Huaweiはアメリカ政府による制裁を受け、同社の端末にGMSやGoogle製のアプリを搭載することができません。
その代わりにHuawei謹製のHMS、Huawei AppGalleryを利用することができますが、Huawei AppGalleryがグローバル向けに本格稼働したのは最近のことであり、10年以上の歴史があるGoogle Playストアと比べると厳しい現状となっています。
今回は実際にAppGallery搭載のHuawei端末、Huawei P40 Pro 5Gを利用してみてどれぐらい使えるのかを検証してみます。(2020年6月現在の情報です。)
目次
AppGalleryの充実具合は?
結論から言います。肝心のHuawei AppGalleryですが、残念ながらお世辞にも充実しているとはいえません。
Huawei AppGalleryのみで利用できたものは、プリインストールの電話や写真ギャラリーなどの基本機能以外では以下の通り。
- LINE(後述の通りLINE Payは利用不可)
- Microsoft Office
- NAVITIME
- Zoom
私が使うアプリだとこれぐらいです。他にもTikTok、Snapchat等がありました。
QuickAppのメルカリとWeb版のYouTube。それぞれ右下にアイコンが付く。
アプリの他に、インストール不要の高速アプリである「QuickApp」もあります。これらには、
- メルカリ
- クックパット
- ヤマト運輸
といったサービスがありました。こちらも充実しているとはいえませんがアプリ同様に利用可能です。
Google系のサービスはWeb版を利用することである程度対応可能です。Gmailは公式のメールアプリでも代用可能ですし、YouTubeもWeb上で視聴可能ですので不便には感じませんでした。唯一困ったのが、
- Google Mapsでナビなどの現在地を利用したサービスが使えない
- Google Photoで自動バックアップができない
の2つのみでした。前者はNAVITIMEで、後者は手動バックアップで我慢するかHuaweiのクラウドもしくはAmazon Photosで代用可能です。
Huawei P40 Pro 5Gの購入でNAVITIMEが1年間とU-NEXTが6ヶ月間無料!
NAVITIMEのナビ機能は有料であり、このままでは地図が使えなくなってしまうHuawei P40 Pro 5Gですが、Huaweiは対象のスマートフォンの購入者全員にNAVITIMEプレミアムコースが1年間も無料になるキャンペーンを開催しています。
対象のスマートフォンはHuawei P40 Pro 5Gに加えてHuawei P40 lite 5G、そしてHuawei P40 lite Eとなっています。キャンペーンは9/12までの期間限定。これで1年間は安心できますが、1年以内に十分使い物になる地図アプリをAppGalleryに掲載してほしいですね。
また、AppGalleryではNetflixやAmazonプライムビデオ等が利用できないため、代わりにU-NEXTが6ヶ月間無料になるキャンペーンも開催しています。
こちらはHuawei P40 Pro 5Gの購入者のみで、9/30までとなっています。
どちらもAppGalleryアプリのバナーより応募可能ですので、Huawei P40 Pro 5Gを購入した方はぜひ利用しましょう。特にNAVITIMEは必須レベルです。
Source : Huawei
ウィッシュリストに追加すると欲しいアプリが早期に登場するかも?
YouTubeと調べたときの検索結果
Huawei AppGalleryではアプリを検索すると、「インストール」「入手」「追加」の3つの項目が見られます。それぞれ
- インストール:アプリとしてインストールする
- 入手:Web版へ遷移、ホーム上にアイコンを作成する
- 追加:ウィッシュリストに追加する
となっています。
インストールできるアプリが少ないことが問題ですが、「入手」という選択肢があって、擬似的に利用できる仕組みとなっているのはいいですね。
また、ウィッシュリストに追加された回数が多いアプリに関してはHuaweiが優先的に対応するそうです。気になるアプリがありましたら積極的にウィッシュリストに追加するといいでしょう。
Amazonアプリストアの導入でより快適に
ここからは裏技的な話になりますが、実はHuawei端末にはAmazonがFireタブレットシリーズ向けのアプリストアとして展開しているAmazonアプリストアをインストールすることができます。Amazon公式サイトからAmazonアプリストアをインストールし、そこからアプリをインストールすればかなり幅が広がります。具体的には
- Spotify
- 各種Amazon系サービス
がインストール可能でした。今の所どれも普通に動作し、アップデートも可能です。
APKファイルを使ってインストールするのも可能だが...
Amazonアプリストアにも無いアプリは最後の手段としてAPK PureといったWebサイトで野良APKファイルを使ったインストールで追加することが可能です。
ただ、野良APKはコンピューターウイルスやバックドアの危険性が排除できない上、アップデートも各自手動でする必要があり、その都度セキュリティの心配があるためオススメはしません。
といっても自分が使いたいアプリで、AppGalleryにもAmazonアプリストアにもなく、Web版でも代用できず、野良APKがどうしても必要なアプリはRakuten Linkとslackぐらいでしたよ。Rakuten Linkは正常に動作しませんでしたが...
モバイル決済はどうしてもできない
PayPay、LINE Payといったモバイル決済アプリはセキュリティの関係なのかGMS前提で設計されているかわかりませんが、HMS下では利用できないようです。
日本側とこ脳症が難航しているからか最近のHuawei端末はおサイフケータイにも対応していません。現状、Huawei製スマホではモバイル決済はほとんどできませんのでご注意ください。
【注意喚起】GMSの導入はおすすめできない危険な行為です
様々なサイトでHuawei端末にGMSを導入する方法が紹介されていますが、私はオススメしません。
というのも、GMSはオープンソースではなく、Googleと端末を製造するメーカーとライセンス契約をして初めて利用できるサービスです。HuaweiはGoogleとそのライセンス契約ができない状況にあります。
そこに無理やりGMSを導入することは明確なライセンス違反行為であり、場合によっては違法行為となる可能性があります。
定められたルールの範囲内でスマートフォンを楽しむようにしましょう。
残念ながら、現状のHMSシステムでは中国在住でもない限り「Huawei製の端末をメイン機として使おう!」と皆さんに言えません。アプリ基盤はまだまだ脆弱といえるでしょう。私はHuawei P40 Pro 5Gを使っていて、Google機能が一切使えない大陸版のMi 4Cを使っていた頃を思い出しました。
しかし、AppGalleryトップページにサポートセンターがあることや、「入手」によるWebアプリの追加や「追加」によるウィッシュリスト制度、そしてNAVITIMEとU-NEXT無料キャンペーンなど、Huaweiがアプリがないながらも快適に利用してもらえるように努力している様子は伝わりました。実際、AppGalleryの仕組みを理解できるとWeb版をホームアイコンに追加することなどが簡単にできるようになりました。
つい先日にLINEが登場したことなど、これからもAppGalleryは対応アプリが拡充していくものだと思われます。まだまだ発展途上と言ったかたちですのでこれからの成長に期待です。