2019年の10月、楽天モバイルから登場したエントリー~ミドルレンジ級スマートフォンのGalaxy A7。
先月(2020年5月)より定価34,650円だったものが18,700円と約半額になった上、Rakuten UN-LIMITと同時購入で15,000円相当のポイント還元が受けられ、かなりお買い得な端末であると話題になりました。
今回はそのGalaxy A7の実機を手に入れましたのでレビューしていきます。
目次
スペック:2年の利用は難しそう
Galaxy A7のSoCはサムスンのExynos 7885、RAMは4GB、ストレージは64GBと今であればエントリーレベルです。グローバル版は2018年の10月に発表されたモデルであり、実質ほぼ2年前のモデルとなるためスペックはあまり期待できません。
カメラは約24MP (広角) + 約5MP (ボケ) + 約8MP (超広角)のトリプルカメラとトレンドを抑えられているものの、ナイトモードなどの機能は非搭載。
良いところといえは、ディスプレイが6.0インチの有機ELディスプレイであること。この価格で有機EL搭載であることはさすがサムスンです。
一方で、防水・おサイフケータイ・ワンセグといったいわゆるガラパゴス機能は一切なし。ワイヤレス充電にも非対応なだけでなく、充電端子がいまだにMicroUSBというのがデメリットです。
基本スペック | |
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ディスプレイ | 6.0インチ, 1080 x 2220, 有機ELディスプレイ, 411ppi |
サイズ | 159.8 x 76.8 x 7.5mm, 168g |
システム | |
OS | Android 8.0 (Oreo) |
Soc | Samsung Exynos 7885 |
CPU | Cortex-A73 x2 & Cortex-A53 x6 8コア, 2.2 GHz |
メモリ(RAM) | 4GB / 6GB |
ストレージ | 64GB / 128GB, sd_card microSD最大512GBまで |
カメラ | |
メインカメラ | camera_rear 24 + 8 + 5MP, F値/1.7, トリプルカメラ, PDAF |
メインカメラ特徴 | camera |
前面カメラ | camera_front 24MP, F値/2.0 |
センサ類 | 指紋認証センサ, 加速度センサ, 近接センサ, ジャイロ, コンパス |
機能 | 防水 非対応, イヤホンジャック あり |
その他特徴 | Samsung Pay |
バッテリー | battery_charging_fullmicroUSB 2.0, 3300mAh |
外観:値段なりの質感
下部に指紋の跡が残るGalaxy A7
Galaxy A7はギラッギラのメタリックな外観をしています。
といってもXperia Z5 Premiumのような鏡面加工ではなく、ただ反射がすごいだけ。嫌いではないのですが、指紋が目立つのが気になるところ。
ロゴはGalaxyだけ。シンプルでいい感じです。
正面は6.0インチの有機ELディスプレイ。今どきのスマートフォンでは珍しくノッチもパンチホールでもない長方形のディスプレイとなっています。
画面上部には左からインカメラ、近接センサー、通話用スピーカー、そしてセルフィー用のLEDライトです。
上下のベゼルも左右のベゼルも標準的なサイズです。iPhone SEと比べたら上下のベゼルは狭いほうだと思います。
この写真には嬉しいところと嬉しくないところが一緒に写ってますね。
左から順にスピーカー、マイク、MicroUSB端子、3.5mmイヤホンジャックです。今どきMicroUSBであることは大減点ですが、イヤホンジャックが残っているのはかなり嬉しいところ。こうしてみると本当に古いスマートフォンみたい。
SIMスロットは左側にあります。スロットはデュアルSIMに見えますが、残念ながら右のスロットはダミー。シングルSIM仕様です。ちなみにSIMの差し替えをすると電源が一度落ちます。
左側はMicroSDスロット。本体ストレージは64GBですが、512GBまで拡張することが可能です。
右側には音量ボタンと電源ボタンがあります。
音量ボタンがかなり上部にあり、ちょっと押しにくいです。一方で、電源ボタンは押しやすい位置にあります。
電源ボタンは指紋認証ボタンも兼ねています。指紋認証の速度はiPhone SEに引けを取らないほど素晴らしい一方で、指紋認証の成功率は7割ほど。少しでも汗で濡れていたり、脂っこいときは反応しません。
他の機種と比較
手元にある他の機種と比較してみましょう。
左から順にRakuten Mini、iPhone 11、Galaxy A7、そしてみんな大好きXperia Z Ultraです。サイズ感はiPhone 11を立てに伸ばした感じ。
ディスプレイサイズはほとんど同じ。iPhoneのノッチを取り払ったようなサイズ感です。
上下のベゼルの分だけ縦に長いイメージで良いでしょう。
ちなみに厚さはiPhoneよりも薄く、重量で言ってもiPhoneより軽いです。iPhoneが詰まっているのに対して板感が強いですね。
同梱物は十分
同梱物はこんな感じ。
- 15W(9V1.67A)高速充電対応ACアダプター
- MicroUSBケーブル
- SIMピン
