DxOMarkは2008年に設立された、スマートフォンやカメラ、レンズを科学的に評価する独立したベンチマークです。
最近、XiaomiやHuawei、OnePlusといったメーカーの発表イベントでカメラ関係のスコアとして耳にした方も多いのではないでしょうか。各メーカーは、iPhoneよりスコアが上、ランキング○位であるなどとDxO Markスコアの高さをアピールしています。
工業等級の研究機材を用い、厳密な測定の元で算出されたスコアは、デバイスの写真、動画のクオリティを表します。スコアが高ければ高いほどクオリティが高いことを意味します。
また、ForbesやThe Verge、CNET等様々な大手メディアにその道の権威であると見なされて引用されており、数多の信用を得ていることが窺えます。この記事ではDxO Markの具体的な評価方法・評価基準に迫ります。
目次
カメラの評価方法
全てのテスト、データ分析は60人以上いるエンジニアや技術者によって約10日間かけて行われます。また、端末それぞれにおいて1500枚の写真、2時間の動画を撮りテストを行います。
ズームやフラッシュ、ボケを除き、基本はデフォルトのカメラアプリでデフォルトのモードにおいてテストされます。
評価は写真と動画に分かれており、写真は露出、色、質感、ノイズ、AF(オートフォーカス)、人工物、フラッシュ、ズーム、ボケの9項目。動画は露出、色、質感、ノイズ、AF、人工物、安定性の7項目です。
露出
露出は、カメラがどれほどよく対象と背景の明るさを捉えているか、しっかりそれらに調整されているかを測定しています。上の写真のように明暗がくっきりとした状況や逆光など、様々な状況下でテストされます。
色
色は、工業規格のカラーチャートを用い様々な光の明るさ、種類の下どれだけよくホワイトバランスを算出するか、どれほど正確に色をレンダリングするかを測定します。あくまで評価は絶対基準。同じメーカーの違うスマホで色合いが違うといったことで不当な評価はしないようです。
AF(オートフォーカス)
AFは、変化する照明条件下でどれだけ速く正確に対象を捉えるかを測定します。
質感
質感は、どれだけよく対象の表面等の細かいディテールを捉えられるかを測定します。
最近各メーカーは夜景撮影に力を入れており、その過程の長時間露光は写真のデティールに影響を及ぼす可能性があるため、彼らにとっては特に大事な項目と言えるでしょう。
ノイズ
ノイズは、写真にどれだけノイズがあるかを測定します。
質感とノイズはコインの表裏のように、ノイズを取り除くための画像処理はディテールを失わせる傾向があります。そのため、10,000 Lux(明るさの単位)から1 Luxと幅広い照明条件下でテストは行われます。
人工物
人工物では、どれだけカメラのレンズとデジタル処理が画像を歪ませるかを測定します。
人工物のテストにおいて動体のテストは必須であり、最近のスマートフォンは複数枚の写真の合成、あるいは複数カメラでの撮影によって写真を出力しています。しかしそれらの技術がうまく調整されていないと、上記の画像のようになってしまいます。
フラッシュ(写真のみ)
フラッシュは、どれほど対象の色味を損なわないか、ホワイトバランスが正確かを測定します。
最近のスマートフォンのフラッシュは、周囲の光に合わせた自然な色を出すために複数色のLEDを使ったりと、洗練されたものとなっています。テストは、どれほどフラッシュが良いかを測るため、光源がフラッシュのみの場合と自然のまたは他の光源と一緒の環境で行われます。
ズーム(写真のみ)
ズームでは、約2倍から10倍の範囲で拡大した画像の画質を評価します。
最近までは、スマートフォンのカメラでズーム機能と言えばデジタルズーム、または元の写真の切り取りが主でした。
しかし、異なる焦点距離を持つ複数カメラ搭載のスマホの登場で、光学式ズームやハイブリッドズームが可能となり、その画質も向上しました。Huawei P30 Proは、その一つの例で、頭一つ高いズームスコアを獲得しています。
話は少し逸れますが、大体の望遠レンズはメインレンズほど明るく撮れないため、低照度下ではメインカメラに切り替わるものもあるそうです。
ボケ(写真のみ)
ボケでは、どれほど正確に対象にボケが適用されるか、またそのクオリティ、速度を測定します。また、フルフレームデジタル一眼レフカメラが参照基準として使われます。
どれだけ正確に対象を認識するか測定するために、上の画像のような様々な色、物がある複雑な環境でテストは行われます。いくつかのカメラは、顔認識をボケ適用に使用するために上手くボケないことがよくあるそうです。
安定性(動画のみ)
安定性では、どれほど動画撮影中の動きを無くせるかを測定します。人間の手の自然な揺れを再現するため、上の画像の装置を使用してテストは行われます。
動画撮影中、固定するかスタビライザーを使用しない限り動画は揺れてしまいます。その揺れを最小限に抑えるため、多くのスマートフォンはEIS(電子式手振れ補正機構)またはOIS(光学式手振れ補正機構)、あるいは両方を持っています。
客観的な指標であるDxO Markは役に立つ
DxO Markは測定基準と測定結果を実際の画像と共に公開しており、その透明性と信頼性は高い水準を保っています。他に国際的なスマホのカメラ性能を判断する機関が無いことから見ても、その指標は有用です。
自分で異なるスマホで撮った画像を数枚並べてDxO Markスコアの信頼性に疑問を呈する方もいますが、その測定方法は厳密なものでは無く、印象は主観的です。もちろん、スマホの写真に対する印象は人それぞれですが、DxO Markの評価は大いに参考にできるでしょう。
スマートフォンをカメラで選ぶ方は、どのスマホのカメラが自分の求めるものに合っているのか、一度DxOMarkをチェックしてみてはいかがでしょうか。
んーでも金でしょ