このレビューは2019年2月に発売された「NOKIA 9 PureView」のテレクトリスト読者による実機レビューです。
目次
NOKIA 9 PureViewのスペック概要
NOKIA 9 PureViewは今年2月に発売された5眼レンズが特徴的なスマートフォン。画面サイズは5.9インチとそれほど大きい訳ではありません。優れたカメラ性能とAndroid One・画面内指紋認証センサーを搭載していることも大きな魅力です。
基本スペック | |
---|---|
ディスプレイ | 5.9インチ, 1440 x 2960, 有機ELディスプレイ, 558ppi |
サイズ | 155 x 75 x 7.9mm, 172g |
システム | |
OS | Android 9.0 (Pie) |
Soc | Qualcomm Snapdragon 845 |
CPU | Kryo 385 Gold x4 & Kryo 385 Silver x4 8コア, 2.8 GHz |
メモリ(RAM) | 6GB |
ストレージ | 128GB, sd_card microSD最大512GBまでSIM2スロットを使用 |
カメラ | |
メインカメラ | camera_rear 12MP, F値/1.8, デュアルトーンLEDフラッシュ, Pureview5カメラ、1深度センサ |
メインカメラ特徴 | camera |
前面カメラ | camera_front 20MP |
センサ類 | 指紋認証センサ, 加速度センサ, 近接センサ, ジャイロ, コンパス, 顔認証ロック, 画面内指紋センサ |
機能 | 防水 IPX 8, 水面下での使用が可能, イヤホンジャック 無し |
その他特徴 | Qiワイヤレス充電 |
バッテリー | battery_charging_full3.1, Type-C 1.0, 4150mAh |
購入について
購入の決め手
購入場所・購入時期・購入価格
購入モデル
Nokia 9 PureView Dual-SIM TA-1087 DS メモリ:6 GB ストレージ:128 GB 色:ミッドナイトブルー
化粧箱・付属品
化粧箱は高級感こそあまりない簡素なものではありますが、NOKIAらしい、イメージフォトを多用した楽しい外装になっています。付属品:イヤホン、USB -C充電ケーブル、充電器、アダプター(Type C to AV jack)
本体デザイン
最近のハイレベル機の潮流といえる前面ほぼすべてディスプレイ、といったものではなく、上下に7~8mm前後のベゼルがあります。
ただしディスプレイは十分に広さのあるものなので、逆にノッチを好まないユーザーにとっては, むしろ好ましいデザインではないかと思います。(その上部ベゼルには、ファンにはたまらない「NOKIA」ロゴが銘記されています)
表裏面ともにガラスコーティングがされており、ミッドナイトブルーのボディが艶めかしく輝く感じでとても良いです。
サイドはボディとほぼ同トーンのアルミニウム製、前面・背面それぞれとのエッジ部分はシルバーのヘアライン仕上げになっており、高級感がありつつも、とても上品な仕上げになっています。
ボタン類は右側面のみで、アンドロイド端末の標準といえる、上にボリューム、下に電源ボタンの配置です。
端末は(個人差はありますが)片手で操作可能なギリギリのサイズですが、これらボタンがボディ側面の比較的中央寄りに配置されており、特に電源ボタンは右手親指が自然における場所に配置されているため、操作感はとても自然で気持ちの良いものになっています。背面のマルチレンズのデザインについは賛否が分かれるところかと思いますが、実機を見ると思っていたほどの抵抗感はありませんでした。(個人的には「ZEISS」のロゴが突飛な印象を和らげていることは否めません(笑))
ハードウェアの仕様によりデザインにバリエーションの出る携帯電話と異なり、スレート的なスマートフォンではデザイン面でのユニークネスを表現することが難しくなっていると思いますが、その中で特徴的かつ上品なデザインにまとめ上げられている印象があります。
ディスプレイ
ディスプレイは非常に綺麗で、手持ちのGalaxy S9との比較では、当端末の方がより白黒のコントラストがはっきりと出ていて、画面の精細感も高いように感じます。最近ラウンドエッジのディスプレイに慣れていたこともありますが、フラットで精緻な表示がされる当機の表示を見ると、まさに「モニター」としての本分が表されていると感じられ、あらためてスマートフォンは小さなコンピュータなのだなとの思いが強まりました。
あわせて、ノッチレスのメリットを感じることもできました(非表示箇所が存在せず、ビューワーとして整然としている)。
