前年度の3.5倍となる、971億円の赤字。
販売台数650万台と前年度から半減。
人員5割削減。
今、Xperiaを擁するソニースマホ事業部はこれまでにない苦境を迎えています。
そして、2019年5月21日、スマホ事業部は2020年度の経営計画を発表。
スマホ事業の今後を示す今回の計画案ですが、「スマホ事業部を複数地域の市場から撤退させる」という衝撃的な内容が盛り込まれていました。
今記事では、発表された事業計画について詳しく紹介していきます。
黒字化へ向けた3つの経営計画
ソニーによれば、スマホ事業の黒字化を実現するための主な計画は以下の通り。
- ランニングコストを50%削減
- スマホ事業をテレビ、オーディオ、カメラ部門と合併し、魅力をアピール
- 一部の地域から事業撤退
まず、ソニーは2020年度までにランニングコストを50%削減(2017年度比)を目標とすることを発表。試算によると、これが実現することでスマホ事業の黒字化が見込まれています。
別の経営改善案として挙げられたのは、事業部の再編です。
ソニーのゲーム、音楽といったエンターテイメント部門の営業利益は、前年比21.7%増の8942億円と好調。
これらエンターテイメント部門とスマホ事業を合併し、「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)事業」とすることを発表しています。
その目的は、テレビ、オーディオ、カメラ部門を通してブランド認知度を高め、スマートフォンの魅了を向上させることとのことですが、裏の目的には黒字が出ている前者3部門にスマホ部門の赤字を吸収させる意図もあるかもしれません。
事業撤退地域、残ったのは?
3つの案の中で、最も目を引く計画案が「一部地域の事業撤退」でしょう。
上図は、赤色が「今後スマホ事業を撤退または、注力しない地域」。青色は「今後注力していく地域」を示しています。
主な撤退地域として挙げられているのは、インド、オーストラリア、カナダ、南アメリカ、メキシコ、アフリカ、中東、東南アジアなど。3月末に中国での生産をストップしたことも合わせると、かなりの国々で事業を縮小することが分かります。
そして、今後の注力地域は日本、台湾、香港とヨーロッパ諸国というごく限られた範囲になるようです。
スマホ事業部のビジネスを拡大することが難しい今、ソニーブランドが浸透していて伝統的に販売網が強い地域に注力すること。これによってスマホ事業の収益性を回復させようということです。
まとめ
ソニーがこれら地域から事業を撤退しているのではないかという噂はこれまでもありましたが、公式発表が行われたのはこれが初めてです。
ソニー本体の吉田社長は直近のインタビューで「スマホはエンタメのハードで大事にしなければならない」と述べており、ソニーにとってスマホ事業からの撤退は端から選択肢に無い模様。
今回の経営計画は少し驚きの内容でしたが、ソニーは2020年度に向けて確かな戦略を示しました。危機に追い込まれたHuaweiのシェアを注力地域で全て奪う勢いで頑張って欲しいものです。
Source:SONY
縦に長すぎるとポケットに入りきらないからまずそこを改善してくれ