グローバルマーケットではなく、ローカルを主戦場としている地場メーカーを特集するこのシリーズ。第二弾はフィリピンの地場メーカーであるCherryMobileを紹介します。
フィリピンのスマートフォン市場も、他の東南アジアの国と同様に中国メーカーがシェアを奪い合っているのに変わりません。が、CherryMobileも安さを前面にプッシュして一定の人気を得ている注目の地場メーカーです。
目次
フィリピン人によるフィリピン人のためのスマホを目指して
CherryMobileはMaynard Ngu氏が2009年に創業した企業です。CherryMobileというメーカーはもちろん、創業者である彼は若きビジネスマンとしてフィリピン全土で有名です。同社は創業以来、製品の高いコストパフォーマンスをセールスポイントとしてフィリピンで着実にシェアを伸ばし続けてきました。
顧客ターゲット層に合わせた製品ラインナップはほとんどが30,000円以下となっており、一番安いものはなんと5,000円程度で購入ができます。少ない予算で無理に中古スマートフォンを購入したり、偽物スマートフォン(山寨機など)を選ぶことを避けたいユーザにとってCherryMobileのスマートフォンは人気です。
製品ラインナップ
CherryMobileのコストパフォーマンスに優れたスマートフォンの中から一部をピックアップして紹介します。現在のラインナップはFLARE S8シリーズとなっています。
FLARE S8 Plus - 27,000円
CherryMobileからは初となるポップアップ式カメラを搭載した機種として話題になりました。
背面のカメラはトリプルカメラ、チップセットはMediaTekのHelio P70を搭載します。内蔵メモリは6GBでストレージは128GBと、充分なスペックの高さも特徴です。
FLARE S8 Pro - 13,000円
デュアルカメラに指紋センサー、3.5mmイヤホンジャックにUSB Type-C端子。デザインもスタイリッシュで全てのバランスが取れたこの機種。13,000円で手に入るスマートフォンとしては十分なスペックを備えています。
フロントカメラは20MP。セルフィー(自撮り)が大好きなフィリピン人にとって、スマートフォンのカメラはとても重要になります。チップセットよりもカメラの画素数を気にするという人も存在し、◯◯MPという数字だけでスマートフォンを選ぶことも。
現地の女優とコラボしたモデルも
CherryMobileはフィリピンの女優であるHeart Evangelista氏とコラボしたLove Marie Collectionを発表しています。女優活動だけでなく画家としても個展を開催するほどの実力があり、Love Marie Collectionのラインナップであるスマートフォンやモバイルバッテリーは女性ユーザーを中心に人気を集めました。
現地の人気芸能人とのコラボモデルを発売できるのも地場メーカ―ならでは。その国を知り尽くしたメーカーだからこそできるアプローチだと言えます。
Heart Evangelista氏ですが、フィリピン国内の学生に向けてオンライン授業で使えるようにとCherryMobileのタブレットを寄付して話題にもなりました。
2019Q3のマーケットシェア
SamsungやOV、Huaweiなど世界的に有名なメーカーがフィリピン国内のマーケットシェアで上位を占めている中、地場メーカーのCherryMobileが2019年Q3のシェアでは4位に食い込んでいます。
中国メーカーが各国のマーケットでシェアを伸ばし続ける中で、CherryMobileが15%前後のシェアを維持していることには驚かされます。
ショッピングモールにストアを構えて顧客獲得へ
一年を通してジメジメと気温が高いフィリピンでは、室内でのアクティビティが主となっています。フィリピン人にとってショッピングモールでの買い物はライフスタイルの一部です。
そんなフィリピン人の習慣もあり、CherryMobileはショッピングモールにコンセプトストアとキオスクを多く構えています。オンラインや携帯キャリアでの販売だけでなく、実店舗の多さからくるサービス体制の充実度も人気の理由となりました。
COVID-19を受けオンライン販売へシフトか
2020年5月現在、COVID-19の感染拡大を受けフィリピン各地でECQ(コミュニティ隔離)が実施されています。フィリピン国内のスマートフォン業界もこのECQの影響を受けており、CherryMobileは実店舗の営業を停止せざるをえない状況が続いています。
すでにオンライン販売をECサイトを通じて行っていますが、自社オンラインストアを立ち上げ、オフラインだけでなくオンラインへも積極化する動きを見せています。
フィリピン人との小話
筆者の知人にIT関係の話題に詳しいフィリピン人がいますが、彼にCherryMobileについて少し話を聞いてみました。
CherryMobileは今となっては中国メーカーに押されているものの、昔はもっと勢いがあったと言います。ただ、彼にとってCherryMobileのスマートフォンは本当にお金がない人だったり、学生が選ぶというイメージが強いそうです。「今は中国メーカーのスマートフォンもかなり普及していて、わざわざCherryMobileを選ぶ必要はないのではないか」と話をしてくれました。
予想通りというかなんというか、Cherry Mobileが来ましたね
Flareシリーズに集約されたもたいですが、ラインナップわっかりにくい!
無印にPro、PlusにPrime、さらにはDeluxeにMax、Lite…
どれが上位でどれが下位か想像がつかん
昔はOmegaとかAstroとかあったみたいですが、愛称で分けるかGalaxyみたいにカテゴリ付けのプレフィクス付けた方がいい気が…地元のひとは頭に叩き込まれてるんでしょうか
こちらもカリスマ経営者が率いてるんですか、雷軍氏はいろんな意味で有名ですが、Tecnoの竺兆江氏やOppoの陳明永氏など、名物社長が多いですね
やらかして通販番組の司会になっちゃった羅永浩氏(Smartisan) 、カジノオブザイヤーの劉立栄氏(Gionee)、果ては消息不明の賈躍亭氏(LeTV)なんて方々もいますが…
流れの速いこの業界、ある意味独裁か、ハイセンスやサムスンみたいに異常な体力があるところでないと振り落とされてしまうのかも知れないですね