Huawei社は5Gモデムとして自社開発したBalong 5000をHuawei Mate20X 5Gに採用しています。この5GモデムはQualcommの5Gモデムと比べて消費電力や大きさという面で劣っているようです。
使われている技術はHuaweiの方が新しい
Huaweiの5Gモデムの方が新しい技術が用いられています。Galaxy s10 5Gに採用されている5Gモデム(Snapdragon x50)が28nmプロセスなのに対しmate 20X 5Gに採用されている5Gモデム(Balong 5000)は7nmプロセスです。
しかしBalong 5000は、2016年10月に発売されたQualcommの一世代5Gモデム(Snapdragon x50)と比べて約50%も大きく消費電力が高く、そして高価です
新しい技術なのになぜ非効率なのか
なぜ約50%も大きく消費電力が高くそして高価なのか、その原因はHuaweiの5Gシステムには無駄があるためです。
まず、HuaweiのKirin 980チップセットの中にはすでに2G/3G/4Gのモデムが搭載されています。これに外から5G通信を可能にするモデムであるBalong 5000を「外付け」します。
そのため大きなスペースと電力が必要になる上、高い価格となってしまうのです。実はBalong5000の中には2G/3G/4G/5Gの通信モデムが全て搭載されていますので、Kirin 980とBalong5000の二つを搭載したMate 20X 5Gの中には2G/3G/4G通信モデムが1セット無駄に搭載されます。
そしてこれらを同時に動かすため、その1セット分の電力が無駄に消費されてしまいます。また、大きなスペースをとり高価になってしまう原因にもなっています。
それに対して、Galaxy s10 5GやNote10 5Gに採用されているQualcomm社の5GモデムのSnapdragon x50は5Gのみのモデムとなっているため、無駄がなく小さいスペースで5G機能の追加が可能です。
そのため、必要なスペースや電力・価格という面ではBalong 5000は劣っています。
しかし、通信速度に関してはBalong 5000の方が大きく優れています。これはSnapdragon x50が昨年の10月に発表されたものであるのに対し、Balong 5000が今年の1月末に発表されたためであるためであり、Qualcommが劣っているのではなく単純に一年強の技術進歩の表れでしょう。
また、新型のSnapdragon x55搭載機種が2019年末にかけて発売されます。そのため現段階ではHuaweiの5GモデムはQualcommより部分的に劣っているとも優っているとも言えますが、最終的な結論を出すのは新しいKirinチップセットを搭載するMate30 5GとSnapdragon x55の搭載機種が出揃うまで待つ方が良いかもしれません。
進化していく5G技術
チップセットの中に5Gモデムも搭載するとことでさらなる省スペース・省電力化を図ったワンチップ型のSnapdragonや同様のMediaTek Helio M70搭載機種が来年の上半期に発売されます。またIntelからは、5GモデムXMM8160が6ヶ月前倒しとなり2019年の下半期に出荷、2020年の上半期から搭載機種が販売されます。これはおそらく5G通信可能なiPhoneにも搭載されるでしょう。
時代は5Gスマホ黎明期です。より高い通信速度やコストパフォーマンス・省スペース化を実現するために各社ともに凌ぎを削り合っています。果たしてどのメーカーが勝利するのか、来年の今頃には明らかになっていることでしょう。
Source: EDNChina,Qualcomm,venturebeat
消費電力が50%多くかかるとか死活問題じゃん…