30日21時(日本時間)、Xiaomiがオンライン上でヨーロッパ市場向けの新製品発表会を配信し、Mi 10T、Mi 10T Pro、Mi 10T Liteの5Gスマホ3機種などを発表しました。
Mi 10Tシリーズは、当時最高レベルのSoCであるSnapdragon 855を搭載し5万円という激安価格で発売され大きな話題となった、Mi 9Tシリーズの後継モデルです。さらに今回からは新しいLiteモデルがラインナップに追加され、大きな注目を集めています。
それでは早速、発表内容の確認といきましょう。
目次
Mi 10T Pro - 108MPカメラ搭載の最上位モデル
まず最初に発表されたのは、3機種のうち最上位モデルとなる「Mi 10T Pro」。SoCは現状最高レベルのSnapdragon 865を採用し、ディスプレイは144Hzの高リフレッシュレート、108MPトリプルカメラ、5G対応と、秋のフラッグシップモデルにふさわしいスペックです。
カメラの「創造性を加速する」様々な便利機能が面白い
Mi 10T Proのカメラは、既に噂されていたように108MPの超高画素カメラをメインに置いたトリプル構成です。ちなみにリーク時点で「ダミーカメラ?」と言われていたフラッシュ上の丸い物体は、飾りではなくれっきとした光センサーだったようです。
「POWER YOUR CREATIVITY(あなたの創造性を加速する)」をコンセプトに、Mi 10T Proにはクリエイティブな楽しみ方をするための機能を多数搭載。
その一つが、カメラアプリに搭載されたこの6種類の便利な撮影コマンドです。
Light Painting、Neon Trails、Moving Crowd、Starry sky、Star Trails、Oil Paintingの全6種のフィルターはどれも面白いものですが、ここでは一番最初のLight Paintingだけを紹介することにしましょう。
これが、Mi 10T Proで撮影された「ライトペインティング」のサンプルです。
ライトペインティング、ライトドローイングなどと呼ばれるこの技法は、一眼カメラなどで長時間露光を用い、手にペンライトなどの光源をもって光の軌跡を描くアートです。普通のスマホのマニュアル撮影でも不可能ではないものの、ここまで高クオリティなものを撮影するのは非常に難しそうです。さすがに三脚か何かで固定する必要はありそうですが。
その他の「スターリースカイ」や「オイルペインティング」もなかなか面白そうですよ。
そしてもう一つが、9つの「天気変え」設定です。XiaomiはこれをAI Skyscaping 3.0と読んでいます。
これは、今までもXiaomiのスマホに搭載されていた、「撮影した写真の空の部分を認識し、あとからその天気を快晴・虹・夕焼けなどに自由に変更できる機能」の進化版です。Xiaomiスマホの隠れた名機能であったこのコマンドが、バージョン3.0で更に面白いことに。
一枚の写真から、その天気を変更し、さらにその中で雲が流れる様子や、花火が開く様子、雪の降りしきる様子がそのままショートムービーにできるというのです。
最近は一枚の静止画に電子的にさまざまなエフェクトを重ね、静止した風景の一部が動き続けるような編集をすることのできるアプリが多くありますが(Instagramのストーリーズの影響でしょうか?)、標準機能にこのような楽しい機能を多く盛り込んでくるのが、Xiaomiの特徴と言えるかもしれません。
これらの他にも、曇天、夕焼け、雨、星空などへチェンジすることも可能です。
そしてこちらは「Photo Clone」機能です。画面の中に写る同じ顔をした4人の男性は四つ子ではなく、全て同じ人物。Xiaomiは、今まで大きな三脚と高度な画像編集技術がなければ作ることの出来なかった、この手の多重露光写真を簡単に撮影できることをウリにしています。なんと三脚すら必要ないんですって。
カメラ機能のまとめはこんな感じ。他にも、8Kビデオ撮影機能や、写真の色をサイバーパンク風、黄金でリッチな金融街(?)風、暗く冷たい現代都市風に「色変」する機能などが発表されていました。
ちなみに、XiaomiはMi 10T Proの製品ウェブサイトにて「概要」「スペック」に並んで「カメラ」のタブを別個に用意するほど、Mi 10T Proのカメラとそれに付随する「POWER YOUR CREATIVITY」な機能には力を入れているようです。
カメラの具体的な作例は、Xiaomiの公式サイトで確認することをおすすめします。
https://www.mi.com/global/mi-10t-pro/camera
システム面のスペック
こちらは既にリークされていた情報とほとんど変わりはありません。
SoCには最高レベルのSnapdragon 865(文字通りの最高SoCは、上位チップのSD865+)を採用。865採用の理由には、シンプルな処理能力の高さだけでなく、画像処理エンジンSpectra 480や、5GモデムX55の存在も大きかったそうです。
メモリはRAMが最大8GBのLPDDR5、ストレージが最大256GBのUFS3.1です。
バッテリー容量は5000mAhの大容量で、33Wの高速充電器が標準で付属します。
バッテリー紹介の流れで、しれっとXiaomi 65W GaN充電器のヨーロッパ版を発表していました。中国では既に発売されていたモデルで、価格は29.9ユーロ(約3700円)とさすがの安さです。
システム周りのスペックのまとめは以下のような感じです。
高駆動ディスプレイも素晴らしい
108MPカメラの他に、もう一つ注目されていたのが144Hzの高駆動液晶ディスプレイです。標準的な60Hzを大きく上回る90Hz、120Hzの高リフレッシュレートディスプレイはここ最近のトレンドのひとつですが、144Hzともなるともはやゲーミングスマホ級です。