- データ移行用OTGアダプター
- 説明書類
ACアダプターは横向きにケーブルを差し込む珍しいタイプ。狭い場所で活用できるかもしれないですが、そもそも全長が長いのでどれだけ実用的かは不明です。
にしてもこの段差はなんでしょうか...ACアダプターのデザインもダサいし妙に軽いし安っぽさが否めません。
イヤホンやケース、保護フィルム等はないものの、本体以外全くなしというスマホもあるなか十分な同梱物なのではないでしょうか。
動作は若干もっさり
肝心の動作ですが、若干もっさりめです。
SNSやWebブラウジングは普通にできますが、私のiPhone 11と比較するとどうしてもワンテンポ遅れてしまいます。
顕著なのはLightroomでの写真編集。私はよくスマホ版のLightroomで写真編集をするのですが、パラメーターをいじるとかくかくしだします。書き出しにも時間がかかり、ストレスでした。(だいたいiPhone 11の3-4倍ほど時間がかかります。)
YouTube動画の再生ぐらいまでは普通に使えると思いますが、ゲームなどの重いアプリの動作には期待しないほうがいいでしょう。
ちなみにAntutuベンチマークのスコアは134,636点でした。ハイエンド端末は50万点、ミドルレンジスマホは30万点前後ですので、お世辞にもハイスコアとはいえません。(ちなみにXperia Z Ultraは5万点ですのでそれよりかはだいぶマシ。)
有機ELディスプレイは素晴らしい
Galaxy A7の有機ELディスプレイは素晴らしいです。
実は私、Galaxy A7が有機ELディスプレイデビューなのですが、黒の表現が最高です。この価格帯のスマートフォンで有機ELであることは評価に値するでしょう。
一方で、Samsungらしい高彩度であることが気になります。iPhoneやPCで色味を調整し、現像した写真をGalaxy A7でみると彩度が高すぎるため違和感があります。
特に気になるのがグリーン。なぜかGalaxy A7のディスプレイは緑っぽく発色しています。木々の写真はきれいに見えますが、他の写真の色味がおかしいように感じます。
左がiPhone 11、右がGalaxy A7で同じ写真を表示したものです。輝度はどちらも最大にしています
人がいるところを拡大したものです。iPhone 11は白なのにGalaxy A7のほうはグリーン、シアンがかっているのがわかりますでしょうか?この写真はPCのディスプレイで現像したものですので白いはずなのですが、Galaxy A7でみると変な色になってしまいます。かなり細かいところですが、写真の現像に関わるところなので個人的には大事なポイントです。
ちなみに設定から色味を調整できます。私はホワイトバランスを暖色に、RGBのGを7割ぐらいに下げて利用しています。(上の写真は初期設定の状態です)これでだいぶ改善されました。
カメラ性能は悪くないが最新機種と比べると惨敗
Galaxy A7は約24MP (広角) + 約5MP (ボケ) + 約8MP (超広角)のトリプルカメラとなっています。
まずはGalaxy A7で撮影された作例をご覧ください。
(Galaxy A7メインカメラで撮影、タップで拡大)
(Galaxy A7超広角カメラで撮影、タップで拡大)
(Galaxy A7ライブフォーカスモードで撮影、タップで拡大)
(Galaxy A7メインカメラで撮影、タップで拡大)
(Galaxy A7メインカメラで撮影、タップで拡大)
どうでしょう?かなりいい感じじゃないでしょうか。
iPhone 11と比較
写真単体ではそこそこいい写りをしているように見えますが、iPhone 11と比較すると惨敗となります。
(iPhone 11で撮影、タップで拡大)
(Galaxy A7で撮影、タップで拡大)
まずは昼間の写真から。ここで注目してほしいのが空の部分です。
iPhone 11はスマートHDRが効いており、空の青が表現されていますが、一方でGalaxy A7はほとんど白飛びしています。
ディテールを見ても24MPのGalaxyが12MPのiPhoneよりも劣っています。さすがiPhone。
(iPhone 11で撮影、タップで拡大)
(Galaxy A7で撮影、タップで拡大)
違いが特に顕著なのが夜間撮影。Galaxy A7にはナイトモードがありませんので夜間撮影はかなり苦手です。
左上のビルのあたりを見るとノイズでディテールが潰れてしまっているのがわかりやすいと思います。
(iPhone 11超広角カメラで撮影、タップで拡大)
(Galaxy A7超広角カメラで撮影、タップで拡大)
Galaxy A7には超広角カメラが搭載されています。
コレで撮影の幅が広がりますが、気をつけてほしいのが歪み。Galaxy A7の超広角カメラは「魚眼かな?」って言いたくなるほど歪みが大きいです。iPhoneと比較すると明確でしょう。
また、白飛びも気になります。大提灯の光に照らされた部分がiPhone 11はうまく処理している一方で、Galaxy A7は白飛びしてしまっています。また、右側のライトに関しても同じことがいえます。Galaxy A7のメインカメラ、超広角カメラ共通していえることですが、夜景撮影するとすぐに白飛びしてしまうのが残念な点です。
(iPhone 11ポートレートモードで撮影、タップで拡大)
(Galaxy A7ライブフォーカスモードで撮影、タップで拡大)
