人々の生活に深く根付いているデジタルデバイスとして代表的なスマホとパソコン、そしてタブレット。近年ではスマホの大型化により、「スマホ以上パソコン未満」の中途半端なデバイスとして揶揄されることもあるでしょう。一方で、ライフスタイルの変化や各社のタブレットの高性能化によってパソコンの代替になるという考えも広がり、人気を再び集めているのも事実です。日本のみならず世界的にiPadがAndroidタブレットを上回る優勢が続きますが、この構図が今後変わる可能性があるのかこの記事で分析をしています。
目次
タブレット市場の概況
2021年現在、一般に国内のタブレット市場にはiPadとAndroidタブレット(GMSあり)、Androidタブレット(Huawei製:GMSなし)、Kindle、、Windowsタブレット、Chrome OSタブレットの六つのカテゴリが存在しています。Huaweiによるタブレットは世界的に人気を集めていましたが、米制裁の影響でGMSの搭載が不可能になります。しかし、それでもHuawei製のAndroidタブレットという新たなカテゴリを認知させるほど新製品開発およびマーケティングに力を入れているのが現状です。
2020年度通期 タブレット端末メーカー別出荷台数・シェア
2020年度の国内タブレット市場では、AppleによるiPadがシェアの半分を占めるという結果になりました。残る半分もNECや富士通などの製品が好調となっています。
2020年度通期 タブレット端末OS別出荷台数・シェア
OS別のデータでは、1152万台という昨年の出荷台数のうち約25%がWindowsタブレットとなっていました。OS別ではAndroidタブレットが国内では最も人気が無いと言って間違いなく、各社が苦戦していることがうかがえます。Windowsタブレットには法人向けの製品も多く含まれている事実を踏まえると、多くの一般消費者はiPadを選んでいるという現状があると予想できます。
出典:MM総研
2021年のマーケットトレンド
Xiaomiがタブレットの製造販売を再開
Xiaomiといえばスマホの印象が強いですが、過去にはタブレットの販売をしていた時期もありました。2021年には新作タブレットが登場することはないとも噂されましたが、その裏腹にXiaomi Pad 5シリーズが9月に正式発表されています。
同シリーズは中国国内のみならずグローバル向けにも展開が始まっており、そのコストパフォーマンスからiPadへの競走馬として期待がされています。Huaweiがタブレットカテゴリで衰退した今、Xiaomi Pad 5シリーズとサムスンのGalaxy Tab S7シリーズがラストホープとなっています。
Galaxy Tab S8シリーズの発売が延期
現行のGalaxy Tab S7シリーズの後継であるGalaxy Tab S8シリーズですが、リーク情報が多く出回っていながらその正式発表はまだ見込みがないという状況が続きます。これには世界的な半導体不足が影響しているとされています。
結果としてGalaxy Tab S7シリーズの相場が影響され、中古品の価格も上がっているほか、iPadに乗り換えることを選ぶユーザーも出るなどしています。
Androidタブが直面する低価格化への圧力 - iPadの方がもはや安い?
Androidタブレットはかつて「iPadに代わる低予算で手に入るオプション」という印象を強くしていました。よって、iPhoneとAndroidタブレットを使い分けるユーザーが多かったのも事実です。一方で、近年のAppleはiPadのエントリーモデルの展開にかなり力を入れる傾向があり、10.2インチiPadは税込み39,800円(サンキュッパ)という価格からスタートしています。さらに、この価格に長期間のソフトウェアサポートや国内修理の利便性、アクセサリの豊富さ、リセールバリューの高さなどのAndroidタブレットにない見えない魅力が含まれています。
比較として、Huaweiの新製品であるMatePad 10.4はAmazon.co.jpにて29,000円(ペンの付属はなし)で販売されています。この製品はベゼルの薄さやKirin 820、スピーカーなどの魅力がありますが、GMSが搭載されていない点が課題です。NECからもLAVIE Table Eが販売されていますが、こちらは同サイトで29,118円となっています。同製品はAndroid 9のほかHelio P22Tの搭載、メモリとストレージは3GBと32GBと、必要最低限なスペックが備わっているのみです。
少なくとも日本のタブレット市場ではこのようなAndroidタブレットが乱立しています。これではiPadを選ぶ消費者が多くなるのも不思議ではないでしょう。
※価格はすべてAmazon.co.jp販売元による出品価格を参考
アクセサリの少なさがユーザーを泣かせるAndroidタブ
Androidタブレットの共通の問題として、アクセサリの少なさがあります。アクセサリはメーカー純正品とサードパーティー製の二種から選ぶことになりますが、純正品は値段が高くサードパーティー製は品揃えが少なくクオリティも低いという課題があります。
一つの製品の需要が低ければ、アクセサリを製造する業者も国内でアクセサリを輸入販売しようとする業者も少なくなります。一方でiPadはマーケット規模が大きいため、ユーザーはそのメリットをアクセサリの種類の豊富さと安さの両方で預かることができます。この好循環がiPadが人気を伸ばす理由であり、Androidタブレットを忌避するユーザーが増えることにつながると筆者は考えます。
iPadは動画視聴に向いている点も人気だ - DRMの問題
ここ近年で大きく拡大したNetflixやAmazonプライムビデオを楽しむためにタブレットを購入するユーザーは多いでしょう。しかし、DRMのセキュリティレベルの認証により、各種動画サービスでHDストリーミングでの視聴が可能かが決まります。価格が安いAndroidタブレットではこのセキュリティレベルが低い、もしくは認証がないために高画質で動画を楽しめないケースがあります。iPadではこのDRMの問題はなく、どのデバイスであっても制限されることがありません。これがAndroidタブレットのシェアを奪っている理由とも言えるでしょう。
大手メーカーのAndroidタブレットであればこのDRMの問題に悩まされる可能性は低いですが、海外通販などを通して購入する無名メーカーの製品はリスクがあるでしょう。
Androidタブレットは今後iPadにシェアを奪われていくだろう
かつてはGoogleのNexusシリーズのタブレットが世界的にヒットを見せたこともあったAndroidタブレットというカテゴリ。一時期はHuaweiがシェアを獲得したこともありましたが、それも米制裁の影響によりGalaxy Tabが巻き返しを見せるのが現状です。しかし、カテゴリ全体で見てもiPadの勢いには負けていると言わざるを得ないでしょう。Appleとのタブレット価格競争を上手く生き延びることができなければ特に日本市場においてはAndroidタブレットに勝機はないと筆者は考えます。
そもそも現時点で半分もシェアがあったに驚く
周囲見てもスマホは結構バラバラだけど、タブレットはiPadて人が大半だからなあ