイコンから選べるようになっています。標準のアイコンに加えて、iOS(一部機種)のようなバッテリー残量のないシンプルなアイコンや、バッテリー残量の文字が大きくて見やすいアイコンも選択できます。
カメラ関連
倍率の切り替えやモードの切り替えもシンプルで分かりやすくなっています。このスライダー部分に表示する項目はユーザーで編集することが可能で、夜景モードやパノラマモードなど、よく使うモードを追加するなどの使い方ができます。
ただし、48MPや64MPなどの高解像度モードは「もっと見る」からアイコンをタップする必要があるので、この機能に気づけずにいるユーザーも存在すると予想できます(標準設定の場合)。フィルターを使うためのボタンやGoogle Lensへ簡単にアクセスできるボタンもあり便利です。
MIUIのカメラ関連で筆者が問題に挙げたいのはウォーターマークです。ウォーターマークは画像のような「この写真はRedmi Note 8という機種で撮影しました」というクレジットのようなものです。
Xiaomiはこのウォーターマークを標準でオンにさせている唯一とも言えるメーカーですが、これは標準でオフにされているべきでしょう。ユーザーが設定からオフにすることも、マークを撮影後に取り除くことも可能ですが、「ウォーターマークの消し方が分からずにずっとオンのまま」というXiaomiユーザーを筆者は多く見てきました。
業界でもOPPOやHuaweiなどに並んでトップレベルの人気を誇るXiaomi。そんなXiaomiのスマートフォンに搭載されるMIUIはユーザーの使いやすさを考えた様々なカスタマイズや機能が加えられています。辛口になってしまった部分もありますが、MIUIがどんなものか読者のみなさんに伝わる記事となっていればうれしいです。
アプリ履歴画面や3ナビゲーションボタンの各種カスタマイズといった独自機能もめっちゃ好き