ソフトウェア・アプリ
Android 9 (Pie)ではありますが、One UI は適用されていないため、縦長画面のデメリット(通知エリアが本体上方)が感じられる点は少し残念に思います(アップデートで改善されることを期待します)。
初期インストールのアプリは少なく、カスタマイズ主眼のユーザーにはアンインストール等の処置に手間がかからないことはありがたいです。ただし、標準のフォトビューワーが無く、Googleフォト利用が前提となっており、かならずクラウド上にアップされる仕様には少し問題があるように思います(設定で変更できるのかもしれません)その他については、特段当端末において特徴的なことはありません。
処理性能
ゲームは未確認ですが、通常のアプリを使用する分には全く問題はありません。複数のアプリを立ち上げても、特にスローダウンを感じる場面は無く、素晴らしいパフォーマンスです。
カメラ性能・写真サンプル
光学での画角の変更は無く、感覚的には35mm換算で28~30mm前後の広角となっています。デジタルズームは最大5倍です。
カメラアプリはすべて英語表記となっており、モードとしては、「Square」「Panorama」「Monochrome」「Bokeh」「Pro」「Photo」「Video」「Slow-Motion」の8モードが設定されています。
この中で特筆すべきは「Monochrome」の自然な表現ではないかと思います。背面のレンズ中、3個がモノクロセンサーということ、ZEISS監修ということも奏功しているのか、しっとりとした画がとれます。
「Bokeh」もデジタル処理としては自然な仕上がりになっているように思います。強いて言うと、撮影後の後処理に時間がかかることは当機種独特の印象です。通常の「Photo」で約3秒、「Bokeh」で約7秒前後の処理時間がかかります。連射せず、他のアプリ(音楽プレーヤー)等併用していなければ気にすることはないと思いますが、複数枚の後処理が並行すると、本機全体のパフォーマンスが著しく低下するのを感じます。
よって当機はカメラ専用の2台目といった利用形態が合っているのかと思いました。
スピーカー・音質
基本的にイヤフォンを使用するのであまり注力して評価していませんが、必要十分なレベルを備えていると思います。
電池持ち・充電速度の印象
電池持ちは可もなく不可もなく、といったところでしょうか。普通に時々写真を撮って、1時間程度のWebブラウジング程度であれば一日は余裕でもつ感じです(夜時点でおおよそ25%残)。充電は急速充電にも対応しており、十分に速いと感じます。
独自機能
他のレビューでも酷評されていますが、画面内指紋センサーは、やは使い物にならないレベルでした。利用時はもとより、登録時にも、指紋の濃さ薄さによっては登録に手間取るケースがありました。ソフトウェア的な改善ができるものであることを期待します。半面、顔認証は十分に利用できるレベルです。あと、PIN入力後の確定入力の要否が選択できない(常に確定を求められる)点は少し面倒に感じます。また、顔認証に一度失敗すると、PIN入力しか選べなくなる点(顔認証のリトライができない)は改良の余地ありです。
まとめ
◎良い点
- 美しいディスプレイ
- 質感高く、上品な端末外装
- 機能的なボタン配置
×悪い点
- ソフトウェアの仕上げが甘い(特にカメラ関係)
- 指紋認証の精度が低すぎる(実用に耐えない)
- 国内キャリアのバンド対応が少ない
全体的な感想
ハードウェア面では十分なレベルのものを備えていると思いますが、それを活用するソフトウェア(OSおよび標準アプリ)の熟成がまだまだ足りない気がします。
特に本機は NOKIA の プレミアムグレード「PureView」を謳っていることもあり、画像処理周りのチューニングにはもっと注力してもらいたいと思います。
もしくはHDRをオフにして素早い現像が可能になると良いと思います。
しかしながら、あくまでも主観に基づく感想ですが、そのようなデメリットをしても余りある、ガジェットとしての魅力があります。
遠い昔、どうしても NOKIA6630 が使いたいがために Vodafone にキャリアチェンジし、個人輸入で様々な筐体カバーを入手して楽しんでいた次代が蘇ります。元々カメラ好きで、特に ZEISS には強い思い入れがあるため、当機と、所有の HUAWEI Mate 20 Pro(LEICA監修カメラ)を両方のポケットに入れて写真散歩に出かけられることは、カメラフリーク・ガジェットフリーク冥利につきるものがあります。
今後のソフトウェアアップデートに期待しつつ、楽しんで使っていきたいと思います。
コメント
※暴言・個人攻撃等は予告無しに削除します