唯一買っているのがボケ機能。iPhoneはどの機種もポートレートモードで被写体近づきすぎると「離れてください」という表示が出てしまい、被写体が小さくなってしまいがちですが、Galaxy A7はかなり近づいてもライブフォーカスモードが有効です。
ボケの境界の処理も悪くありません。
バッテリー持ちは普通
Galaxy A7のバッテリーは3,300mAhです。多くもなく少なくもなく至って普通。実際に使っても普通に1日持ちますがそれ以上は持ちません。
バッテリーに関しては特段いうこともないですね。
おサイフケータイは非対応
Galaxy A7にはおサイフケータイはありません。非接触決済は利用できませんのでご注意ください。PayPay、LINE PayといったQRコード決済は利用できますが、サービスによっては一人による複数アカウントの運用や、一つのアカウントで複数端末に登録することが禁止されている場合がありますのでよく調べてから利用するようにしましょう。
ちなみに最も利用者の多いPayPayの場合は複数アカウントは禁止、一つのアカウントで複数端末利用はキャンペーン利用時以外はOKとのことです。
以下のご利用状況が確認された場合には、調査を行い、弊社が不正のおそれがあると判断した場合、付与は行いません。
・同一のPayPayアカウントで異なる複数の端末へログインをしてPayPayを利用した場合
便利な機能がたくさん
Galaxy A7には便利な機能がたくさんついています。
その中で私が気に入ったのが以下の3つです。
電源ボタンをダブルクリックでカメラが起動する
電源ボタンをダブルクリックすると自動でカメラが起動します。これはGalaxy A7固有の機能ではなくAndroid端末であればできる機能ですのですが、普段はiPhoneを利用している身からするとかなり便利。iPhoneでも採用してほしい。
電源ボタンを下へなぞると通知が見れる
Galaxy A7の電源ボタンは指紋認証センサーにもなっています。そのセンサーを活用し、電源ボタンをしたになぞるだけで通知が開く機能があります。これがなかなかに便利。
6.0インチディスプレイはかなり大きく、片手操作は到底できませんがこの機能である程度助かっています。
2画面表示ができる
YouTube+Twitterの表示例
Galaxy A7はエントリークラスながらも2画面表示に対応しています。
筆者は初めて2画面表示を使いましたがこれがなかなか便利です。オススメはYouTube+TwitterまたはYouTube+Chrome。動画を見ながらTL監視、動画を見ながら調べ物がはかどります。
エントリークラスなので2画面表示なんてしたらさぞかくかくだろうと思いきや意外としっかり動きます。
GPSの精度が悪い?
私の端末がハズレ個体である可能性は否定できませんが、極端にGPS精度が悪いです。
どれぐらいかといいますと、ひどいときはだいたい100mぐらいの誤差があります。ピッタリあっていることは5回に1回ぐらいしかないですね。
これに関しては要検証です。すでにGalaxy A7をお持ちの方は是非コメントでどうなのかお聞かせください。
Dolby Atmosはイヤホン利用時のみ
スピーカーは本体下部のモノラルスピーカーです。電話用の本体上部のスピーカーはオーディオに利用されていないようです。
Galaxy A7は立体音響方式のDolby Atmosに対応していますが、これは本体だけでは非対応であり、イヤホン利用時のみとなりますのでご注意ください。
顔認証は写真で突破される
Galaxy A7は顔認証に対応していますが、これは簡易的なもので写真で突破されます。利用される方はご注意ください。
まとめ:おもちゃにはいいんじゃない?
Galaxy A7は動きはもっさりしているし、ディスプレイはいいけれどもカメラも普通。
発売当初のように3万円台で売られているのであれば絶対におすすめできませんし、割引後の2万円でもなしだと思いますが、実質0円以下で販売されている今、メインスマホがあってライフスタイルが確立している人がおもちゃにするにはいい機種だと思います。
逆に、おすすめできない人はこんな人たちです。
スマホデビューでメインスマホにしたい人
メインスマホにするには力不足だと思います。メインスマホにするのであればお金を積んでOPPO Reno Aか、もうちょっと出せるのであればiPhone SEあたりがおすすめです。
1円たりとも出したくないし、Rakuten Miniは嫌だ!というのであればしょうがないですが、生産性は落ちるとだろうと思います。
普段はiPhoneでAndroidデビューをしたい人
正確にはおすすめできないわけではなく、「これがAndroidか、たいしたことねぇな」と思わないでほしいだけです。
AndroidデビューでGalaxy A7を購入する方は、これがエントリークラスであること、Androidはもっといい端末がたくさんあることを理解しておいてほしいです。
買った後に残念な思いをしないように、Galaxy A7がどんな端末なのか、どういう事ができるかを理解した上で手を出すことをオススメします。このレビューがその理解の一端になれば幸いです。
動画版もあります
YouTube上に動画版のレビューもアップしています。よろしければぜひこちらもご覧ください!
Wi-Fi 11acの電波受信が悪い
Bixby AIは要らないんで強制停止
激安なんでまあいいかな