恥ずかしながら筆者の持つスマホは60Hz止まりなのですが、高駆動ディスプレイは以外なところでエクスペリエンスを向上させると話題ですよね。
画面上に再生中のコンテンツのリフレッシュレートを表示させることのできる機能は意外と便利そうです。高リフレッシュレートスマホを購入した人が「これは本当に〇〇Hz出ているのだろうか?」と困惑しているケースはよく聞きます。
また、「最高のフラットディスプレイ」であるということもXiaomi自身が全面に押し出していました。フラットディスプレイの対極にあるのは、側面がカーブしたエッジディスプレイとよばれるタイプですが、デザイン性の良さ・持ちやすさの反面誤タップが頻発する点などで、なんだかんだユーザーからの不満の声が多いのが現実です。Xiaomiもそんなエッジディスプレイのスマホを多数リリースしてきた企業側ではありますが、フラットディスプレイの存在をこのように押し出してくれたことには、我々は喜んでいいのではないでしょうか。
ディスプレイ周りのまとめは以下のような感じです。
その他:昨今の事情を鑑み、抗菌仕様です
他にも様々な機能が紹介されていましたが、一番興味深かったのは、このスマホが銀イオン系の抗菌加工が施されていると謳われていたことです。
抗菌加工は本体だけでなく付属のクリアケースにも施されているといい、あくまで実験上では72時間の培養後に通常のケースと比べて99.99%も雑菌が少なくなっていたのだと。最近は赤外線温度センサーを搭載したスマホもありましたが、このようなシンプルな形でのアプローチも素晴らしいです。
また、持続可能性(おそらくSDGs)の観点から、梱包の際に使われるプラスチックを60%削減したということも紹介されています。
カラーは3色
Mi 10T Proのカラーは全部で3色です。
ルーナー・シルバー(Lunar = 月、神話由来のニュアンスがある)
コズミック・ブラック
オーロラ・ブルー
Mi 10T - カメラとカラバリ以外は全く同じ
続いて発表されたのが、下位モデルにあたるMi 10T(無印)です。発表会の際にも「Mi 10T Proと異なるのはカメラとカラーバリエーションだけ」と言われていたように、下位モデルでありながらMi 10T Proとほとんど変わらない構成のスマートフォンになっています。
こちらがMi 10Tのスペックです。画素数が64MPに下がったカメラも、なお8K撮影、そしていくつかの便利コマンドに対応しています。
筆者はどちらかといえばこちらのモデルのほうが惹かれます。
カラーバリエーションではMi 10T Proのオーロラ・ブルーがなくなり、ブラック・シルバーのみとなりました。
Mi 10 Lite - 名前は同じだけど別系統の格安機
Mi 10T Liteは、他2機種と同時に発表されたMi 10Tシリーズのミドルレンジスマホです。
名前は同じファミリーになっているものの、それらとは異なる別系統のスマホとして考えたほうが良いでしょう。デザインはPoco X3と似ているもののカメラ構成などは異なり、基本的には独自の設計と考えられます。
120Hzの高駆動ディスプレイという、Mi 10Tシリーズ全体に通じるスピリットは受け継いでおり、やはり大きな魅力のひとつになっています。また、抗菌仕様もバッチリです。
噂されていたように、SoCはQualcommの未発表SoC、名称はSnapdragon 750Gが採用されました。番号から見て、Poco X3などに搭載されたSnapdragon 732Gより多少高性能ではあるものの、ミドルレンジ最強のSnapdragon 765Gには及ばない性能であると考えられます。
バッテリーは4820mAhと他2機種より絶妙に少なく、33W高速充電は同様に対応しています。
その他、特筆すべき点は正直あまり多くありません。
気になる価格は?
さて、気になる価格は以下のようになっています。
Mi 10T Pro
- 8+128GB - 599ユーロ(約7万4000円)
- 8+256GB - 649ユーロ(約8万円)
Mi 10T
- 6+128GB - 499ユーロ(約6万2000円)
- 8+128GB - 549ユーロ(約6万8000円)
Mi 10T Lite
- 6+64GB - 279ユーロ(約3万4000円)(フラッシュセールで249ユーロ(約3万円))
- 6+128GB - 329ユーロ(約4万円)
概ねリーク通りです。
Mi Watchがついにグローバル発売へ
そしてこれらのスマートフォンに加え、Xiaomiオリジナルのスマートウォッチである「Mi Watch(グローバル版)」が正式発表されました。Xiaomiは今までにもMi Bandシリーズを通してウェアラブルデバイス市場で大成功を収めてきましたが、スマートウォッチ型のデバイスをグローバル市場に持ち込むのはこれが初めてです。
基本的には中国市場で発売されていた「Mi Watch Color」や、同じくそのリブランド品と言われるAmazfit GTR 2との類似点が多く見受けられますが、一部は微妙に異なっています。
睡眠トラッカー機能や、117もの運動トラッカー、そして血中酸素濃度測定機能などスマートウォッチとしてマストとなりつつある機能を十分以上に備えています。特に、運動トラッカーの判別できる動きが117種類も用意されているというのはなかなかないのではないでしょうか。
5気圧防水、スタンバイ状態で最大16日のバッテリーは概ね標準的です。
注目すべきはその価格で、なんとたったの99ユーロ(約1万2000円)。Mi Watch Colorの中国での価格(約1万円)や、Amazfit GTR 2の中国での価格(約1万5000円)にも匹敵します。さすがのXiaomiらしい、驚異的な安さです。
かなり安い