スマートフォンの周波数帯でBand 1(2.1 GHz)といった表記をよく見かけませんか?
この中でも、700 MHz - 800 MHzあたりの周波数帯はプラチナバンドと呼ばれているようなつながりやすいものであったり、Band 40台の 2.5 GHz - 3.5 GHzの周波数帯は高速通信ができるといった話もよく聞きますよね。
今回は物理を少々学ぶことで、この周波数帯の数字からその性質がだいたい理解できるようになる、そんな記事になります。
それでは行きましょう!
周波数の性質
Band xx や x.x GHz のように表記される電波は、その名の通り波の性質を持っています。
難しそうな波のイメージ
電波はこの波の形を変えることによって 通信情報の送受信をしています。例えば一つの山で1、山がない平の場所が0といったようにしてデジタルデータを送ります。
各周波数帯の、Band xというのには、それぞれx.x GHzという数値がついていると思います。このx.x Ghzの数値は、振動数という値で、「1秒に波の山がx.x G(ギガ)個ある」ということを示しています。
つまり、この数値が大きいほど1秒あたりの山の数が多いです。(上のようなイメージです。)
さて、通信情報はこの山の形で表すと先ほど言いましたが、山の数が多ければ多いほど1秒あたりに伝えられる情報量が多いというのは直感的に理解できると思います。つまり、理論上はx.x GHzの数値が大きいほど通信速度が速いという傾向があります。(実際は通信規格などの面でそうとも言い切れない場合もありますが。)
なぜ低周波数のバンドが存在するのか?
では、800 MHzなどの低周波数の周波数帯はなんのために存在しているでしょうか?
物理の知識になるのですが、波というのには回折という現象が存在します。これは、障害物があっても波はそれを回り込んで伝わるというものです。例えば音も波の一種ですが、音は障害物が間にあっても伝わりますよね。それは回折という現象が起きているためです。
回折のイメージ
しかし、実は光も波なのですが、光は音と違って遮ってしまうと見えなくなります。つまり回折現象は起きていません。なぜでしょうか?
実は、ここに周波数の数値が関係してきます。
音と光は同じ波ですが、周波数が違います。音は人やものによりますが、50 Hz-10 kHzで、周波数が低いです。一方で、光は約100 THzであり、これらの間には数万倍の差があります。実は、回折は、低周波数の方が起きやすく、高周波数では起きにくいのです。
回折現象が起きやすいと、障害物の多い高層ビル群や森林の中でも電波が遮断物を回り込み、繋がりやすくなります。これが800MHz帯などの低周波数帯が、繋がりやすいプラチナバンドとして宣伝されてきた理由で、低周波数帯が存在する理由です。
これら周波数帯の性質をまとめると上の図のようになります。
この性質を用いて、低周波数帯は山間部やビル群などのサービスエリアを拡大するためのバンド、高周波数帯は都市部の高速通信や通信速度底上げのためのキャリアアグリゲーションなどに用いられます。
ちなみに、Wi-Fiも2.4GHz帯の方が繋がりやすく、5GHz帯の方が高速です。Wi-Fiも電波なのでスマホの周波数帯と同じことが言えます。
以上、周波数帯の性質まとめでした。スマートフォンの周波数帯、バンドを眺めるときに頭の片隅にでもおいておくと少しは役立つかもしれませんね。
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