Googleは24日、同社が2016年ごろから開発を進めていた新しいOS「Fuchsia OS」を一般ユーザー向けに正式にリリースしました。海外メディア9to5Googleが同日Googleに対して行った取材を受けて発表し、GoogleのスマートディスプレイであるNest Hub(第一世代)のアップデートにより既存のCast OSが新しいFuchsia OSに置き換わることを明らかにしました。
AndroidでもChromeOSでも、Linuxですらない独自のFuchsia OS
Fuchsia OSは、Googleが2016年に突如そのレポジトリをGitHub上で公開したことから存在が明らかになった新しいOSの名称です。その後Googleは何度かメディアの取材に回答しながら開発を継続し、長期的にはAndroidに加えPCやスマートデバイスなどを含む多くのデバイスのOSをFuchsiaで置き換えることを目指していると言われてきました。
最近では2019年、開発者向けにFuchsiaの公式サイトがオープンしたことで話題になりました。
Fuchsiaのその商業的な立場もさることながら、一番の特徴はZirconというマイクロカーネルが基盤になっているということ。カーネルというのは、ソフトウェアとしてそれぞれのOSの最も基礎的な部分を担うもので、OSの上で動作するウェブブラウザからGUIなどを含めたアプリケーションと、コンピュータに取り付けられたCPUやメモリとの間を取り持つ働きをします。
Googleは自社の製品のOSにかの有名なLinuxカーネルを愛用しており、Android OS / Chrome OSなどはどれもLinuxカーネルを使用したGoogle独自のシステムです。更に、1969年のAT&Tベル研究所に端を発するUNIXはその派生・互換を含め非常に多くのOSを世に送り出し、LinuxをはじめAppleのmacOS(とiOS / WatchOSなど)やNintendo Switch、PlayStationなどのゲーム機のシステムソフトウェアもUNIXの系譜にあります。Fuchsiaは非Linuxという体で開発されており、採用するZirconカーネルの仕様はあまり明らかになっていませんが、その一部ではUNIX由来のシステムが確認されており、一部で既存のカーネルなどからのソースコードを使用している可能性は十分にあります。
NetHub第一世代へ配信開始するも、まだまだ試験的
今回はじめて一般ユーザー向けに配信されるFuchsia OSですが、それもまだNestHub第一世代のみ、さらに対象ユーザーもNestプレビュープログラム(誰でも登録可能)に登録しているユーザーのみと非常に小規模です。
アップデートによりOSがCastOSからFuchsiaへとまるごと入れ替わるのにも関わらず、ユーザーエクスペリエンスはほとんど変わらないとのこと。これはFuchsiaのGUIがGoogleのクロスプラットフォームアプリケーションフレームワークであるFlutterを使用しているためで、はじめにFlutterを用いてアプリを開発すれば、全く同じ動作がWindowsやAndroid、そしてFuchsiaで一貫して動作させることが可能になっているのです。
とはいえ「プレビュー」とある通りNestHubへのFuchsiaOS提供もまだまだ試験的。FuchsiaがAndroidやChromeOSと並び、そしてそれらのポジションを丸ごと置き換えるようなGoogle製OSの代表格として君臨するようになるのには、今後何年もの時間がかかることでしょう。
Source:9to5Google Via:AndroidCentral,ITMedia(日本語)
すぐ消えそう