2020年現在、数多くの5Gスマホが登場しています。
東京オリンピックを控え、日本でも5Gの本格運用がいよいよ始まりつつありますが、5Gの周波数帯については未だによくわからない人が多いのではないでしょうか。
この記事では日本で整備される5Gの周波数帯・バンド数をまとめています。海外の5Gスマホ購入時に役立ててください。
なお、最初に5G周波数帯に関する基礎知識の解説があるので、周波数帯だけ確認したい方は最後の項目「キャリア別対応表(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天)」まで飛ばしてご確認ください。
Sub-6、ミリ波とは?
Business Networkより引用
5Gの周波数で、よくSub-6やミリ波といった単語を目にしますが、これは一体どういう意味でしょうか。
Sub-6とは正式にはFR1(Frequency Range 1) と呼ばれ、5Gで利用される周波数帯のうち0.45-6 GHzの周波数帯を示します。6 GHzまでなので、Sub-6と呼ばれています。一方で、ミリ波とは正式にはFR2(Frequency Range 2) と呼ばれ、24.25-52.6 GHzの周波数帯を示します。波長がミリメートル単位ほど短くなるため、ミリ波と呼ばれています。
一般的に周波数は大きくなればなるほど通信速度が上昇し、繋がりにくくなります。その仕組について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
そのため、一般的に0.8-2.1 GHzの4Gと比べると、Sub-6もミリ波も高速通信ができますが、ミリ波のほうがより高速な通信となります。そのため、ミリ波に対応してこそ本当の5Gだ、という論調が一部あります。
余談ですが、前述の通り周波数を上げると繋がりにくくなるため、Sub-6もミリ波も4Gよりも多くの基地局を準備する必要があり、多額な設備投資をしなければなりません。また、4Gと周波数が異なるため、4Gの基地局を流用することも不可能です。基地局開設にかかるコストが5Gの利用価格に影響することは避けられないでしょう。
5Gにするメリットは高速性以外にもあります。詳しくは下の記事を参考にしてください。
日本のSub-6 GHz周波数帯
Sub-6 GHz帯は0.45-7 GHzの周波数を用いる5Gの周波数帯です。この周波数は4Gの周波数と近く、4Gの技術を応用できます。そのため、2020年開始の5GサービスはSub-6 GHz帯のサービスとなります。
上部がSub-6 GHz帯の割り当て状況
日本で整備・サービスが開始するSub-6 GHz帯は3.7 GHz(n77)と4.5 GHz(n79)となります。
※5GからはBand 〇〇という表記からn〇〇という表記へと正式に変更されました。
キャリア各社の周波数帯は以下の通り。
3.7 GHz帯(n77)
- 3.6-3.7 GHZ : NTTドコモ(docomo)
- 3.7-3.8 GHz : KDDI(au)
- 3.8-3.9 GHz : 楽天(rakuten mobile)
- 3.9-4.0 GHz : ソフトバンク(Softbank)
- 4.0-4.1 GHz : KDDI(au)
4.5 GHz帯(n79)
- 4.5-4.6 Ghz : NTTドコモ(docomo)
各キャリア帯域が100 MHzずつ割り当てられています。どのキャリアもn77が使われており、docomoだけn79が使えます。
世界的に整備されているのはn78であり、n78はn77に含まれます。そのため、Sub-6 GHz帯ではn77で2つの帯域を持つauが有利ですね。
海外5Gスマホを購入するときはn77またはn78対応機種を選ぶようにしましょう。
日本でのミリ波周波数帯
ミリ波は24.25-52.6 GHz帯です。Sub-6よりも伝達情報量が多く、繋がりにくい(逆に言うと指向性のある)電波であり、次世代通信らしいのがこちらのミリ波の方でしょう。
下部がSub-6 GHz帯の割り当て状況
日本で整備・サービスが開始するミリ波帯は28 GHz(n257)となります。
キャリア各社の周波数帯は以下の通り。
28 GHz帯(n257)
- 27.0-27.4 GHz : 楽天(rakuten mobile)
- 27.4-27.8 GHz : NTTドコモ(docomo)
- 27.8-28.2 GHz : KDDI(au)
- 29.1 - 29.5 GHz : ソフトバンク(Softbank)
4社とも均等に400 MHz分割り当てられています。
n257は韓国でも整備されており、Samsung Galaxyシリーズのミリ波対応5Gスマホであれば日本のミリ波も使えるでしょう。
また、n257はヨーロッパ、中国で整備されているn258(24.25GHz~27.5GHz)や、北米で整備されているn261(27.5GHz~28.35GHz)も含んでいます。n258、n261も日本で使える可能性があるでしょう。
アメリカ・中国では更に周波数の大きいn260(37.0~40GHz)も整備されています。なお、今のところ日本ではn260は整備される予定がありません。
キャリア別対応表(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天)
※5GからはBand 〇〇という表記からn〇〇という表記へと正式に変更されています。
Sub-6 | ミリ波 | ||
n77(n78内包) | n79 | n257(n258,n261内包) | |
docomo | ○ | ○ | ○ |
au | ○ | ○ | |
Softbank | ○ | ○ | |
rakuten | ○ | ○ |
結論から入ります。日本で5Gを利用したいときは、n77またはn78が必須です。ミリ波の整備はSub-6より遅くなることが見込まれるため、将来的にミリ波も体験したいのであればn257の有無も確認すべきですが、現状対応スマホは少ないです。
また、5Gに関してはどのキャリアもほぼ平等なので、n77・n78さえ抑えられていれば他はあまり気にする必要はないでしょう。
周波数帯を踏まえた5Gスマホの買い方
それでは実際に5Gスマホを買うときの方法を見ていきましょう。
こちらはAliexpress上に出品されているRedmi K30 5Gのスペックです。
一番下を見ると、5グラム(おそらく5Gの誤訳)にSub6G : n41/n78とあります。n78は日本でも使えるため、このRedmi K30 5GはSub-6のみ対応ということです。
(余談ですがRedmi K30 5Gは3万円台でとてもお得な5G対応スマホです。)
telektlistのスマホ情報ページでも5Gのバンドを確認できます。こちらはGalaxy S20+の対応バンド。Band 77が記載されているため、こちらもSub-6のみ日本で利用できるということになります。
海外スマホだけでなく、Xperia 1 ⅡやAQUOS R5Gなど日本勢も参入しだした5Gスマホ。
5Gの時代となりつつある今、この記事で少しでもお役に立てれば幸いです。
疑問や意見、間違いがあれば是非コメントをお待ちしております。
Source : 総務省
おお、力作だ。ありがとうございます。
個人的に5Gの恩恵に預かれるのはしばらく先になりそうですが、基礎知識として絶対必要な知識ですね。もうちょっと勉強しなきゃ。
…当面の情報収集はキャリアより総務省のほうがいいのかな?